■ 第15節J2の第15節。4勝5敗5分けで勝ち点「17」のロアッソ熊本と、7勝4敗3分けで勝ち点「24」の栃木SCが熊本市の水前寺競技場で対戦した。このスタジアムは横浜フリューゲルスが長崎県と熊本県と鹿児島県を特別活動地域として活動していたときにホームゲームが開催されたことがある。14節を終えた時点でアウェーの栃木SCはプレーオフ圏内の5位に位置する。
ホームの熊本は「4-2-2-2」。GK南。DF筑城、吉井、矢野、片山。MF橋本拳、原田、堀米、養父。FW齊藤和、仲間。開幕後にレンタルで移籍してきたMF堀米とMF橋本拳の2人はともに4試合連続スタメンとなった。MF堀米はここまで3試合に出場して2ゴールを挙げている。熊本はこの2人が加入してから2勝1分けと勝ち点を積み上げて、順位も15位まで浮上してきた。
対するアウェーの栃木SCは「4-2-2-2」。GK榎本達。DF山形辰、大和田、當間、菅。FWパウリーニョ、チャ・ヨンファン、クリスティアーノ、杉本真。FW廣瀬、近藤。オーストリアのザルツブルグから加入のMFクリスティアーノはここまで14試合で2ゴールを挙げている。J2の得点ランキングで4位タイの6ゴールを挙げているFWサビアはベンチスタートとなった。
■ アウェーの栃木SCが快勝試合は序盤から栃木SCが猛攻を仕掛ける。何度か決定機を逃した後の前半25分に右サイドの裏を突いたFW廣瀬のクロスをニアでMF杉本真が上手く合わせて先制に成功する。MF杉本真は2試合連続ゴールで今シーズン2ゴール目となった。熊本は前半30分あたりを過ぎると、MF堀米の精度の高いプレイスキックからチャンスを作るようになるがゴールは生まれず。前半は1対0で終了する。
1点リードの栃木SCは後半6分に左サイドでボールを受けたFW廣瀬のクロスからFW近藤が自慢のパワーを生かしたプレーで相手をブロックして、最後は軽くゴールに流し込んで2点目を挙げる。FW近藤は今シーズン3ゴール目となった。さらに後半31分にも右サイドのCKからCBのDF當間がヘディングシュートを決めて3点目を挙げる。DF當間は今シーズン初ゴールとなった。
勢いの止まらない栃木SCは後半36分にもカウンターからMFクリスティアーノが決めて4対0とリードを広げる。MFクリスティアーノは今シーズン3ゴール目で、FW廣瀬は3ゴールに絡む活躍だった。終了間際に熊本はDF吉井のゴールで1点を返すが、試合は4対1でアウェーの栃木SCが勝利して勝ち点「3」を獲得した。一方の熊本は10節の山形戦以来の黒星となった。
■ 攻撃陣が大爆発熊本はここ4試合で3勝1分けと調子を上げてきているが、ホームで栃木SCに大敗を喫した。この日は試合前から雨が降り続いており、スリッピーなピッチコンディションだったが、そうなるとパワフルな選手の多い栃木SCが有利となる。FW近藤、MFクリスティアーノ、MFパウリーニョ、DF大和田などは、特に肉弾戦に強い選手なので、序盤から接近戦で栃木SCが相手を圧倒した。
立ち上がりから栃木SCの選手がセカンドボールを拾うケースが多くて、分厚い攻撃を見せたが、決定力を欠いてなかなか先制ゴールが生まれず、嫌な雰囲気になりかけたが、MFチャ・ヨンファンのパスを受けたFW廣瀬が見事なコントロールからニアにクロスを入れて、いいタイミングで走り込んできたMF杉本真が巧みに合わせて先制ゴールを奪った。
栃木SCは攻撃的なポジションの駒が豊富である。この日は、MF菊岡とMFサビアがベンチスタートになったが、FW近藤、FW廣瀬、MFクリスティアーノ、MF杉本真という攻撃的なポジションの4人が揃ってゴールに絡む活躍を見せた。14節からMF杉本真が先発で起用されるようになったが、彼は前節の長崎戦でもゴールを決めており、様々なタイプの選手をそろえていることがチームの強みとなっている。
■ 爆発が期待されるMFクリスティアーノこれで栃木SCは8勝4敗3分けとなったが、15試合を終えて勝ち点「27」というのは、かなりのハイペースである。今シーズンのJ2は神戸とG大阪の2チームの戦力が充実しているので、「2位以内に入る。」というのは、相当に難しいことであるが、約1/3を過ぎた時点では、栃木SCも2強に食らいついている。松田監督も5年目のシーズンとなるが、いい位置に付けている。
もちろん、シーズンは2/3が残っているので、まだまだ先は長いが、今シーズンの栃木SCは6位以内に入って来てもおかしくない戦力を有している。ストロングポイントはアタッカー陣であるが、15試合を終えて20得点という数字は、彼らのポテンシャルを表した数字とは思えないので、伸びしろはたっぷり残っている。十分には噛み合っていない中で、この順位なので期待感は膨らんでくる。
この先、大きなプラスアルファを期待できるのは、MFクリスティアーノである。後半36分にゴールを決めて今シーズンの3ゴール目を記録したが、これまでの試合もシュートは打てており、惜しいシーンはたくさん作っている。徐々にコンディションが良くなってきているので、どこかのタイミングできっかけをつかんで、手のつけられない選手になるのではないか?と思われる。
対象的に守備陣は、駒は豊富ではないので、怪我人を出さないことが重要になってくるが、DF大和田が戻って来たのは大きい。経験のある選手で、188センチの高さというのは、J2では上位レベルであり、水戸時代は守備の要として活躍してきた。最終ラインの要はDF當間であるが、彼は178センチとサイズに恵まれておらず、高さの面で不安は残るが、DF大和田とCBコンビを組むときは問題にはならない。
■ ホームでまさかの大敗一方の熊本はホームで厳しい試合となった。丁寧にパスをつないで攻撃を組み立てるチームであるが、栃木SCの中盤の守備が堅くて、攻守の切り替えも早かったので、前半はほとんどパスがつながらなかった。それでも、MF堀米のプレイスキックから何度かチャンスを作ったが、栃木SCのキーパーのGK榎本達を慌てさせるようなシーンはほとんど作れなかった。
期待のMF堀米は何度か光るプレーを見せたが、後半12分という早い段階で交代となった。甲府のときから後半途中で交代となることが多くて、スタミナが課題とされているが、ゴールが必要な場面で、攻撃の中心になっている選手がベンチに下がらざる得ないことは、チームにとっても本人にとってもいいことではない。試合に出続けることでスタミナは付いていくと思うが、早急なレベルアップが期待される。
高卒3年目で急激な成長を見せているFW仲間もこの試合はいいところでボールを受ける回数が少なくて、持ち味であるドリブル突破は見せられなかった。栃木SCのダブルボランチはフィジカルが強くて、ボール奪取力も高いので、ボランチとCBに挟まれて行き場を失うシーンもあったが、いい経験になったと思うので次の機会に生かしてほしいところである。
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