■ 第22節J1の第22節。8勝10敗3分けで勝ち点「27」のアルビレックス新潟(12位)と、9勝7敗5分けで勝ち点「32」の川崎フロンターレ(7位)が東北電力ビッグスワンスタジアムで対戦した。7位の川崎Fは3試合勝利が無かったが、21節の試合で甲府(A)に3対1で勝利して、4試合ぶりに勝ち点「3」を獲得した。一方、12位の新潟は、湘南(A)とC大阪(H)と清水(H)に勝利して3連勝を記録したが、20節の甲府戦(A)はドローで、21節の鹿島戦(A)は終了間際にFW大迫に決勝ゴールを許して、0対1で敗れた。
ホームの新潟は「4-2-2-2」。GK東口。DF藤田征、大井、舞行龍ジェームズ、金珍洙。MF三門、レオ・シルバ、成岡、田中亜。FW田中達、川又。5月27日に日本国籍を取得したDF舞行龍ジェームズは2試合連続スタメンとなった。2012年にはJFLのベストイレブンに選ばれていて、ニュージーランド代表でプレーした経験がある。日本代表入りも期待されているエースのFW川又は19試合に出場して12ゴールを挙げている。3ゴールを挙げているFW岡本はベンチスタートとなった。
対するアウェーの川崎Fは「4-2-3-1」。GK西部。DF田中裕、ジェシ、伊藤、小宮山。MF森谷、山本真、アラン・ピニェイロ、中村憲、登里。FW大久保。攻撃の核となっているMFレナトは怪我で欠場中で、MF登里が2列目で起用されて、怪我から戻ってきたDF小宮山が2試合連続スタメンとなった。エースのFW大久保は20試合に出場して16ゴールを挙げているが、これは、C大阪時代の2003年に記録した自身最多のゴール数に並んでいる。絶好調のMF中村憲は中断明けの8試合で5ゴールと量産体制に入っている。
■ 2対1で新潟が逆転勝ち!!!試合はホームの新潟ペースで進んでいく。積極的な守備で川崎Fのパスワークを封じて、FW田中達を中心としたカウンターでチャンスを作っていく。しかし、前半23分に川崎FのFW大久保が中盤でボールを受けると、相手2人をかわしてシュートコースを作ると、右足で放った強烈なシュートが鮮やかにネットに突き刺さって劣勢だったアウェーの川崎Fが先制する。J1の得点ランキングのトップを走るFW大久保は自己最多となる今シーズン17ゴール目となった。前半は1対0で終了する。
後半14分に新潟はFW田中達に代えてFW岡本を投入。スーパーサブとして結果を残しているストライカーをピッチに送り出すと、後半27分に左サイドのDF金珍洙のクロスをFW岡本がヘディングで合わせて、キーパーがはじいたところをFW川又が押し込んで1対1の同点に追い付く。FW川又は今シーズン13ゴール目となった。さらに後半29分にもMF田中亜を起点にして中央を細かいパスで崩すと、最後はゴール前にこぼれたボールをFW岡本が押し込んで2対1と逆転に成功する。FW岡本は今シーズン4ゴール目となった。
その後、DF大井が2度のビッグチャンスを迎えるが決められない。さらに、サイドを崩してMF田中亜がネットを揺らすが、オフサイドの判定でゴールは認められない。新潟はダメ押しとなる3点目のゴールは奪えなかったが、2対1で勝利して今シーズン9勝目。勝ち点「30」に到達した。一方の川崎Fは持ち味であるパスワークを封じられて、思うようなサッカーは出来ず。東アジアカップの中断明け以降は、5試合で1勝3敗1分けと苦しんでいる。
■ 高い守備力を誇るMFレオ・シルバ最終スコアは2対1だったが、終始、ホームの新潟が試合のペースを握って、川崎Fを圧倒した。特に良かったのは、前線からの積極的な守備で、ピークの時期と比べると気温が下がって来ていることもプラスに働いたと思うが、労を惜しまない精力的な動きで、川崎Fが得意とする中盤からのパスワークを封じた。ボールを奪われた後のプレスも効果的で、プレスをかけてすぐにボールを奪い返すシーンも何度かあった。得点力のある川崎Fにサッカーをさせなかったのは見事である。
FW田中達の精力的な守備も光ったが、何と言っても、ボランチのMFレオ・シルバのプレーが目立った。無尽蔵のスタミナと高いボール奪取力を駆使して、相手の中盤の選手からボールを奪うシーンが何度もあった。何度もチェックに行けるスタミナも見事であるが、ボールを奪い取ってしまう力があるところが、MFレオ・シルバの最大の魅力である。ボールを奪った後のパス出しも的確で、攻守両面で絶大な存在感を発揮した。ゴールやアシストはなかったが、文句なしのMOMと言える。
J1では、どのチームも中盤のエリアにはテクニックのある選手を配置しているので、1人でボールを奪いに行っても、かわされることがほとんどである。そうなると、チェックに行くのも億劫になるが、MFレオ・シルバの場合、「行ける。」と感じて、ガツッと行ったときは、高確率でボールを奪い取ってしまう。守備を得意とするボランチは地味な選手が多くて、凄さが伝わらないケースが多いが、MFレオ・シルバの場合は、プレーが分かりやすくて、十二分に凄さが伝わってくる。
2つのゴールに絡んだFW岡本の活躍も光った。FW川又がフォワードの軸となって、FW田中達とスタメンで2トップを組むケースが多いので、FW岡本がスタメンで起用されたのは2試合しかない。したがって、出場時間は長くないが、すでに4ゴールを決めている。その全てが途中出場でマークしているが、後半15分~後半20分あたりまでFW田中達を使って、勝負どころでFW岡本を投入するケースがほとんどで、途中出場のFW岡本が期待に応える働きを見せているので、スーパーサブとしての地位を確立した。
エースのFW川又も2つのゴールに絡んだ。なかなか自身のチャンスが無くて、フラストレーションのたまる展開だったが、ワンチャンスをものにして同点ゴールをマークして、FW岡本の逆転ゴールをお膳立てした。これで13ゴールとなったが、FW川又の場合、スタメンで起用されるようになったのは8節からなので、超ハイペースでゴールを重ねている。ボールを持っていないときに大きな動きが出来るので、パスを自分に集めることができる。分かりやすい動きをしてくれるので、出し手も有難いと感じるだろう。
■ 調子が下降気味のフロンターレ一方の川崎Fはミスが多かった。新潟の前からのプレスが機能して、ボランチのところで前にボールを運ぶことが出来なかった。MF稲本が離脱しているので、MF森谷が3試合連続スタメンとなったが、この日は、つなぎのところでミスが多くて、攻撃のリズムを壊した。本来は的確な判断ができる選手で、プレスをかけに来たところをいなすこともできるだけの高度な技術を持った選手と言えるが、調子が悪かったのか、プレスの餌食になってしまった。20節のFC東京戦では好プレーを見せたが、この試合はブレーキになった。
川崎Fは最近の5試合の成績が1勝3敗1分けとなったが、攻撃陣が爆発して、鹿島や浦和をホームで圧倒した時期と比べるとバイオリズムが低下している。しかも、攻撃の要であるMFレナトを全治6週間の怪我で欠いているので、踏ん張りどころの時期を迎えている。MFレナトがいると、相手のマークが分散するので、MF中村憲が楽にプレーできるようになって、彼が楽にプレー出来るようになると、周りの選手も楽になるが、MFレナトがいないとMF中村憲にマークが集中するので、自由にプレーするのは難しくなる。
優勝争いあるいACL出場権争いに踏みとどまるためには、次の大宮戦(H)は絶対に勝ち点「3」の必要な試合となるが、幸いにして、エースのFW大久保のキレキレ状態は続いている。圧巻だったのは、先制のミドルシュートで、相手にプレッシャーをかけられたが、ドリブルで2人をかわして、弾丸ミドルを突き刺した。完全に「個の力」で奪ったゴールであり、驚きの声しか出ないくらいのスーパーゴールだった。ちょっとでも隙ができると、決めてくる力を今のFW大久保は持っている。
MFレナトは8月10日(土)のFC東京戦(H)で負傷して全治6週間と診断されているので、9月26日(土)に行われる26節の鳥栖戦(H)で復帰できるか、どうか、という感じだと思うので、大宮戦(H)、C大阪(A)、広島(H)と上位との対戦が続く中で使えないのは、大きなマイナスであるが、どうすることもできない。これからは、さらにFW大久保とMF中村憲へのマークがきつくなることが予想されるので、MFアラン・ピニェイロとMF登里の活躍は大事になってくる。動きは悪くないので、ゴールを決めてチームに貢献したところである。
関連エントリー 2007/09/15
「個の力」というフレーズにだまされるな!!! 2008/03/11
ジュニーニョの日本代表入りに対する思い 2013/03/10
【新潟×広島】 2度目のビッグスワンの旅 (上) (生観戦記) 2013/03/13
【新潟×広島】 2度目のビッグスワンへの旅 (下) (生観戦記) 2013/03/14
ビッグスワンの旅 (3月8日-3月9日) 2013/05/10
【新潟×甲府】 相反する2つの魅力を持つ川又堅碁 2013/06/15
Jリーグの秋春制への移行に関して 2013/06/27
ザックが視察した試合から日本代表に呼ばれそうな選手を推理してみた。 2013/08/27
個人別エントリー (中村憲剛) 2013/08/27
個人別エントリー (川又堅碁)
- 関連記事
-