■ 第17節J2の第17節。4勝8敗4分けで勝ち点「16」の徳島ヴォルティスが、ホームで町田ゼルビアと対戦した。徳島は小林監督を迎えて悲願のJ1昇格を目標に戦っているが、3節から11節まで9試合勝利なしと苦しんだ。それでも、5月以降は上向きで、5試合で2勝1敗2分けと持ち直してきたので、ここから追い上げていきたい。対する町田は、3勝10敗3分けで勝ち点「12」。ブービーの21位と下位から抜け出せない。
ホームの徳島は「4-2-2-2」。GKオ・ スンフン。DF西嶋、福元、三木、那須川。MF花井、上里、宮崎、衛藤。FWドウグラス、津田。エースストライカーのFW津田は4ゴール、FWドウグラスは2ゴールを挙げている。名古屋から完全移籍のMF花井は、開幕から全試合でスタメン起用されている。
対するアウェーの町田は「4-4-2」。GK修行。DF三鬼、田代、加藤、藤田。MF太田、コリン・マーシャル、鈴木崇、ディミッチ。FW平本、鈴木孝。ストライカーのFW勝又、ボランチのMF下田、U-23日本代表候補のDF薗田は欠場中で、ジェフの下部組織出身のDF加藤がセンターバックで初先発となった。セルビア出身のMFディミッチは3試合連続スタメンとなった。
■ MF衛藤が決勝ゴール!!!金曜日のナイトマッチで2960人の観衆が集まった試合の前半は、イーブンの展開となる。5試合勝利なしの町田は、MFコリン・マーシャルを中心にボールをポゼッションするが、危険なエリアでパスミスが出て、徳島にカウンターのチャンスを与えてしまう。対する徳島は、守備は機能して、いい位置でボールを奪うが、スムーズにボールを前に運ぶことはできず、決定機は作れず。前半は両チームとも、ほとんど見せ場を作ることはできず、0対0で終了する。
後半は、町田がペースを握り始めるが、徳島も後半20分にMF斉藤を投入すると、ボールが落ち着くようになって、ゴール前のシーンを作るようになる。この試合で唯一のゴールが決まったのは、後半36分で、右サイドでフリーキックを得ると、FWドウグラスが折り返したボールをDF福元が頭でつないで、最後は、MF衛藤がヘディングで押し込んで徳島が先制する。MF衛藤は今シーズン初ゴールとなった。
その後、徳島のFWドウグラスが2度、ディフェンスラインの裏に飛び出してGKと1対1のチャンスを迎えるが、2度とも、決められず。結局、追加点を奪うことはできなかったが、ホームの徳島が1対0で勝利して、今シーズン5勝目となった。一方の町田は、最後まで決定機を作ることができず、6試合勝利なしとなった。
■ 攻撃の形を作れないヴォルティスMF衛藤のゴールを守った徳島が勝利して、勝ち点を「19」に伸ばした。11試合を終えて、2勝7敗2分けという成績まで落ちたことを考えると、5勝8敗4分けという成績は持ち直してきたと言える。ただ、2位の千葉が勝ち点「33」で、6位の東京Vが勝ち点「28」なので、まだ、上位との差は大きい。早く背中の見えるところまで順位を上げていきたいところである。
とは言っても、見通しは明るくない。勝利から遠ざかっていた頃と比べると、守備は良くなってきているので、失点数は減っているが、攻撃に関しては、全くと言っていいほど、形が見えてこない。この日はセットプレーから決勝ゴールが生まれたが、FW津田とFWドウグラスが孤立するシーンが多くて、意図を感じさせる攻撃は、ほどんどなかった。
徳島は、昨オフ、使い勝手のいい即戦力選手を中心に補強を行って、「今年に賭ける。」というクラブの意気込みは伝わってくるが、その分、これから先のことを犠牲にしている部分もある。よって、今シーズン、結果を残さないと、軌道修正を余儀なくされるので、何とか上位に食い込んで、最低でもプレーオフに進まなくてはならないが、果たして、どこまで追い上げることができるか。
もちろん、3月中旬から4月末までのどん底の時期と比べると、チーム状態は良くなっているが、もともと、小林監督は、攻撃の形を作るのが、得意なタイプではないので、今後も、劇的な改善は期待しにくい。弱さを感じる2列目のポジションに、活きのいい若手が出てくると、ムードも変わってくると思うが、その可能性をもった選手は見当たらないので、なかなか難しいところである。
■ アルディレス監督の挑戦対する町田は、前半は、MFコリン・マーシャルにイージーミスが目立って、攻撃の流れを作る事が出来なかった。それでも、後半になると、いいテンポでボールが回るようになったので、可能性は感じさせたが、結局、セットプレーでやられてしまった。
町田のサッカーは、いいときはボールもよく回って、面白い崩しを見せるが、波が激しくて、結果が出なくなると、選手たちの自信のレベルも低下して、パス回しにもスムーズさがなくなってくる。ある意味では、非常に分かりやすいチームで、結果と内容の両立を目指して戦っているが、結果が出なくなると、内容も低下してしまう。
とは言っても、JFLから昇格してきて、1年目のシーズンで、難易度の高いことにチャレンジしている点は、注目に値する。今シーズンから、降格制度がスタートしたので、これまでと比べると、悠長なことは言っていられないが、今しかできないことも、たくさんあるので、思う存分、チャレンジしてほしいところである。
面白いのは、昨年まで、JFLでプレーしていた選手が中心の町田がパスサッカーにチャレンジしている、という点である。バルセロナのように、幼少の頃から、テクニックや判断力を磨いてきた選手が中心となるチームが、バルセロナのようなサッカーをすることに大きな驚きはないが、町田には、そういう土台は無い。
どう考えても、ポゼッションサッカーに向いた選手が集まっているわけでもなく、J2の中でタレントに恵まれているわけでもない町田が、アルディレス監督の指導によって、どこまでのレベルに到達できるのか。興味深く、その過程を見ていきたいと思う。
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