■ 第26節J2の第26節。11勝4敗6分けで勝ち点「40」と昇格圏外の4位に転落したジェフ千葉が、アウェーで京都サンガと対戦。京都は6勝10敗5分けで暫定16位と昇格は絶望的になっている。
ホームの京都は「3-6-1」。GK水谷。DF酒井、秋本、森下。MFチョン・ウヨン、駒井、安藤、中山。FW伊藤、久保、宮吉。昨オフにジェフ千葉から移籍してきたMF工藤がようやく怪我から回復してベンチ入り。FW久保はチームトップの5ゴールを挙げている。
対するアウェーの千葉は「4-2-2-2」。GK岡本。DF坂本、竹内、ミリガン、青木良。MF佐藤勇、ファン・ゲッセル、太田圭、村井。FW青木孝、米倉。得点ランキングトップタイの10ゴールを挙げているMF深井は欠場。右SBのDF山口慶は出場停止。これまでは1トップが多かったが、この試合は2トップに変更してきた。
■ FW宮吉が決勝ゴール雨でスリッピーなピッチコンディションで始まった試合は、両チームとも攻めきれず、シュートまで持っていけない展開となる。膠着状態になりかけていた中で、先にビッグチャンスをつかんだのはアウェーの千葉で、セットプレーの流れからゴール前でうまくボールをコントロールしたDF竹内がフリーでシュートを放つが、京都のGK水谷が好セーブを見せて千葉は先制ならず。
すると、前半34分に押され気味になっていた京都が先制する。左サイドからコーナーキックを獲得すると、MFチャン・ウヨンが蹴ったボールを千葉のMFファン・ゲッセルがクリアしきれずにオウンゴール。ホームの京都が先制して、1対0とリードして前半を折り返す。
後半は開始から千葉が攻め込んでくる。同点ゴールが生まれたのは後半17分。MF佐藤勇が左足でゴール前に上げると、ファーサイドのMF村井がうまくボールをコントロールしてDFをかわしてゴール。1対1の同点に追いつく。MF村井は今シーズン2ゴール目。
しかし、後半28分に京都はカウンターからFW宮吉が裏のスペースに抜け出すと、エリア外に飛び出してきたGK岡本の頭を超える絶妙のループシュートを決めて2対1と勝ち越しに成功する。FW宮吉は待望の今シーズン初ゴールとなった。結局、試合は、2対1でホームの京都が勝利。京都はホームでは3連勝となった。一方の千葉は3試合勝利なしで、勝ち点を伸ばせなかった。
■ サンガが勝利FW久保を筆頭に、若い力が続々と出てきている京都は、試合の運び方に難があって、いい形で攻めながらもゴールを奪うことができず、後半に動きが落ちてきたところを突かれて失点することが多く、惜しいところで勝ち点を取りこぼすことが多かったが、この日は、後半に粘って勝利をつかんだ。
最近の京都は、ショートパスもつながって、テンポのいいパスサッカーができていたが、この試合は千葉がしっかりブロックを作って守ってきたので、本来のサッカーはできなかった。若手3トップには課題も残る試合となったが、DF秋本とGK水谷を中心に守備陣が踏ん張った。
失点シーンは、右ストッパーのDF酒井のポジショニングと相手への対応がまずくて、集中できていれば「防げたゴール」だったので、イレブンは気落ちするかと思われたが、集中は途切れなかった。新しい形でつかんだ勝利で、チームの「経験値」が増えそうな勝利となった。
■ FW宮吉は復活ゴールこの試合の決勝ゴールを決めたのはFW宮吉拓実で、今シーズン初ゴールとなった。中断期間中のトレーニングマッチで負傷して長期離脱し、ようやく戻ってきたものの結果が出せず、ここまでは10試合でノーゴールだったが、チームに勝利をもたらす貴重な初ゴールとなった。
トータルの出来としては、前節の札幌戦の方がはるかに良くて、この試合は、ほとんどボールに触れなかったが、ゴールシーンは、FW宮吉らしい落ち着いたボールコントロールから大胆にシュートを狙ってネットを揺らした。高校生の頃からトップチームでプレーしているので「若手」という感じはしなくなっているが、MF駒井、FW伊藤といった、今シーズンから、レギュラーをつかんでいる選手と同じ学年なので、まだまだ「若手」である。
ここ最近は、怪我もあってやや停滞している感じはあるが、結果を残すことで未来が広がっていく。ピッチ上に同世代の選手が多くなったので、プレーしやすい環境になっているので、結果にこだわってゴールを重ねてほしいところである。
■ MF駒井が奮闘京都は、オフの補強の目玉とされていて期待の高かったMF工藤がようやく怪我から戻ってきて、今シーズン初のベンチ入りを果たした。ちょうど古巣の千葉戦で復帰となったので、因縁を感じるところであるが、こういう展開になったので、結局、出番はなかった。
京都にとっては、頼もしい選手の復帰であるが、ポジション争いのライバルとなるMF駒井は、この試合で攻守に奮闘して、出来としては非常に良かった。MF駒井というと「ドリブラー」というイメージが強いが、中盤で粘り強い守備ができていて、運動量も最後まで落ちなかった。
一昔前のドリブラーというと、「守備はできない。」という選手が多かったが、最近は、アタッカータイプでも、それなりに守備ができて、チームに貢献できる選手が増えている。これはいい傾向といえる。もう少し前のポジションでプレーした方が「ドリブル」の威力が増すのかもしれないが、中盤の一角で質の高いプレーを見せており、外せない存在になりつつある。
■ 正念場のジェフ千葉一方、千葉にとっては、痛い敗戦となった。立ち上がりはスローペースだったが、徐々にリズムをつかんでいって、京都よりも、攻め込む時間は長くて、決定機の数も多かったが、前半にセットプレーで先制を許したのが響いた。後半の早い時間に追いついたところまでは良かったが、一瞬の隙を突かれてカウンターで失点すると、反撃する力は残っていなかった。
これで、千葉は、ここ3試合で1分け2敗。昨シーズンから持ち越しになっている課題といえるが、アウェーで勝てておらず、アウェー戦は4勝5敗2分けと黒星が先行した。ホームでは7勝4分けと無敗なので、極端な差が付いている。Jリーグでは、ホームとアウェーで戦い方を変えるチームはほとんどなくて、必要以上にホームチーム有利の判定を下すレフェリーもいないので、不思議である。
アウェーの試合で遠征するとき、何か細かい部分で、選手たちに負担になっていることがあるのか?アウェーで勝ててないから余計なプレッシャーがかかっているのか?原因は分からないが、これだけアウェーで勝ち点を取りこぼすようだと「昇格」は厳しくなる。
■ 2トップへの変更も・・・千葉はFWオーロイが離脱中で、MF深井も欠場したため、2枚看板が不在の中での試合となった。そのため、いつもの1トップではなく、FW米倉を前目のポジションに置いた「2トップ」に変更してきたが、あまりうまく機能しなかった。
高い位置でプレーしたFW米倉は、何度かドリブルで相手DFを崩すシーンを作ったので、FW米倉自身はそれほど悪くなかったが、FW青木孝、MF太田圭、MF村井の3人は、ほとんど攻撃に絡めなかった。MF深井の代役として、左サイドで起用されたMF村井は、同点ゴールこそマークしたが、消えている時間が長くて、得意のクロスを上げるシーンもほとんど見られなかった。
今シーズンの千葉の特徴といえるのが、サイドハーフの選手を利き足と同じサイドに置くことである。現代サッカーは、サイドの選手にカットインしてシュートを放つプレーを求めるので、右サイドには左利きの選手を置いて、左サイドには左利きの選手を置くことが多い。ただ、千葉の場合は、FWオーロイというターゲットになる選手がいるためか、右サイドに右利きの選手を置いて、左サイドに左利きの選手を置くことが多い。
したがって、現代サッカーの主流ではないが、意図を持ってこういう形にしているので悪いことではないが、この試合は、中央にFWオーロイも、FW久保もおらず、せっかく、両サイドにMF太田圭、MF村井という典型的なサイドアタッカーの二人を置いても、あまり意味を感じなかった。2トップに変更したこと自体は悪くはないが、2列目の選手との組み合わせについては、疑問を感じるものだった。
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