■ 両チームのスタメン勝てばJ1昇格の決まる京都は「4-2-3-1」。GK水谷。DF安藤、染谷、バヤリッツァ、福村。MFチョン・ウヨン、中山、工藤、中村充、内藤。FW駒井。41節の福岡戦で肩を脱臼して途中交代となったDF染谷もスタメン出場となった。38試合で11ゴールを挙げているFW宮吉はベンチスタートとなった。
対する甲府は「4-1-4-1」。GK荻。DF福田、津田、盛田、佐々木。MF山本英、伊東輝、井澤、柏、永里。FWフェルナンジーニョ。38試合で32ゴールを挙げているFWダヴィは出場停止のため、FWフェルナンジーニョの1トップとなった。FWフェルナンジーニョは16試合で1ゴールを挙げている。
#7 サンガサポーター
■ ドローで3位に転落・・・試合の立ち上がりはアウェーの甲府のペースとなって、何度か京都のゴールを脅かすが、前半10分を過ぎると、京都もチャンスを作るようになって、MFチョン・ウヨンのミドルシュートなどで惜しいシーンを作るようになる。前半30分にはFKからFW駒井がヘディングシュートを放つが、クロスバー直撃でゴールならず。前半は0対0で終了する。
後半になると、甲府がFW高崎、MF石原を投入して、試合を動かそうとするが、勝ち点「3」が必要な京都がボールを保持する時間が長くなっていく。後半13分には、FW駒井のパスを受けたMF中村充がGKと1対1のチャンスを得るが、GK荻がビッグセーブを見せて先制することはできない。
3位の湘南がリードしており、勝たないと3位以下に転落する京都は、終盤はセットプレーを中心に甲府のゴールに迫るが、最後までゴールを奪うことはできない。結局、試合はスコアレスドロー。3位の湘南が勝利したので、最終節で京都は3位に転落して、自動昇格はならなかった。一方の甲府は24試合無敗でJ1に旅立つことになった。
#8 京都イレブン
■ 24試合無敗でJ1へ!!!FWダヴィを欠いたものの、FWフェルナンジーニョが攻撃をリードして、引き分けに持ち込んだ甲府は、これで24試合連続負けなしとなった。最後に敗れたのは、6月9日の千葉戦ということで、5か月以上前の話である。昇格と優勝を決めた後も、「無敗記録を更新する」という目標があって、これをストップさせることなくシーズンを終えた点は、高く評価できる。
記録を更新するためには、「引き分けでもOK」という状況なので、京都に比べると、楽な状況と言えたが、攻撃力のある京都が相手でも、堅実な守備を見せて、思い通りのサッカーをさせなかった。ボールを持たれる時間帯はあったが、中盤のキーマンたちに自由を与えることはなかった。
山梨中銀スタジアムで行われた5月6日の13節の京都戦は0対3で敗れているので、勝ってリベンジを果たしたかったが、最低限の結果を残した。大木監督は甲府が初昇格を果たしたときの監督であるが、その目の前でチームが成長していることを示したと言える。
■ J1に挑戦する2013年甲府は天皇杯は敗れているので、これでシーズンの全日程が終了した。ここ数年は、12月の最初の土曜日がリーグ戦の最終戦になることがほとんどだったので、今年のJ2は、プレーオフに進む4チームと天皇杯で勝ち残っているチームを除くと、かなり早い段階でシーズンを終えることになる。
選手やスタッフにとっては、ありがたいことだと思うが、甲府はJ1での戦いが待っているので、ゆっくり休んでいる暇はない。J1のチームは、12月1日(土)が最終戦となるが、このアドバンテージを利用して、戦力アップを図りたいところである。
今シーズンの甲府は、独走状態でJ1昇格を決めたので、J1でも旋風を巻き起こすことが期待されるが、率直に言うと、J1では、苦労する可能性が高いと思う。今シーズンは、GK荻、DF津田、DF盛田、MF山本英、MF伊東輝が中心となって、堅いサッカーを見せたが、ベテランが多くて、J2でこういうサッカーをしてきた勝ち進んできたチームは、昇格した後、苦戦するケースが多い。
特に、守備陣に関しては、メンバーも固定されており、「組織力」と武器になったが、このままのメンバーでJ1に挑むと、個人の力量不足で、失点を重ねることが予想される。新しい選手を増やしすぎると、積み上げてきたものが壊れてしまうので、難しいところであるが、即戦力の補強は不可欠であり、チームのバランスを壊さない程度の適度な補強が求められる。
甲府は3度目の昇格となるが、もはや、昇格しただけで満足できるようなチームではなくなっている。したがって、城福監督の人脈を最大限に生かして、残留できるメンバーを集めて、まずは、最初のステップとして、2006年以来となる「J1残留」を果たしたいところである。
#9 甲府サポーター
■ 3位でプレーオフに進む一方の京都は、「23試合無敗の甲府に勝つ。」というミッションが与えられたが、甲府の守備は堅くて、こじ開けることはできなかった。前半のFW駒井のヘディングシュートと、後半のFW中村充がGKと1対1になったシーンと、2度、大きなチャンスを作ったが、相手の守備を崩す回数は少なかった。
ただ、「勝利が必要な試合」とは言っても、負けると、4位や5位に転落する可能性もあったので、闇雲に攻めることはできず、さじ加減は難しかった。引き分けに終わったことで、湘南に抜かれて自動昇格はならなかったが、横浜FCと千葉と大分を上回って、3位でプレーオフに進むことができたのは、数少ないポジティブな要素である。
プレーオフの初戦は、ホームで6位の大分と対戦することになったが、延長戦は行われないので、引き分けでも、京都は勝ち上がることが出来る。プレーオフの2試合目も同じ条件なので、「2試合連続で引き分け」でも、昇格を決めることができるので、京都がもっとも有利な立場である。
#10 雨の中
■ 西京極で感じたこと試合は、雨にもかかわらず、12,296人のサポーターが集まった。甲府のサポーターも多かったが、京都のサポーターも多くて、特に、京都のゴール裏のサポーターは、ほとんど歌声が途切れることなく、選手たちを後押しし続けた。主力メンバーだけでなく、全員に固有のチャントが作られているというのは、比較的、珍しいのではないかと思う。
ということで、コアなサポーターの勢いは凄まじかったが、それ以外に関しては、正直なところ、雨の影響が大きかったのか、スタジアムの盛り上がり具合は、事前の予想を下回るものであり、「勝てば昇格」という大一番にしては、おとなしかったように感じる。
スタジアムDJの方も、テンションは低めで、サポーターを煽るようなことはほとんどなかった。家から合羽を持ってくるのを忘れて、ずぶ濡れになりながら、仕事をしていたのではないかと推測するが、うるさいタイプのDJが多い中では、かなり異質である。
そして、先のとおり、スタジアムグルメも充実しているとは言い難い。屋根が無いことは、どうしようもないことなので、我慢するしかないが、それ以外の部分で、ここのスタジアムは、改善できるところがたくさんあるのではないかと思われる。
もちろん、クオリティーの高い試合を見せることが、一番のファンサービスであり、サポーターがもっとも望んでいることである。その点で言うと、J2の中では、トップレベルのクラブであり、J1を含めても、上位にランクされると思うが、それ以外の部分は、アクセスの良さを除くと、軒並み、及第点以下であり、現状では、リピーターを増やすのは、難しいと思う。
当然、「陸上競技場である。」というハンディは大きいが、サッカー専用スタジアムではなくても、出来ることはたくさんある。例えば、甲府の山梨中銀スタジアムは、普通の陸上競技場であるが、雰囲気作りに成功して、陸上競技場に限定すると、日本でもトップ3に入るほど、雰囲気のあるスタジアムと言えるが、その点でも、西京極は見劣りする。
京都という街は、日本一の観光都市なので、誰かをもてなすことに関しては、慣れている人が多いと思われる。Jリーグには、40のクラブがあるが、最近は、どののスタジアムでも、松本なら松本の、大阪なら大阪の、岡山なら岡山の、岐阜なら岐阜の、いいところも悪いところも感じられるようになっているが、西京極では「京都」を感じることはできなかった。このあたりは、ちょっと残念であり、もったいないように感じる。
#11 西京極
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