■ 準決勝の1試合目2012年のクラブW杯の準決勝の1試合目。南米王者のコリンチャンスと、アフリカ王者のアルアハリが豊田スタジアムで対戦した。アルアハリは準々決勝でJリーグ王者の広島に2対1で勝利して準決勝に進出してきた。
コリンチャンスは「4-2-3-1」。GKカッシオ。DFアレッサンドロ、シカォン、パウロ・アンドレ、ファビオ・サントス。MFパウリーニョ、ハウフィ、ダニーロ、ドグラス、エメルソン。FWゲレーロ。元浦和のMFエメルソン、元鹿島のDFファビオ・サントスとMFダニーロはスタメン出場となった。
対するアルアハリは「4-2-3-1」。GKイクラミ。DFファティ、ゴマ、ナギブ、キナウィ。MFラビア、アシュール、スリマン、サイード、ギド。FWハムディ。OAでロンドン五輪にも出場しているエジプト代表のFWアブトレイカはベンチスタートとなった。
■ 1対0でコリンチャンスが勝利試合は前半30分にコリンチャンスが先制する。CKの流れから左サイドでボールを受けたMFドグラスがファーサイドにクロスを入れると、これをペルー代表のFWゲレーロがヘディングで決めてコリンチャンスが先制。1対0とコリンチャンスがリードして前半を折り返す。
後半になると、アルアハリがボールを保持する時間が長くなって、試合を優位に進めていく。後半10分に切り札のFWアブトレイカを投入すると、その勢いは加速して、何度かゴール前のシーンを作る。しかしながら、コリンチャンスの中央の守備は堅くて、こじ開けることはできない。
結局、試合は1対0でコリンチャンスが勝利して決勝進出が決定。13日(木)に行われるチェルシーとモンテレイの勝者と世界一を賭けて戦うことになった。一方のアルアハリは、後半は押し気味に試合を進めたが、同点に追いつくことはできず。3位決定戦に回ることになった。
■ 現実的なサッカーを見せるコリンチャンスHSVなどで活躍したFWゲレーロ、鹿島でプレーした経験のあるMFダニーロ、Jリーグで得点王とMVPに輝いているMFエメルソンなど、攻撃的なタレントを何人も擁しているので、コリンチャンスはもっと攻撃的なチームかと思っていたが、かなり守備的なチームで、「決勝ゴールもセットプレーから」ということで、どちらかというと、地味な試合となった。
2011年のクラブW杯に出場したサントスは、FWネイマールやMFガンソなど、ブラジル代表の中心選手を抱えており、非常に攻撃的なチームだった。よって、「ブラジルらしさ」を存分に感じさせたが、コリンチャンスからはそういったものは、あまり感じなかった。1対0で勝利したが、決定機もほとんどなくて、鮮やかにパスが回るシーンというのも、皆無だった。
サントスとコリンチャンスを比較すると、「また、観に行きたい。」と思わせるサッカーを見せたのは、サントスの方だったと思うが、しかしながら、決勝では、バルセロナに0対4で大敗した。「10回、試合を行っても、全部、バルセロナが勝つのではないか?」と思うほど、総合力の差はあったが、コリンチャンスの場合は、バルセロナが相手でも、チェルシーが相手でも、それなりの試合ができると思う。
驚いたのは、サイドハーフのMFダニーロやMFエメルソンも、しっかりと守備をしているところで、単にポジションを守っているだけでなく、積極的に相手にプレッシャーをかけている。特に、MFエメルソンに関しては、浦和時代とは別人のようなプレーぶりだった。チェルシーが相手になるのか、モンテレイが相手になるのか、分からないが、チェルシーと言えども、コリンチャンスの守備を崩すのは大変だと思う。
サッカー解説者のセルジオ越後氏は、コリンチャンスでプレーした経験があるというが、普段から「辛口」で鳴らしている人なので、古巣のサッカーを観て、憤慨しているのではないかと思うが、古き良きブラジルサッカーでは、欧州のトップチームに勝てなくなっているのは、誰の目にも明らかである。一抹の寂しさは感じるが、観ている方も、「そういう時代になった。」と受け入れざるえない。
■ アルアハリは3位決定戦に・・・一方のアルアハリは、後半は攻め込んだが、崩し切ることはできなかった。コリンチャンスは先制すると引き気味になって、カウンターが中心となって、アルアハリはボールを持つことはできたが、あまりスペースもなかったので、アルアハリの方も、決定機はほとんどなかった。
準々決勝の広島戦は、広島の方の「決定力不足」に助けられたところもあって、守備に弱点のあるチームかと思ったが、この日は、危ないシーンというのはほとんどなかったので、広島戦と比べると、肝を冷やすシーンというのは、少なかったと思うが、エジプト代表のFWアブトレイカの個人技を除くと、攻撃において、武器となるものはなかった。
エジプト代表というと、2006年と2008年と2010年のアフリカネーションズカップを制覇しており、アフリカ屈指の強豪国と言われているが、なぜか、W杯には縁が無くて、最後に出場したのは、1990年のイタリア大会なので、最近、5大会連続でW杯出場を逃している。
アフリカネーションズカップとW杯予選の成績にここまで差があることに驚きを覚えるが、ロンドン五輪でもベスト8に入っており、間違いなく、力はある。FWアブトレイカは34歳なので、2014年のW杯というのは、難しいかもしれないが、それ以外にも、いい選手はたくさんいるので、久々のW杯出場を期待したいところである。
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