■ 準決勝の1試合目全国高校サッカー選手権の準決勝の1試合目。宮崎県勢として初の決勝進出を目指す鵬翔高校と、2004年大会以来のベスト4入りを果たした石川県代表の星稜高校が国立競技場で対戦した。
鵬翔は「4-4-2」。GK浅田。DF柏田、原田、芳川、日高。MF矢野、東、川崎、小原。FW澤中、北村。エースナンバー「13」を背負うFW中濱は怪我のためベンチスタートで、背番号「10」を背負う1年生のFW北村が2トップの一角でスタメンとなった。
対する星稜は「4-2-2-2」。GK置田。DF松岡、掃部、寺田、森下。MF小林、植田、井田、寺村。FW今井、采女。こちらは3年生が8名で、2年生が3名という内訳となった。チームの武器になっているのは、右SBのDF松岡のロングスローで、これまでの試合はここからチャンスを作っている。
■ 鵬翔が決勝へ・・・試合は前半14分に星稜が先制する。右サイドから低いクロスを入れると、逆サイドのゴール前に入ってきたMF寺村が左足で合わせて大事な先制ゴールを奪う。しかし、鵬翔は前半31分にゴール正面でFKを得ると、2年生のMF小原が右足で決めて1対1の同点に追いついてハーフタイムに突入する。
後半になると、どちらのチームもチャンスを作れなくなるが、先にビッグチャンスを作ったのは星稜で、後半24分にFW今井が裏に抜け出して1対1のチャンスを得るが、シュートミスで勝ち越しならず。絶好のチャンスを逃した星稜だったが、後半36分に右サイドを崩してクロスを入れると、相手選手に当たってゴール方向に流れたボールをMF井田がダイレクトで決めて2対1と勝ち越しに成功する。
ビハインドとなった鵬翔は、直後にFKを得ると、ゴール前の混戦から最後は3年生のMF東が右足で決めて2対2の同点に追いついて、試合はPK戦に突入する。PK戦も先にリードを奪ったのは星稜だったが、星稜は4人目から3人連続で決められず。最後は、鵬翔のMF川崎が確実に決めて試合終了。
結局、PK戦の末、宮崎県代表の鵬翔が勝利して、宮崎県勢として初の決勝進出が決定。準決勝の2試合目の京都橘と桐光学園の勝者と14日(月)のファイナルで対戦することになった。一方の星稜は、8年前と同じくPK戦で敗れて決勝進出はならなかった。
■ 試合を優位に進めた星稜今大会は、準決勝に進出した4チーム全て優勝経験は無いので、どこが優勝しても初優勝となるが、準決勝の1試合目は、最後まで目の離せない好ゲームとなった。個のテクニックで優っていたのは鵬翔だったが、星稜はシンプルな攻撃でチャンスを作った。
星稜はロングスローが注目されていたが、2トップの一角のFW今井のところでしっかりとボールが収まっており、なかなか前線にボールがおさまらない鵬翔を尻目にシンプルな形からチャンスを作った。結局、4人目のキッカーで登場したFW今井がPKを失敗したことで流れが変わってしまったので、FW今井にとっては、残念な結果になったが、彼の正確なポストワークは際立っていた。
また、勝ち越しゴールを決めたMF井田のテクニックも光った。右サイドにポジションを取ることが多かったが、テクニックを駆使して、多くのチャンスを演出した。勝ち越しゴールは後ろから来るボールをダイレクトで決めるという非常に難易度の高いシュートだったが、見事に枠を捕えた。
■ 粘り強く戦った鵬翔一方の鵬翔は、2度同点に追いついて、さらにPK戦でも劣勢だったが、盛り返した。特に、後半36分に勝ち越しゴールを許したときは、相当に苦しくなったが、直後のセットプレーで追いつくことができたのが大きかった。結局、2点ともセットプレーからゴールが生まれたが、いい時間帯にゴールが生まれた。
硬さがあったのか、前半は自分たちのサッカーができなかったが、後半になるとパスも回るようになった。星稜の攻撃はシンプルで、かつ、オーソドックスなものだったが、鵬翔の方は、捻りのある攻撃なので、観ていて面白いのは、鵬翔の方だったが、後半は何度かきれいな崩しからチャンスを作った。
鵬翔の選手で目立ったのは、同点のFKを決めたMF小原である。4度ほどゴール前の絶好の位置でFKを得て、その3度目のチャンスをゴールに結びつけたが、右足でスピードのあるボールを蹴って、相手のキーパーは処理することができなかった。
また、スタメン22人の中で、唯一の1年生プレーヤーだったFW北村も何度かいいプレーを見せた。163センチで一際、小さく見えるが、運動量とテクニックは上位レベルである。結果を出すことができずに途中交代となって、ベンチに引き上げるときは、涙を見せていたが、決勝戦が残っているので、ここでいいプレーを見せて欲しいところである。
■ PK戦での決着の是非星稜は、日本代表のMF本田圭がキャプテンだった2004年大会も準決勝で市立船橋にPK戦で敗れているので、またしても、PK負けで決勝進出を逃した。W杯であったり、高校サッカーが開催されるたびに、PK戦の是非について、議論が巻き起こるが、現状ではベターな方法であることは、間違いない。
もちろん、「運が勝敗を左右するのはいかがなものか?」という意見も一理あるが、高校サッカー選手権を勝ち抜くためには、PK戦を制することも大事なことであり、国立あるは優勝を目指しているチームは、PK戦の準備もしっかりと行ってきていると思うので、完全な運任せというわけでもない。
鵬翔の選手も、星稜の選手も、PKのキッカーはきっちりとコースを狙ってシュートを打っていて、訓練されていることは、PK戦だけを観てもよく分かる。PKを失敗した星稜の選手には、ツライ現実となったが、乗り越えていってほしいところである。
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