■ 23日にアゼルバイジャン戦ブラジルW杯のアジア最終予選が目前に迫ってきた日本代表は、5月23日(水)にエコパスタジアムでアゼルバイジャンと対戦する。アゼルバイジャンは、最新のFIFAランキングを見ると、110位となっている。ランキングが近いのは、バーレーン(94位)、ブルガリア(96位)、ベトナム(97位)、ボリビア(108位)といった国である。
改めて見ると、ブルガリアの落ち込み具合に驚いてしまう。1994年のアメリカW杯はFWストイチコフを中心にベスト4に進出して、準決勝でも、FWロベルト・バッジオ率いるイタリアを苦しめた。ランキングの推移を見ると、2008年は、ずっと10位台をキープしていて、2008年10月のランキングは15位である。ここまで下がっているとは、思わなかったので、驚きである。
アゼルバイジャンの110位という位置は、6月3日に対戦するオマーン(92位)、6月8日に対戦するヨルダン(81位)よりも下である。まもなく本大会が開幕するユーロ2012の予選は、グループA(ドイツ、トルコ、ベルギー、オーストリア・アゼルバイジャン・カザフスタン)に入ったが、2勝7敗1分けという成績で、5位に終わった。
ただ、ホームでは、トルコとカザフスタンに勝利していて、ベルギーともドローゲームを演じている。世界的に名の知れた選手はおらず、今回、どういうメンバーで来るのか、どこまでのモチベーションがあるのか、よく分からないところもあるが、それなりに力をもったチームであることは想像できる。
■ 悪い流れを変えたい・・・とはいっても、今回の試合の主目的は、欧州組のコンディション調整であり、対戦相手のことを、あまり気にする必要のない試合である。長いリーグ戦が終了して、休養を取っていた欧州組のプレー機会を作って、6月3日(日)のオマーン戦にいい状態で戦うための準備試合となる。
そのため、アゼルバイジャンのことを意識する必要は全くないが、三次予選の北朝鮮戦(A)とウズベキスタン(H)で敗戦を喫して、流れが悪くなりかけているので、嫌な流れを変える意味でも、すっきりした形で勝利したいところである。
もちろん、北朝鮮戦(A)も、ウズベキスタン戦(H)も、三次予選の突破を決めた後の試合で、メンバーを落として戦っている。テスト色の濃い試合であり、消化試合のことを、あれこれ言っても仕方がないところもあるが、三次予選の3勝2敗1分けという成績は、日本代表らしくないものである。
個人的には、三次予選の最終節のウズベキスタン戦(=2月29日)が、「do or die」の試合にならなかったことは、大きなプラスで、この試合のためにコンディションを上げる必要が無かったことは、後々、効いてくるのでは?と思うが、結果が出なかったので、ネガティブな雰囲気が蔓延しつつある。アゼルバイジャン戦は、悪いムードを払しょくしたい試合である。
■ 持ち味を出し切れないMF香川選手個々では、ドルトムントで申し分ない結果を残したMF香川のプレーに注目が集まる。これまでのところ、ザック・ジャパンでは6ゴールを挙げているが、三次予選の北朝鮮戦(H)、ウズベキスタン戦(A)、ウズベキスタン(H)という重要な試合で結果を残すことができず、日本代表の試合では、思うようなプレーが見せられていない。
一番の要因は、MF香川が得意とするショートカウンターの形を、チームとして、ほとんど作れていない点にある。C大阪でも、ドルトムントでも、カウンターになって、前を向いた状態でボールを持ったとき、かなりの確率でビッグチャンスを演出してきたが、日本代表の試合では、そういうシーンは、なかなか作れない。
その理由は、いろいろと考えられる。書き並べると、
・引いて守る相手と対戦することが多い。
・前線から積極的にボールを奪いにくい守備ではない。
・前田や本田圭はどちらかというカウンター向きの選手ではない。
といったところであるが、
・MF香川のポジションが低めである。
ということも、カウンターのチャンスを作れない理由の1つと言える。ザック・ジャパンは、「4-2-3-1」を採用しているが、サイドハーフの選手は下がり目のポジションを取るので、「4-2-2-1-1」と表現した方が適切で、トップ下に入るMF本田圭と比べると、MF岡崎やMF香川の位置は低くなることがほとんどである。
ザッケローニ監督はイタリア人の指導者で、サイドに穴を作らないことを重視する。したがって、仕方がないところもあるが、それでも、「下がり過ぎ」と感じる場面が目立つ。そのため、いいところでボールを奪っても、FW前田やMF本田圭との距離が遠くて厚みのあるカウンターを仕掛けることができない。
■ ポジショニングに注目!!!MF香川に関しては、「左サイドハーフで起用されているので、日本代表で目立った活躍ができない。」という意見を唱える人もいるが、中央のエリアに入って行くプレーを制限されているわけではないので、「左サイドでは活躍できない。」とは、あまり思わない。問題なのは、横方向ではなくて、縦方向のポジショニングである。
サイドバックとサイドハーフの関係性については、右サイドのMF岡崎とDF内田にも同じようなことがいえるが、サイドバックの選手が、どこまでサイドハーフの選手をどこまで押し上げることができるか。これまでのところ、MF香川とDF長友の連携はあまり良くないので、双方が持ち味を殺し合っているような状態である。アゼルバイジャンからの4試合で、最適な位置関係を見つけたいところである。
個人的には、「4-2-1-3」のような形になっても、全く問題はないと思う。アゼルバイジャン戦は、アウクスブルクのMF細貝がボランチで起用される可能性が高くなっているが、MF遠藤やMF長谷部と比べると、守備の部分で、味方に気を使ったプレーができる選手である。
そのため、MF遠藤とMF長谷部のコンビに戻ったとき、ボランチのところと左サイドのところで、関係を作り直す必要が出てくるかもしれないが、MF香川が下がり過ぎることなく、適切な位置取りができれば、「ショートカウンターの形から、前を向いた状態でMF香川がボールを受けて決定機を作る。」というシーンを作ることができるだろし、FW前田とMF本田圭とMF香川がいい距離感でプレーすることができるだろう。
今シーズンの後半戦のMF香川は、遅攻になったときも、うまく味方と絡んでチャンスを演出するシーンが増えたので、ゆっくりしたパス回しから相手の守備を崩すときも、MF香川の力は必要となるが、やはり、スピーディーな展開になったときに、力を発揮する選手である。得意のシーンを日本代表でも作ることができるか。
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