■ 神奈川ダービーかつては、神奈川県には、ヴェルディ川崎・ベルマーレ平塚・横浜マリノス・横浜フリューゲルスと4つのJリーグのチームがあったので、”神奈川ダービー”という呼ばれ方はしなかったが、最近は、横浜Fマリノスと川崎フロンターレの試合を”神奈川ダービー”と言うらしい。
川崎は、寺田が欠場で米山がスタメン出場した以外はベストメンバー。横浜は上野が欠場で那須がボランチで出場した。また、中澤が久々に試合復帰した。
前半立ち上がりから、川崎が攻めて、横浜がカウンターでチャンスをうかがう展開になる。前半は、攻めあぐねた川崎だったが、後半6分に、マギヌンのコーナーキックからマルコンがヘディングで決めて先制。後半13分には、ジュニーニョのゴールで追加点。横浜の反撃を河合の1点に抑えて、川崎が勝利した。
■ 見事なフロンターレのサッカー今シーズンは、まぜか川崎との相性が悪くて、なかなか、川崎の試合を見ることが出来なかった。ということで、久しぶりに試合を見たが、やはりと言うべきか、この順位にいるのが納得できるほど、チームは進化していた。
昨シーズンまでの川崎フロンターレは、引いた状態からカウンターを仕掛けるのがチームカラーだったように思う。マルクスとジュニーニョがいて、それ以外の選手は、彼らのサポートに回るのが基本的な役目だった。したがって、前線と中盤の距離が空いていて、前後分断サッカーになりがちだった。しかしながら、この試合のフロンターレは全く違っていた。ボランチの中村憲剛が完全に試合を掌握して、その周りを谷口がダイナミックな動きで相手をかく乱する。チームの中心はこの二人で、そのグループの1人としてジュニーニョもいるという感じになっている。首位争いをする、レッズやガンバやエスパルスと比べて、日本人選手への依存度が高い。今のフロンターレのサッカーは、見ていて非常に面白い。
■ チームの中心は中村憲剛ボランチの中村憲剛は、王様。もちろん、否定的な意味ではなく、肯定的な意味である。中盤でボールを散らしてリズムを作る仕事と、停滞したときにドリブルなどで局面を打開する仕事の両方を任されていて、それらを高いレベルでこなしている。同タイプの日本代表の遠藤と比較すると、遠藤ほどのクロスボールの精度の高さはないが、前に出る力と決定的なパスを出す能力は勝っている。オシム監督が、攻撃的MFにオールラウンドなボランチタイプの選手を起用したいのであれば、遠藤よりも中村憲剛のほうが、現状はふさわしいのではないかと思う。
イエメン戦でヒーローとなった我那覇は、この試合で先発出場。中澤と対面することが多かったが、マッチアップでは、我那覇が優勢だった。柔らかいタッチで正確なポストプレーを行って、前線で起点になり続けた。巻ほど、相手ディフェンダーとガツガツ勝負できないが、我那覇は一歩引いた状態で相手をいなすことの出来る。同じポストプレーヤーでも、タイプは異なる。
ひとつ、川崎で気になったのは、なかなか、トップ下のマギヌンと左サイドのマルコンが画面に出てこないこと。二人とも能力が高いことは、これまでの試合で証明されているが、なかなかボールをもつことができない。(先制点を、この二人で取ったのは皮肉な感じ。)二人の能力を、もっとチームで生かせるようになれば、川崎フロンターレはとんでもない破壊力をもつチームになるだろう。
■ 際立つ山瀬のプレー対照的に、横浜マリノスは完敗といっていい試合だった。そんな中、山瀬と田中の二人は、いいプレーを見せた。怪我上がりだが、山瀬のスペースに飛び出ていく感覚とボールをもってからの強さとイマジネーションは、まさしく全盛期の山瀬だった。(なぜ、オシム監督に先の遠征で使われなかったのか・・・。)
ボクは、水沼監督の手腕で、マリノスが良くなったという声には、「否」と言いたい。もちろん、水沼監督に代わって、選手の気持ちがいったんリセットされたことで、いいムードになっていることは想像できるが、水沼監督就任から数試合結果が出ていたのは、水沼監督の就任の時期と同期して、山瀬が完全復活してきたことによると思う。本調子には程遠い久保&衰えが目立って見ていて痛々しい奥と、周りのサポートがあまり期待できない中での、今の山瀬のパフォーマンスは、非常に価値がある。
■ 優勝争いの行方横浜マリノスのホームで、ポゼッションサッカーで、快勝した川崎フロンターレ。(これでも、関塚監督は、試合内容に不満らしいが・・・。)現時点では、川崎フロンターレ・ガンバ大阪・浦和レッズ・清水エスパルスと4チームに絞られた優勝争いを制する可能性が一番高いチームと見る。
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