■ 第30節J1の第30節。13勝7敗9分けで勝ち点「48」の浦和レッズと、11勝12敗6分けで勝ち点「39」のセレッソ大阪が埼玉スタジアムで対戦した。J1の優勝争いは、首位の広島が勝ち点「54」で、2位の仙台も勝ち点「54」で、3位の浦和は勝ち点「48」で上位2チームを追っている。
ホームの浦和は「3-4-2-1」。GK加藤。DF坪井、永田、槙野。MF鈴木啓、阿部、梅崎、宇賀神、柏木、マルシオ・リシャルデス。FW原口。29節の仙台戦はベンチスタートだったFW原口がスタメンに復帰して、FWポポはベンチスタートとなった。FW原口は27試合で6ゴールを挙げている。
対するアウェーのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、藤本、丸橋。MF山口螢、シンプリシオ、枝村、柿谷、ヘベルチ。MF杉本。ロンドン五輪代表のMF扇原は2試合連続ベンチスタートで、MF山口螢とMFシンプリシオのダブルボランチとなった。MF柿谷は26試合で10ゴールを挙げている。
■ 0対0のドロー試合は立ち上がりからスピーディーな展開となる。浦和はFW原口を起点にしてチャンスを作っていく。一方のC大阪はカウンターが中心て、前半13分にペナルティエリア付近でDF槙野からボールを奪ったMF枝村が決定機を迎えるが、GK加藤が好セーブを見せてゴールならず。前半は0対0で終了する。
後半になると、浦和がボールを保持する時間が長くなって浦和が優勢となる。1トップのFW原口は2度ほど、決定機を迎えるが、GKキム・ジンヒョンに防がれてゴールならず。劣勢となったC大阪はMF柿谷に代えてMF吉野を投入すると、ボールが回るようになって、終盤はC大阪のペースとなる。後半45分には、MF山口螢のパスを受けたFW杉本がGKと1対1のチャンスを迎えるが、決めることはできず。
結局、試合はスコアレスで終了。両チームとも勝ち点「1」を獲得した。上位陣は首位の広島と2位の仙台も引き分けに終わったので、上位3チームの勝ち点差は変わらなかった。一方のC大阪は勝ち点「40」に到達して、J1残留に近づいたと言える。
■ ホームで勝てず・・・浦和は、2006年以来のリーグ制覇を果たすためには、残り試合は全勝に近い結果が求められるが、ホームでスコアレスドローに終わった。これでホームゲームは4試合勝利なしとなったが、15位の大宮と1対1のドローで、16位のG大阪には0対5で敗れて、18位の札幌にも1対2で敗れて、11位のC大阪とはスコアレスドローということで、順位が下のチームとの対戦で取りこぼしが目立っている。
浦和はいくつか決定機を作ったが、決定力が不足していた。FW原口は2試合ぶりのスタメンだったが、いくか決定機に絡んで出来は良かったが、フォワードなのでチャンスシーンで決められないと評価されない。C大阪のFW杉本も同様であるが、大事なところで点の獲れる選手になって欲しいところである。
この日は、MF平川が怪我で欠場となったため、MF梅崎を右WBに回して、MF宇賀神を左WBで起用してきたが、成功しなかった。MF梅崎が最初から右WBでプレーするのは、今シーズン初ということで、思い切ったことをしてきたが、不慣れなであることが影響したのか、ほとんど存在感を示すことができなかった。
C大阪は、ここ最近、左サイドのDF丸橋のところからチャンスを作っているので、「そこにMF梅崎を当てることでDF丸橋の攻撃力を封じる。」という狙いがあったのもしれないが、MF宇賀神は左右どちらのサイドでもプレーできるので、MF梅崎のポジションを動かす必要はなかったのではないかと思う。
MF梅崎は、左WBでプレーするときは、左サイドからカットインして右足でシュートを狙ってくるので、相手の脅威になっているが、この日は、中央に切れ込んだとしても、左足でシュートを打つことになるので、相手に怖さを感じさせることはできなかった。
■ 3シャドーの候補は?一方のC大阪は、前半13分にMF枝村、後半45分にFW杉本がGKと1対1という大チャンスを迎えたが、決めることはできなかった、それ以外はあまりチャンスは無くて、終盤になると、勝ち点「3」を狙うというよりは、勝ち点「1」を持って帰るという方向にシフトチェンジして、狙い通りに引き分けに持ち込んだ。これで、勝ち点「40」に到達したので、J1残留の可能性はかなり高くなった。
26節・27節・28節で3連勝を飾って、少し余裕が出てきたので、先日、FWケンペスとの契約を解除して、ここ最近は、FW杉本を1トップで起用して、2列目にMFヘベルチとMF柿谷とMF枝村を並べているが、物足りなさは否めない。MFヘベルチも、MF枝村もシーズン途中に加入して、比較的、早くチームに馴染んで、勝ち点獲得に貢献しているが、MF枝村は消えている時間が長くて、MFヘベルチは不用意な形でボールを失うケースが少なくない。
C大阪というチームは、2列目の3人がウリのチームで、3シャドーが攻撃の中心となって得点に絡むことが期待されるが、来シーズン以降、もっと上の順位を目指すのであれば、パワーアップが必要である。当然、補強というのも、選択肢の1つであるが、やはり、既存の選手の成長に期待したいところで、有望な選手は何人かいる。
先日、トップチームに昇格することが発表されたFW南野も候補の1人と言えるが、大卒ルーキーのMF吉野や大卒2年目のMF村田らも、大きな可能性を秘めている。MF村田に関しては、今シーズンはフォワードで起用されたり、右SBで起用されたり、ポジションが定まらなかったこともあって、不本意なシーズンになっているが、ルーキーのMF吉野は、ここ最近、活躍が目立っている。
この日は、MF柿谷との交代で後半15分から登場したが、MF吉野が頻繁にボールに触ることで攻撃のリズムを作った。リーグ戦は、この試合が4試合目の登場で、トータルでも55分の出場のみであるが、キレのあるドリブルと積極的な仕掛けと豊富な運動量が目立っていて、切り札的な存在になりつつある。
MF吉野は静岡学園高校の出身で、テクニックがあって、C大阪の3シャドーに必要とされる要素を高いレベルで兼ね備えている。味方を生かすプレーもできるし、個人で突破することもできるし、エキサイティングな選手である。リーグ戦は残り4試合となったが、きっかけをつかんで、来シーズン、飛躍してほしい選手の1人である。
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