■ 第15節J1の第15節。8勝3敗3分けで勝ち点「27」のサンフレッチェ広島と、6勝4敗4分けで勝ち点「22」の川崎フロンターレがエディオンスタジアムで対戦した。広島はナビスコカップは準々決勝で敗退となったが、リーグ戦はここ5試合で4勝1分けと勝ち点を積み上げている。一方の川崎Fもリーグ戦は5月以降は5勝1分けと快進撃を見せている。ともに攻撃陣が好調で注目の一戦となった。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK西川。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、山岸、石原、高萩。FW佐藤寿。左WBは出場停止明けのMF清水と14節のFC東京戦で決勝FKを決めたMFパク・ヒョンジンが控えているが、元日本代表のMF山岸が2試合連続スタメンとなった。エースのFW佐藤寿は得点ランキングで2位タイとなる9ゴールをマークしている。
対するアウェーの川崎Fは「4-2-3-1」。GK杉山。DF田中裕、實藤、中澤、登里。MF山本真、稲本、風間宏矢、中村憲、レナト。FW大久保。点取り屋のFW小林悠らを怪我で欠いており、風間監督の次男のMF風間宏矢が2試合連続スタメンとなった。14節の鹿島戦ではアシストを記録している。神戸から加入のFW大久保は13試合で10ゴールを挙げて得点ランキングの単独トップに躍り出ている。
■ 4対2で広島が勝利!!!試合の前半は静かな展開となる。中3日ということもあって、コンディション面で問題があったのか、ともにイージーなミスが多くて、なかなかチャンスにつながらない。しかし、前半43分に広島のMF石原が強烈なミドルシュートを放つと、こぼれ球に素早く反応したFW佐藤寿が右足で押し込んでホームの広島が先制する。FW佐藤寿は10ゴールに到達して、10年連続二桁ゴール達成となった。
さらに、前半46分にもMF山岸が中央にグラウンダーのクロスを入れると、DF水本がスルーした裏に待ちかまえていたFW佐藤寿が得意の左足で鮮やかに決めて2対0と突き放す。2点ビハインドの川崎Fは後半14分にMF山本真のパスを受けたMF中村憲が決めて1点差に迫ると、後半20分にもショートコーナーからMFレナトのクロスをDF中澤がヘディングシュートを決めて2対2の同点に追い付く。DF中澤は移籍後初ゴールとなった。
これで2点差を追いついた川崎Fのペースになるかと思われたが、後半35分にボランチのMF青山敏の縦パスを受けたFW佐藤寿が難しい体勢から左足でドライブ回転のシュートを決めて3対2と勝ち越しに成功する。FW佐藤寿はハットトリック達成で、今シーズン12ゴール目となった。これで試合の流れを引き戻した広島は、後半46分にも途中出場のMFファン・ソッコがJ1初ゴールを決めて4対2とリードを広げる。
結局、乱戦となった試合は4対2でホームの広島が勝利して勝ち点「30」に到達。リーグ戦は6試合負けなしとなった。一方の川崎Fはナビスコカップを含めると公式戦は10戦無敗だったが、4月27日のFC東京戦以来となる久々の黒星を喫した。広島は16節はホームで好調のC大阪と対戦して、川崎Fもホームで上位争いを繰り広げている浦和と対戦する予定になっている。
■ 佐藤寿人がハットトリック!!!ともに攻撃力に定評のあるチームなので、白熱した展開が期待されたが、特に後半の45分間は目の離せない熱戦となった。川崎FがDF中澤のゴールで2対2の同点に追い付いた時は、「川崎Fが有利」と思ったが、後半35分のFW佐藤寿のスーパーゴールが試合の流れを変えてしまった。2点差を追いつかれて劣勢の展開になっていたが、一撃で全てを変えてしまったFW佐藤寿は大エースにふさわしい活躍を見せたと言える。
これで15試合で12ゴールとなったが、2012年は34試合で22ゴールだったので、得点ペースは2012年をはるかに上回っている。FW佐藤寿のような小型選手はフィジカルコンディションが重要になって来て、ちょっとでも調子が悪くなると、活躍できなくなるのが普通であるので、彼の場合は、極端に調子を落とすことがほとんどなくて、突出した安定感が「10年連続二桁ゴール」という大記録を生み出した。
今シーズンのFW佐藤寿のゴールは、とにかくスーパーゴールが多い。ゼロックスの柏戦のジャンピングボレーが印象に残っているが、先日のナビスコカップの柏戦のゴールもスーパーゴールで、この日の2点目と3点目もスーパーゴールだった。「抜け目なさ」というのが、彼の一番の武器だったが、それに加えて、今シーズンは、予想のできないところからでもゴールを決めてくるので、相手にとっては、厄介極まりない選手である。
■ 日本代表復帰はあるか?FW佐藤寿というと、昨年から、「なぜ、日本代表に選ばれないのか?」という話が飽きるほど繰り返されており、現在は、今月末に行われる東アジアカップのメンバーに選ばれるかどうかが、大きな注目を集めている。先日の14節のFC東京戦は日本代表のザッケローニ監督が視察に訪れており、このときはアピールは出来なかったが、今回のハットトリックというのは、インパクト大である。
「今度こそ」という感じもあるが、正直なところ、「確定」とは言えない立場である。C大阪のFW柿谷と同様で、ザッケローニ監督の求める1トップタイプとは言えず、さらには、柏のFW工藤、鳥栖のFW豊田、C大阪のFW柿谷、川崎FのFW大久保、鹿島のFW大迫など、代表入りが期待されているフォワードが再開後のJリーグで結果を出しており、「全員を呼ぶわけにはいかない。」という事情もある。
もちろん、FW佐藤寿が近年の日本人ストライカーの中では、磐田とFW前田と並んで圧倒的な実績を残しているのは事実であるが、一方で、なぜ、日本代表に呼ばれていないのか、明確な理由もある。なので、東アジアカップのメンバーに呼ばれるのかは五分五分だと思うが、ただ、短い出場時間であっても、「ゴールしてくれるのではないか?」という期待感を抱かせてくれる選手というのは、今の日本代表には見当たらない。
高さの問題もあるので、「1トップのスタメンで起用する。」というのは、可能性は非常に低いと思うが、「スーパーサブ的な役割を期待して日本代表に復帰する。」というのは、十分に考えられる。彼の場合は、2012年シーズンからこれ以上ないほどのプレーを続けているので、東アジアカップでのメンバー入りならびに日本代表定着を期待したいところである。
■ 分起点となる4連戦一方の川崎Fは前半の出来が悪すぎた。前半43分に失点も痛かったが、その後の2失点目が余計で、ここ最近の得点力を考えると、0対1であれば十分に挽回出来たと思うが、0対2になると、追いつくためには、相当なエネルギーが必要となる。この試合は対戦相手のFW佐藤寿がスーパーだったので仕方がないところもあるが、再開初戦で鹿島にホームで4対2で圧勝した勢いをつなげたかったので、水を差す結果となった。
中断明けの4試合はタフな相手が続いて、鹿島(H)、広島(A)、浦和(H)、大宮(A)なので、上位争いに加わっていくことができるか、分起点となる4連戦と言えるが、次のホームの浦和戦は大事な試合で、ここで浦和を叩くことができると、また波に乗っていくことができるが、敗れるとおかしな雰囲気になることも十分に考えられる。等々力は相当に盛り上がると思うが、サポーターの力を借りて、勝ち点「3」を獲得したい。
気になるのは、FW矢島、FW小林悠、MF大島がいないので、ベンチが薄くなっている点で、この日、ベンチスタートとなった選手で途中出場でゴールに絡む活躍ができそうなのは、188センチのFWパトリックくらいで、その他の選手は、ボランチあるいは守備的なタイプがほとんどである。結局、後半11分にDF伊藤を投入して、後半42分にFWパトリックを投入したが、風間監督が打てる策が限られてしまった。
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