◆ 何が残ったのか?0勝1分け2敗。
ザックジャパンは、為す術もなくブラジルを後にした。
後には、何が残るのだろう?
4年前、南アフリカから帰った日本代表は、雄々しかった。
“ブラジルW杯では優勝を目指す!”
4年後の“結果”を公言した選手たちに対して、JFAは、違うスタンスを示した。
“日本らしいサッカーの確立”
ベスト16という本国開催以来の成果を収めながら、諸外国から突き付けられた消極的な戦術への批判。
「大会で最もつまらない試合」などという侮蔑も浴びた。
JFAも忸怩たる想いがあったのだろう。
そもそも、オシム・岡田両監督にも同様の目標が掲げられていたのだから。
『考えて走るサッカー』、『接近・展開・連続』。
これらのテーマは、ともに、日本人の特性を生かした戦術として、マスコミに取り沙汰された。
しかし、南アフリカW杯を前に、テストマッチで結果を出せなかった日本代表は、テーマを翻し、守備的な戦術を選んだ。
マスコミを通じて語られる世論に負けて。
JFAにとっても、“わかっていたこと”だけに、余計、その批判が堪えたのだろう。
『今度こそブレない戦いを…』
そんな悲壮な決意の元、白羽の矢が立ったのが、アルベルト・ザッケローニ監督だった。
彼の戦術的な特徴をあげると、
・サイド攻撃
・理詰めの守備
・インテンシティ
ということになるだろうか。
サイド攻撃については、彼の代名詞と言える。
3-4-3のWGとWBの連携により、タレント豊富な中央を避け、サイドを突破していくやり方は、彼の戦術の根幹。
日本代表では、3-4-3が根付かなかったため、WGをSH(2列目の左右)、WBをSBに置き換え、スタイルを落とし込んだ。
理詰めの守備については、彼というより、イタリア人監督のスタイルだ。
細かくポジションを修正し、全体を可能な限りコンパクトにまとめる。
フィジカルに左右されない、組織的な守備を目指した。
インテンシティは、彼が後期において、よく用いた言葉だが、考え方自体は、就任当時から携えていた。
そもそも、日本人の特徴ともいうべき要素で、とにかく、マメに動くことが求められた。
チーム作りを進める中で、いくつかの誤算があった。
一つ目の誤算は、高身長CFのタレント不足。
イタリアでの彼は、CFに決定力のある高身長の選手を配し、それによって、サイド攻撃をゴールに結びつけていた。
当初は、前田遼一、ハーフナー・マイクを用い、可能性を模索していたが、コンフェデレーションズカップでの惨敗を機に、それを諦めたようだ。
もう一つは、3-4-3への拒否反応。
元々、彼の戦術は、3-4-3とセットになっている。
鶏と卵の関係、とでも言えばいいだろうか?
SBより攻撃的なWB、
コンパクトな守備陣形を保つための3ライン、
前後に同人数を配し、全員攻撃全員守備を意識づけるポジショニング。
どれもが、3-4-3と親和性が高い。
3-4-3を諦めたことで、次なる武器に見定めたのが、2列目のタレントだ。
日本代表に過剰に溢れる2列目の才能。
彼らを輝かせるために、他のポジションに協力を求めた。
自ら決めるのではなく、2列目と連携のとれる1トップ。
2列目のSHと連動して動くSB。
2列目の飛び出しに抜け目なく配給するボランチとCB。
それが、豊田ではなく柿谷、細貝ではなく青山、闘莉王ではなく森重という選択に繋がった。
ここまでの文脈は、とても、シンプルで分かりやすい。
決断の基準も明確だ。
『選手を固定し過ぎる』
『旬の選手を使わない』
『戦術に柔軟性がない』
そんな批判も聞かれたが、そもそも、“日本らしい”戦術を根付かせるために招聘された彼にとって、より深く戦術を浸透させるには、適性のある者を重用することは、自然の理であった。
解せないのは、本大会での采配だ。
ここまで頑なに、“日本らしい”戦い方を磨き上げてきた彼が、急に、方針を変えた。
コロンビア戦後のインタビューによれば、『各試合で違うプレーをしようとした…、対戦相手に応じた形で攻撃すべきだった…』と語ったそうだ。
彼にしてみれば、ベースはできているのだから、枝葉を変えても支障はない、という判断だったのかもしれない。
しかし、結果は伴わなかった。
選手たちは、基本戦術に固執し、決まりごとのように、クロスを上げ続けた。
サプライズと称された大久保は、責任を背負い込み、ボールを持つたび仕掛け続けた。
2列目を生かすためのサポートどころか、解体された2列目は、練り上げた連動性をも失っていた。
これが、4年間求め続けた答えなのだろうか?
いや、違う。
ブラジルのピッチに、ザックジャパンの答えはなかった。
ザッケローニ監督は、完成形を、まな板に載せることさえしなかったのだから…
おそらく、ザッケローニ監督は退任するだろう。
彼のチームが、もう答えを問うことはない。
残念でならない。
時計の針が戻せるのなら、もう一度、ブラジルのピッチに問いかけて欲しい。
彼のチームの完成形が、世界に通用するのかを。
彼のチームの最高到達点が、どこであったのかを。
今さら言っても詮無いこと、
問われなかった問いに、答えなぞない。
【 自己紹介文を150文字程度で記述してください。(省略可) 】:
性懲りもなく、投稿します(苦笑)
メキシコW杯以来のサッカー狂、
ヴォルティスサポのポコです。
推しメンは、山田大記、柿谷曜一朗、アーロン・ラムジー。
よろしければ、
→ 2013/03/10
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【読エ】 ザッケローニ監督の裏切りもご覧ください。
【 管理人にメッセージがあればお書きください。 (省略可) 】:
いつもお世話になります。
今日の結果を受けて、書いてみました。
悔しいですね…
(ライター紹介)【 ハンドル名 】:ポコ
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