■ 第30節J1の第30節。13勝10敗6分けで勝ち点「45」の名古屋グランパスと、10勝6敗13分けで勝ち点「43」の横浜Fマリノスが豊田スタジアムで対戦した。ACLの出場権争いは、3位の浦和が勝ち点「48」、4位の柏と5位の清水と6位の名古屋が勝ち点「45」、7位の横浜FMが勝ち点「43」、8位の磐田が勝ち点「42」で続いている。
ホームの名古屋は「4-1-2-3」。GK楢崎。DF石櫃、ダニエル、増川、阿部。MF田口、小川、藤本。FW永井、闘莉王、金崎。右SBはDF田中隼が出場停止のため、DF石櫃が起用された。DF石櫃は今シーズン5試合目のスタメンとなる。FW闘莉王はセンターフォワードでの出場となった。
対するアウェーの横浜FMは「4-2-3-1」。GK榎本哲。DF金井、栗原、中澤、ドゥトラ。MF中町、富澤、兵藤、中村俊、齋藤学。FWマルキーニョス。右SBのDF小林祐はコンディション不良のためベンチ外で、ロンドン世代のDF金井がスタメンとなった。DF金井は今シーズン7試合目のスタメンとなった。
■ 1対1のドロー前半はアウェーの横浜FMのペースとなる。FWマルキーニョス、MF齋藤学、DFドゥトラの3人が中心となって、左サイドからチャンスを作っていく。一方の名古屋は、フォワードで起用されたFW闘莉王に生きたボールを供給できず。前半はゴールこそ生まれなかったが、アウェーの横浜FMが主導権を握った状態でハーフタイムに突入する。
後半開始から名古屋はMF藤本を下げてMFダニルソンを投入。「4-1-2-3」から「4-2-2-2」に変更すると、ダブルボランチになって守備が安定して、後半はどちらかというと、名古屋のペースで進んでいく。横浜FMはMF中村俊のところから攻撃を仕掛けるが、前半のようなスムーズなサッカーはできない。
すると、後半42分にFW闘莉王のスルーパスを起点にFW永井がシュートを放って、こぼれたボールをMF田口がシュートを放つ。これは、カバーに戻ってきたDF栗原が何とか防ぐが、ゴール前のFW玉田が落ち着いたコントロールからゴールに流し込んで、ホームの名古屋が先制する。FW玉田は今シーズン5ゴール目となった。
ビハインドの横浜FMは後半ロスタイムにゴール左寄りでFKを得ると、これをMF中村俊が得意の左足で直接決めて土壇場で1対1の同点に追いつく。MF中村俊は今シーズン5ゴール目となった。その直後に試合終了のホイッスルが鳴って、1対1で終了。名古屋は目前に迫っていた勝ち点「3」を逃した。一方の横浜FMは、5試合負けなしとなった。
■ MF中村俊が同点FK6位の名古屋と7位の横浜FMの対戦だったが、前半は横浜FMのペースで進んだ。見事だったのは、MF富澤とMF中町のダブルボランチで、完璧に近い形でフィルター役となって、こぼれ球を確実に拾った。近年の横浜FMは、MF河合やMF松田など、CBタイプの選手をボランチで起用してきたが、今シーズン、東京Vから加入してきたMF富澤も質の高いプレーを見せて、ボランチでポジションをつかんだ。
ただ、GK楢崎の活躍もあっていくつかあったチャンスを逃すと、後半はシステムを変更してきた名古屋にペースを握られて、後半42分にFW玉田に先制ゴールを許した。前半とは打って変わって苦しい展開となったが、後半50分にMF中村俊が見事なFKを決めて同点に追いついた。その直後に試合は終了したので、本当の意味でのラストプレーだったが、千両役者が最後に大仕事をした。負けると3位は厳しくなる状況だったので、大きなドローとなった。
名古屋と横浜FMの試合というと、GK楢崎、FW闘莉王、DF中澤、MF中村俊、MF三都主など、日本代表で一時代を築いた選手たちの共演となるが、ラストのFKのシーンは見せ場たっぷりで、これほど、見ごたえのあるシーンというのは、滅多にないだろう。MF中村俊が左足で直接ゴールを狙うというのは、誰の目にも明らかで、サッカーでは珍しいGK楢崎との真っ向勝負となったが、MF中村俊に軍配が上がった。
MF中村俊は横浜FMに戻ってきて3シーズン目となるが、今シーズンが一番いい状態でプレーしている。特に、8月あたりから調子を上げてきて、たくさんのゴールに絡んでいる。ここ最近は、「4-2-3-1」のトップ下でプレーしているが、ゴールに近いところでプレーして、決定的な仕事を見せている。
10代の頃から注目されてきたMF中村俊も、早いもので34歳となった。セルティック時代の終盤やエスパニョール時代は、コンディションが上がらず、南アフリカW杯も苦労したが、最近のパフォーマンスを見ると、当分の間は、まだ、トップレベルで活躍できるだろう。さすがに「キレ」は全盛期と比べると落ちているが、技術とイマジネーションは衰えることを知らない。
■ MF吉田がブレーキ一方の名古屋は、後半開始からMFダニルソンを投入して、オーソドックスな「4-2-2-2」に変更して盛り返すと、後半42分に途中出場のFW玉田が決めて先制に成功したが、最後の最後で同点に追いつかれてしまった。試合後は、ストイコビッチ監督もがっくりと肩を落としていたが、その気持ちはよく分かる。
勝ち点「3」にはつながらなかったが、21歳のMF田口にはいい経験になったと思われる。MF田口とMF中村俊がマッチアップする機会が多くて、MF中村俊のテクニックに手を焼いたが、粘り強く対応した。ファールを取られることも多かったが、特徴である攻撃だけでなく、守備でも頑張れるようになっていることを感じさせて、着実にレベルアップしていることをうかがわせた。
対照的に、高卒2年目のMF吉田にとっては、厳しい試合となった。後半27分にFW金崎と交代でピッチに入ったが、攻撃のときは、中途半端なプレーでボールを失う場面が続いて、最後のMF中村俊のFKも、MF吉田のファールがきっかけとなった。
すでに、交代カードを3枚使っていたので、MF吉田を代えることはできなかったが、途中出場で途中交代となっても全くおかしくない出来で、「3.5」や「4.0」という採点になっても不思議はないパフォーマンスだった。ロスタイムにファールを犯した直後、FW闘莉王に頭を叩かれていたが、この苦い経験を次に生かさなければならない。MF吉田にとっては、いつまでも忘れられない試合になったと言える。
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