■ 第31節J1の第31節。豊田スタジアムで、3位の名古屋グランパスと、9位のセレッソ大阪が対戦。ホームの名古屋は17勝5敗8分けで勝ち点「59」。一方、C大阪は10勝11敗9分けで勝ち点「39」。J1は、首位の柏が勝ち点「62」、2位のG大阪が勝ち点「60」、3位の名古屋が勝ち点「59」で続いており、3位の名古屋は「落とせない試合」が続いていく。対するC大阪は、早く「J1残留」を確定させたいところである。
ホームの名古屋は「4-2-2-2」。GK楢崎。DF田中隼、闘莉王、増川、阿部。MF磯村、吉村、藤本、小川。FWケネディ、玉田。MFダニルソンが出場停止のため「ダブルボランチ」に変更し、20歳のMF磯村がスタメン出場。オーストラリア代表に招集されているFWケネディは、リーグトップタイの16ゴールを挙げている。
対するアウェーのC大阪は「4-2-3-1」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、茂庭、上本、丸橋。MF扇原、マルチネス、清武、ファビオ・ロペス、倉田。FW小松。10ゴールを挙げているFW播戸は怪我のためベンチ外。MF清武はW杯予選の日本代表メンバーに選ばれている。
■ 名古屋が勝ち点「3」を獲得試合の入り方が良かったのは、アウェーのC大阪で、序盤は1トップのFW小松を起点に攻め込んでいく。しかし、時間が経つにつれて、ホームの名古屋が主導権を握り始める。すると、前半24分に、ゴールやや左寄りの絶好の位置でFKを獲得すると、MF藤本が得意の左足で鮮やかに決めてホームの名古屋が先制する。MF藤本は今シーズン9ゴール目。しかし、C大阪も前半36分にペナルティエリア内でFW小松が倒されてPKを獲得すると、これを、FW小松が自ら決めて1対1の同点に追いつく。FW小松は今シーズン5ゴール目となった。
すぐに同点に追いつかれた名古屋だったが、前半42分に左サイドの距離のある位置でFKを得ると、MF小川がゴール前に上げたボールを、FWケネディが得意のヘディングシュートを決めて「2対1」と勝ち越しに成功する。FWケネディは今シーズン17ゴール目。前半は「2対1」で名古屋がリードして折り返す。
1点ビハインドのC大阪は、後半23分にMFマルチネスに代えて、FW杉本を投入。MF倉田をボランチに下げて「2トップ」に変更してくるが、逆に、名古屋が後半31分にダメ押しの3点目のゴールを奪う。MF藤本のパスを起点に、途中出場のFW金崎がシュートを放つと、こぼれ球をFW永井が押し込んで3対1とリードを広げる。U-22日本代表のFW永井は今シーズン3ゴール目。
その後も、名古屋は決定機を作ったが、4点目のゴールは決められず。しかし「3対1」のスコアで逃げ切って、今シーズン18勝目。首位の柏、2位のG大阪も勝利したため、上位陣との差は縮まらなかったが、首位の柏との差「3」を保って、優勝争いに踏みとどまった。
■ お得意様のセレッソ名古屋はC大阪を得意にしており、C大阪がJ1に昇格してから名古屋は「4戦全勝」となった。したがって、「お得意様」にしているが、過去の3試合とは違って、終始、名古屋ペースで進んだ。これまでの試合は、C大阪がボールを保持して、何度もゴール前でビッグチャンスを作りながら、GK楢崎に阻まれてゴールを奪えず、焦ってきたところを「セットプレー」などで失点を喫するというパターンだったが、この日は、C大阪に、ほとんどチャンスを作らせず、「決定機」も名古屋の方が多かった。
名古屋は「自力優勝」の可能性が消滅しているので、残り試合で全勝して、柏やG大阪が取りこぼすのを待つしかないが、内容自体は良くなっており、安定したサッカーを見せている。この試合で目立ったのは「中盤のディフェンス力」で、要となるMFダニルソンを欠いていたが、MF吉村とMF磯村のダブルボランチが機能し、C大阪の「楔のパス」をことごとくカットして、C大阪に攻撃のリズムを作らせなかった。スコアは「3対1」だったが、もう少し点差が開いていても不思議でない展開だった。
■ セットプレーから2ゴールC大阪が名古屋を「苦手」としている最大の理由は、名古屋のセットプレーに対抗できる高さを持っていないからである。名古屋には、194センチのFWケネディ、191センチのDF増川、185センチのDF闘莉王がいるが、C大阪で長身と言えるのは、FW小松とGKキム・ジンヒョンだけで、セットプレーのとき、単純にゴール前にボールを上げるだけで、名古屋はチャンスになるので、楽に試合を進めることができる。
名古屋の1点目、2点目は、共にセットプレーから生まれたが、2点目のFWケネディのゴールは、C大阪としてはどうしようもないゴールで、ゴールまで距離のあるところにボールが上がってきたが、バックヘッドのような形でFWケネディがゴールに流し込んだ。C大阪は、DF茂庭がマッチアップすることが多いが、DF茂庭は空中戦はあまり得意としていないので、FWケネディに対しては分が悪くて、毎度、FWケネディにやられている。
FWケネディは、これで17ゴール目。FWハーフナー・マイクも、横浜FM戦でゴールを決めて「17ゴール」となったので、二人が17ゴールで並んで得点ランキングのトップに立っている。残り3試合となったが、FWケネディは優勝争いをしていて、FWハーフナー・マイクは残留争いをしているが、面白い争いになっている。
■ MF藤本淳吾 鮮やかなフリーキック弾先制ゴールを決めたのは、MF藤本で今シーズン9ゴール目となった。11月のタジキスタン戦、北朝鮮戦の日本代表からは外れてしまったが、クラブでは好調を維持しており、ここ8試合で6ゴールと量産体制に入っている。この日は、FKからのゴールだったが、MF藤本の得意の位置でのFKだったので、ボールをセットしたときからゴールが生まれそうな予感が漂っていた。C大阪も、セットプレーを与えないように注意していたが、不用意な形でボールを失って、最高の位置でフリーキックを与えてしまった。
そのキックは、見事過ぎるシュートで、「コース」も、「スピード」も、パーフェクトと言えるものだった。どちらかというと右足の方が蹴りやすい位置ではあったが、これくらいの精度があると、あまり関係なくなる。GKキム・ジンヒョンは、守備範囲の広いGKであるが、もほとんど動くことができなかった。
MF藤本は、オフに清水から名古屋に移籍してきたが、序盤こそチームにフィットしきれず、ボランチでも、攻撃的MFでも、消える試合が多かったが、シーズン終盤になって、完全にチームの軸となって、チームを引っ張っている。とにかく、キックが正確で、判断ミスも少ないので、攻撃で大きな役割を担っている。2010年は清水で「ベストイレブン」に輝いたが、新天地でも「ベストイレブン級」の活躍を見せている。
■ C大阪は持ち味を出せず一方のC大阪は、残留を確定することはできなかった。ただ、磐田に勝利して勝ち点を「39」に伸ばしているおり、得失点差を考えると、甲府に抜かれる可能性は「ほぼゼロ」で、「安全圏」に入ったことで、一安心したのか、磐田戦のような気合の入ったプレーは見せられなかった。完全に「力負け」で、DF高橋大輔の復帰も噂されていたが、結局、ベンチにも入れず、名古屋の「高さ」に対抗できるメンバーを揃えることはできなかった。
ミスから失点したことも悔やまれる。1失点目のフリーキックは、MF藤本のキックが見事だったので防ぎようがなかったが、FKを与えたのは、ボールを奪ってカウンターを仕掛けようとしたパスをカットされたのが原因で、3失点目もDF上本のパスをカットされてカウンターを許した。この日は、名古屋の中盤の守備が良くて、パスが引っ掛かることが多くて、最後まで、持ち味を出せなかった。
関連エントリー 2009/02/14
【Jリーグ】 史上最高のフリーキッカーは誰だと思いますか? 2010/04/25
【C大阪×名古屋】 サプライズ召集は家長で・・・ 2011/02/17
【J1】 各クラブの補強診断 (上) 2011/02/18
【J1】 各クラブの補強診断 (中) 2011/02/20
【J1】 各クラブの補強診断 (下) 2011/06/25
【C大阪×名古屋】 DF茂庭照幸 vs FWケネディ 2011/10/04
Jリーグを彩ったドリブラー(上) (リティ、前園、本山、永井、アレックスetc.) → J3+(メルマ) 2011/10/09
Jリーグを彩ったドリブラー(下) (玉田、田中達、水野、家長、香川、乾etc.) → J3+(メルマ)
- 関連記事
-