■ 初優勝を飾った広島 J1を制覇した広島は、得点「63」がリーグ2位で、失点「34」はリーグ2位タイで、得失点差「29」はリーグ1位と、攻守のバランスの取れた好チームだった。J1の18チームの中で、得失点差が「+10」以上だったのは、広島と仙台と横浜FMの3チームだけで、仙台は「+16」で、横浜FMは「+11」なので、得失点差はダントツで1位だった。
今シーズンの広島は、それ以外のスタッツも、軒並みトップレベルで、アシスト数がリーグ1位で、シュート決定率とパス成功率はリーグ2位で、クロス成功率はリーグ3位で、パス数がリーグ4位で、ドリブル数とドリブル成功率がリーグ5位となっている。
また、守備に関するスタッツは、クリア数とブロック数とセーブ数がリーグ最少となっている。当然、この3つは、相手チームに攻め込まれなければ、増えない数字なので、守備に関するスタッツも優秀で、攻撃でも、守備でも、ほとんどの数字がベスト5に入っている。
■ インターセプト数のランキングその中で、今回、着目したのは、インターセプト数である。34試合で131回というのは、リーグトップで、2位以下を大きく引き離している。もちろん、各々のチームで、守り方は違うので、「インターセプト数が多い=守備がいい」というわけでもないが、アグレッシブで組織的な守備ができていることを示す指標の1つではないかと思う。
今シーズン、広島が優勝した理由として、「守備が良くなったこと。」を挙げる人が多かったので、そうなると、「これも森保効果か!?」と思ったが、実は、この数字というのは、2011年もリーグ1位だった。よって、「森保効果」とは言えないが、ペトロヴィッチ監督率いる浦和がリーグ最少タイということで、対照的な数字になっているのは面白いところである。
表1. 各チームのインターセプト数
| 順位 | チーム名 | インターセプト数 |
1 | 1 | サンフレッチェ広島 | 131 |
2 | 14 | セレッソ大阪 | 107 |
3 | 5 | サガン鳥栖 | 102 |
3 | 16 | ヴィッセル神戸 | 102 |
5 | 18 | コンサドーレ札幌 | 100 |
6 | 11 | 鹿島アントラーズ | 95 |
6 | 12 | ジュビロ磐田 | 95 |
8 | 6 | 柏レイソル | 94 |
8 | 15 | アルビレックス新潟 | 94 |
10 | 8 | 川崎フロンターレ | 92 |
11 | 9 | 清水エスパルス | 91 |
12 | 2 | ベガルタ仙台 | 90 |
12 | 7 | 名古屋グランパス | 90 |
14 | 10 | FC東京 | 88 |
15 | 4 | 横浜Fマリノス | 75 |
15 | 13 | 大宮アルディージャ | 75 |
17 | 3 | 浦和レッズ | 70 |
17 | 17 | ガンバ大阪 | 70 |
■ 個人別のランキング(1) 個人別でも、当然のことながら、広島の選手の多くが上位に食い込んでいる。ここでは、インターセプト数が10回以上だった選手を抜き出している。これに、該当するのは53名だったが、DF森脇が31回で1位で、MF森崎和が22回で3位、MF青山敏が16回で7位タイと、ベスト10に3人が入っている。
広島勢以外で、注目したいのは、7位タイのMF金民友と15位タイのMF水沼の2人である。ランクインしているのは、ボランチやSBの選手が多くて、攻撃的なポジションの選手は少ないが、「主に2列目でプレーする2人が上位に来ている。」というのは、鳥栖の強みと言えるだろう。
表2. インターセプト数のランキング (10本以上)
| 選手名 | チーム名 | 試合数 | 出場時間(分) | インターセプト数 | インターセプト数/試合 |
|
1 | 森脇 良太 | 広島 | 33 | 2964 | 31 | 0.941 |
2 | 山口 螢 | C大阪 | 30 | 2633 | 24 | 0.820 |
3 | 森崎 和幸 | 広島 | 33 | 2970 | 22 | 0.667 |
4 | 丹羽 竜平 | 鳥栖 | 33 | 2951 | 21 | 0.640 |
4 | 高橋 秀人 | F東京 | 33 | 2962 | 21 | 0.638 |
6 | 村松 大輔 | 清水 | 29 | 2565 | 17 | 0.596 |
7 | 金 民友 | 鳥栖 | 31 | 2590 | 16 | 0.556 |
7 | 大谷 秀和 | 柏 | 31 | 2653 | 16 | 0.543 |
7 | 青山 敏弘 | 広島 | 34 | 2889 | 16 | 0.498 |
7 | 中村 憲剛 | 川崎F | 34 | 3003 | 16 | 0.480 |
11 | 栗澤 僚一 | 柏 | 26 | 1847 | 15 | 0.731 |
11 | 田中 英雄 | 神戸 | 27 | 1986 | 15 | 0.680 |
11 | 阿部 翔平 | 名古屋 | 29 | 2511 | 15 | 0.538 |
11 | 柴崎 岳 | 鹿島 | 31 | 2690 | 15 | 0.502 |
15 | 水沼 宏太 | 鳥栖 | 33 | 2347 | 14 | 0.537 |
15 | 富田 晋伍 | 仙台 | 29 | 2488 | 14 | 0.506 |
15 | 角田 誠 | 仙台 | 28 | 2516 | 14 | 0.501 |
15 | 三門 雄大 | 新潟 | 31 | 2633 | 14 | 0.479 |
15 | 河井 陽介 | 清水 | 32 | 2664 | 14 | 0.473 |
15 | 山田 大記 | 磐田 | 31 | 2741 | 14 | 0.460 |
15 | 本間 勲 | 新潟 | 33 | 2823 | 14 | 0.446 |
15 | 遠藤 保仁 | G大阪 | 34 | 2986 | 14 | 0.422 |
23 | 西 大伍 | 鹿島 | 30 | 2671 | 13 | 0.438 |
23 | 相馬 崇人 | 神戸 | 32 | 2786 | 13 | 0.420 |
23 | 今野 泰幸 | G大阪 | 33 | 2970 | 13 | 0.394 |
26 | 茨田 陽生 | 柏 | 28 | 1686 | 12 | 0.641 |
26 | 河合 竜二 | 札幌 | 25 | 2233 | 12 | 0.484 |
26 | 田中 裕介 | 川崎F | 29 | 2529 | 12 | 0.427 |
26 | 小笠原 満男 | 鹿島 | 31 | 2608 | 12 | 0.414 |
26 | 鎌田 次郎 | 仙台 | 31 | 2613 | 12 | 0.413 |
26 | 菊地 光将 | 大宮 | 33 | 2970 | 12 | 0.364 |
26 | 千葉 和彦 | 広島 | 33 | 2970 | 12 | 0.364 |
26 | 阿部 勇樹 | 浦和 | 34 | 3044 | 12 | 0.355 |
34 | 宮澤 裕樹 | 札幌 | 23 | 1745 | 11 | 0.567 |
34 | 米本 拓司 | F東京 | 27 | 1770 | 11 | 0.559 |
34 | 奈良 竜樹 | 札幌 | 22 | 1893 | 11 | 0.523 |
34 | 高木 俊幸 | 清水 | 30 | 2021 | 11 | 0.490 |
34 | 田中 亜土夢 | 新潟 | 34 | 2309 | 11 | 0.429 |
34 | 藤田 義明 | 磐田 | 31 | 2749 | 11 | 0.360 |
34 | 坪井 慶介 | 浦和 | 33 | 2834 | 11 | 0.349 |
34 | 藤本 康太 | C大阪 | 32 | 2844 | 11 | 0.348 |
34 | 野沢 拓也 | 神戸 | 33 | 2924 | 11 | 0.339 |
34 | 藤田 直之 | 鳥栖 | 33 | 2946 | 11 | 0.336 |
34 | 水本 裕貴 | 広島 | 34 | 3060 | 11 | 0.324 |
45 | シンプリシオ | C大阪 | 15 | 1286 | 10 | 0.700 |
45 | キム ボギョン | C大阪 | 15 | 1334 | 10 | 0.675 |
45 | 朴 柱成 | 仙台 | 23 | 1828 | 10 | 0.492 |
45 | 渡邉 大剛 | 大宮 | 31 | 2098 | 10 | 0.429 |
45 | 扇原 貴宏 | C大阪 | 29 | 2233 | 10 | 0.403 |
45 | 奥井 諒 | 神戸 | 27 | 2341 | 10 | 0.384 |
45 | 鈴木 大輔 | 新潟 | 28 | 2516 | 10 | 0.358 |
45 | 増嶋 竜也 | 柏 | 30 | 2676 | 10 | 0.336 |
45 | 李 記帝 | 清水 | 33 | 2803 | 10 | 0.321 |
■ 個人別のランキング(2)表2は、本数の多い順に並べているが、表3は、90分あたりのインターセプト数のランキングである。このとおり、ここでも、広島のDF森脇が1位となって、2位のMF山口螢も同様だったが、3位にMF栗澤が入ってきて、4位がMFシンプリシオ、5位がMF田中英、6位がMFキム・ボギョンとなって、表2とは、全く異なるランキングになっている。
この中では、C大阪の背番号「7」を背負ったMFキム・ボギョンとMFシンプリシオの2人が目立っている。MFキム・ボギョンは、攻撃的なポジションの選手であるが、個人でボールを奪い取る強さを持っていて、守備でも貢献していたことが、数字からも想像できる。
それ以外では、2位にMF山口螢、8位にMF茨田、11位にMF村松、12位にMF宮澤、13位にMF米本、17位にMF水沼、18位にDF奈良、20位にMF柴崎と若手がランクインしていることも注目に値する。MF米本は、出場時間は多くなかったが、大怪我を乗り越えて、持ち前のボール奪取力が戻ってきていることをうかがわせる数字を残している。
一方、札幌のDF奈良は、初のJ1の舞台で思うような活躍はできず、チームもJ2降格となったが、ベスト20のうち、CBでランクインしているのは、DF森脇とDF奈良の2人だけなので、CBとして能力の高さの片りんは見せたと言えるだろう。
表3. 90分あたりのインターセプト数 (10本以上の選手に限定)
| 選手名 | チーム名 | 試合数 | 出場時間(分) | インターセプト数 | インターセプト数/試合 |
|
1 | 森脇 良太 | 広島 | 33 | 2964 | 31 | 0.941 |
2 | 山口 螢 | C大阪 | 30 | 2633 | 24 | 0.820 |
3 | 栗澤 僚一 | 柏 | 26 | 1847 | 15 | 0.731 |
4 | シンプリシオ | C大阪 | 15 | 1286 | 10 | 0.700 |
5 | 田中 英雄 | 神戸 | 27 | 1986 | 15 | 0.680 |
6 | キム ボギョン | C大阪 | 15 | 1334 | 10 | 0.675 |
7 | 森崎 和幸 | 広島 | 33 | 2970 | 22 | 0.667 |
8 | 茨田 陽生 | 柏 | 28 | 1686 | 12 | 0.641 |
9 | 丹羽 竜平 | 鳥栖 | 33 | 2951 | 21 | 0.640 |
10 | 高橋 秀人 | F東京 | 33 | 2962 | 21 | 0.638 |
11 | 村松 大輔 | 清水 | 29 | 2565 | 17 | 0.596 |
12 | 宮澤 裕樹 | 札幌 | 23 | 1745 | 11 | 0.567 |
13 | 米本 拓司 | F東京 | 27 | 1770 | 11 | 0.559 |
14 | 金 民友 | 鳥栖 | 31 | 2590 | 16 | 0.556 |
15 | 大谷 秀和 | 柏 | 31 | 2653 | 16 | 0.543 |
16 | 阿部 翔平 | 名古屋 | 29 | 2511 | 15 | 0.538 |
17 | 水沼 宏太 | 鳥栖 | 33 | 2347 | 14 | 0.537 |
18 | 奈良 竜樹 | 札幌 | 22 | 1893 | 11 | 0.523 |
19 | 富田 晋伍 | 仙台 | 29 | 2488 | 14 | 0.506 |
20 | 柴崎 岳 | 鹿島 | 31 | 2690 | 15 | 0.502 |
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