■ スイッチピッチャー昔々、南海ホークスに近田豊年という投手がいた。1988年に南海ホークスに入団しているが、南海ホークスは1989年に福岡に移転してダイエーホークスとなったので、南海ホークスとして戦った最後の年にプロの世界に飛び込んだことになる。公式戦に出場したのは1試合だけ。プロとして活躍することはできなかったが、ある程度以上の年齢の野球ファンには、良く知られた選手である。
その理由は、プロ野球史上、唯一のスイッチピッチャーだったということで、右でも、左でも、投球することができた。遊びレベルであれば、利き手とは逆の腕からも投球できる人はいると思うが、プロの世界で、右投げとしても、左投げとしても、投球できるレベルに達した選手は、後にも、先にも、彼以外には存在せず、当時、大きな話題となった。
このようにスイッチピッチャーというのは、極めて稀であるが、スイッチヒッターになると、各チームに数人はいる。野球というスポーツは、右打ちよりも、左打ちの方がいろいろな面で有利なので、俊足好打の右バッターが足を生かすために左打ちに挑戦してスイッチヒッターになるケースが多い。今年のWBCのメンバーにも選ばれている楽天の松井稼頭央が典型的な例と言える。
■ 「利き足は頭」という選手野球の場合は、守備のときは、利き手と反対側にグローブをはめることになる。また、バッターのときは、どちらかのバッターボックスに入ることになるので、右投げなのか、左投げなのか、右打ちなのか、左打ちなのか、間違うことは、まずありえないが、サッカーの場合、事情は異なる。
Jリーグの開幕まで2週間を切って、この時期になると、いろいろな出版社から選手名鑑が発売になっているが、毎年、気にしているのは、利き足の項目である。両足を起用に使うことができる選手は、右利きなのか、左利きなのか、若手選手や外国人選手になると、判断できないことがあるので、選手名鑑を見て確認することがある。
今年も、サッカーダイジェストとサッカーマガジンの選手名鑑を購入したが、中には、右利きでも、左利きでもない選手がいる。ザスパクサツ群馬に加入した大卒ルーキーのFW野崎圭太がその1人で、利き足のところで、「頭(右足)」と回答している。「利き足が頭」というのは、DF盛田、FW巻など、ストロングヘッダーの定番のネタであり、空中戦に自信を持っていることがよく分かる。
■ 両利きのJリーガーもう1つは、「両利き」になっているパターンである。2013年のサッカーダイジェストの名鑑で調べてみると、11人が当てはまる。名前を挙げていくと、以下の選手たちである。外国人選手が5人で、日本人選手は6人なので、かなり貴重である。
・山岸智 (広島)
・チアゴ (名古屋)
・高木義成 (名古屋)
・小宮山尊信 (川崎F)
・ダヴィ (鹿島)
・キム クナン (新潟)
・成岡翔 (新潟)
・内村圭宏 (札幌)
・野崎陽介 (横浜FC)
・キム ボムヨン (山形)
・ユン ソンヨル (松本山雅)
この中で、DF小宮山が両利きであることは、広く知られている。『もともとは右利きだったが、左足の練習を重ねて、右足と遜色ないレベルに到達した。』という話を聞いたことがあるが、左サイドからカットインして右足でシュートを決めるプレーを得意としている。「両利きのサッカー選手と聞いて誰を思い浮かべますか?」という質問を受けたら、彼の名前を挙げる人がもっとも多いのではないか。
その他では、MF成岡は、左右両足を起用に使うことができる点が武器になっていて、FWダヴィは、右足でも、左足でも、パワフルなシュートを打つことができる。彼らは、両利きと言われても違和感はない。横浜FCのMF野崎も同様で、本来は右利きだと思うが、左足の精度も高くて、試合中に「左利き」と紹介されることもある。数年前から「両利き」と答えるようになったが、こちらも違和感はない。
■ 利き足が分かりにくい選手その他の選手では、今年は「右利き」になってるが、横浜FCのFW三浦知は、右足でも、左足でも精度の高いキックができて、左足のゴールも多いので、両利きと書かれていてもおかしくないレベルである。記憶している限り、Jリーグの試合で、利き足ではない方の足で直接フリーキックを決めた経験があるのは、FW三浦知(V川崎)とDFペレイラ(V川崎)とMF磯貝(G大阪)くらいだと思う。
FW三浦知は本来は右利きで、左足も遜色ないレベルに達した選手と言えるが、今のJリーグで、もっとも利き足が分かりにくい選手を挙げると、サンフレッチェ広島のDF千葉である。2012年に新潟から移籍してきて、3バックの中央のレギュラーに定着して、初優勝の原動力となったが、彼が右利きなのか、左利きなのか、正確に答えられる人は少ないのではないかと思う。
広島の試合は、彼のフィードに注目しながら試合を観ることが多いが、右足でも、左足でも、同じくらい精度の高いキックができる。相手のプレッシャーがなくて、左右どちらの足でも蹴ることできるケースは、通常、利き足で蹴るのが当たり前なので、そういうときは、特に注目して見ることになるが、右足と左足の使用頻度は同じくらいで、プレーで利き足を判別するのは、難しい。
こういうケースは、選手名鑑に頼ることになるが、DF千葉の場合は、まちまちである。数年前の選手名鑑も引っ張り出してきて、調べてみると、「右利き」と書かれている方が多いが、「左利き」になっていることもあって、どちらなのか、断定することはできない。
2006年 サッカーマガジン 右利き
2008年 サッカーダイジェスト 右利き
2008年 サッカーマガジン 右利き
2010年 サッカーダイジェスト 右利き
2010年 サッカーマガジン 右利き
2011年 サッカーダイジェスト 左利き2011年 サッカーマガジン 左利き2012年 サッカーダイジェスト 右利き
2012年 サッカーマガジン 左利き2013年 サッカーダイジェスト 右利き
2013年 サッカーマガジン 右利き
関連エントリー 2011/01/13
キングKAZUを超える選手 2012/08/18
サッカー選手で早生まれは不利か? 2012/12/10
それ相応なフロントとサポーターの関係 2012/12/18
森脇良太の浦和移籍と契約について 2012/12/26
サッカーダイジェストとサッカーマガジン 2012/12/27
日本人の年間最優秀選手を考える。 (2012年版) 2013/02/12
ザッケローニ監督と巡り合った幸運 2013/02/13
ザックと佐藤寿人
- 関連記事
-