■ 第16節J2の第16節。4勝1敗3分けで勝ち点「15」と好調のロアッソ熊本と、3勝2敗4分けで勝ち点「13」のFC東京の対戦。
ホームの熊本は「4-4-2」。GK南。DF市村、矢野、福王、原田。MFエジミウソン、根占、片山、ファビオ。FW長沢、仲間。DF福王が6試合ぶりのスタメン。FW宇留野、MF吉井らがベンチスタート。FW長沢はチームトップの3ゴールを挙げている。
対するアウェーのFC東京は「4-2-2-2」。GK権田。DF徳永、今野、森重、中村北。MF高橋、梶山、田邉、谷澤。FWロベルト・セザー、羽生。MF大竹がスタメンから外れてMF谷澤が4試合ぶりのスタメン。GK権田はU-22日本代表に選ばれている。日本代表から戻ってきたDF今野がスタメン復帰。
■ セザーが決勝ゴール大雨の中で行われた試合の序盤はFC東京ペース。正確なパス回しで熊本の守備を崩してチャンスを作っていくと、前半20分にDF徳永が右サイドからドリブルで仕掛けてからクロス。これを熊本のDFがクリアしきれずに不十分なクリアになると、宙に浮いたボールをFWロベルト・セザーがボレーシュートで決めてFC東京が先制する。FWロベルト・セザーは今シーズン2ゴール目。
ビハインドの熊本も、前半33分にDF徳永のクリアボールを拾ったFW長沢がゴール前ビッグチャンスを迎えるが、シュートはヒットせず。前半は1対0のFC東京がリードして折り返す。
最少得点差で進んだ試合の終盤は熊本ペースとなる。FC東京の運動量が落ちてきて、熊本が押し込んでいく。MF武富、MF大迫希を投入し、圧力をかけると、最後のプレーで、FW長沢がゴール前で決定機を迎えるが、またしても、シュートはヒットせず。結局、FC東京がFWロベルト・セザーがゴールを挙げたゴールを守り切って1対0で勝利。FC東京が今シーズン4勝目を飾った。一方の熊本は、7試合ぶりの敗戦となった。
■ FWロベルト・セザーが決勝ゴールFC東京は、新外国人のFWロベルト・セザーが決勝ゴール。FW平山、FW高松、FWペドロ・ジュニオールが不在で、FWロベルト・セザーにかかる期待が大きくなっているが、これで今シーズン2ゴール目。キレのあるドリブルも披露し、かなりコンディションが上がってきている。
決勝ゴールのシーンは、簡単なシュートではなったが、うまくボレーで合わせたファインゴールだった。これまでの試合は、ドリブルから持ち込んでシュートを狙うプレーが多く、ボックス内でどれくらいのプレーができるのか、あまりよく分からなかったが、ボックス内でも仕事ができるタイプであると、FC東京はサイドからのクロスも多いので、得点のチャンスも広がってくる。
■ ボランチのMF高橋FC東京は、14節の京都サンガ戦からMF高橋をボランチで起用しているが、これで、中盤が落ち着くようになった。それまでは、DF徳永をボランチで起用することが多かったが、DF徳永よりも、横のエリアをカバーできるタイプなので、中盤の守備も安定し、高さもあるので、攻撃でもアクセントになっている。
MF高橋をボランチで起用することで、DF徳永を本職の右サイドバックに戻せるようになったこともチームに落ち着きをもたらしている。
この日の決勝ゴールは右サイドのDF徳永のクロスから生まれたが、DF徳永もこのポジションの方がプレーしやすそうで、ノビノビとプレーしている。DF徳永をサイドバックにすると、ロンドン世代のDF椋原を起用できなくなるデメリットもあるので、チームとしては悩むところではあるが、この布陣になって2勝1分けとまずまず結果も出ている。
■ 攻撃力に不安の残る熊本一方の熊本は、ホームで強豪のFC東京を下して勢いに乗りたかった試合で、度々、ビッグチャンスも作ったが、終盤の15分ほどの時間帯を除くと、終始、FC東京のペースで進んでおり、相手の守備を崩しきれなかった。
これで熊本は、4勝2敗4分けで勝ち点「16」で9位。上位は混戦なので、悪くない位置に付けているが、攻撃力に難がある。10試合で6失点なので、GK南を中心とした守備陣は頑張っているが、10試合で8得点というのは、昇格を目指すにはかなり不足している。3位以内を狙うには、少なくとも、平均で1.5点くらいは必要となるが、平均で0.8点では、上位に加わっていくのは難しくなる。
■ 精彩を欠くMFファビオ今後、得点力アップが不可欠であるが、清水エスパルスから加入のFW長沢はここまで3ゴール。この日は、何度かあった決定機に決められなかったが、新しいエースストライカーとして期待以上の活躍を見せている。
したがって、FW長沢に関しては問題ないが、対照的にトップ下のMFファビオは、ノーゴール。「4-4-2」のトップ下に入ることが多く、FW長沢とMFファビオの190㎝オーバーのコンビが攻撃陣の目玉であるが、思い切りのいいプレーが影を潜めており、ここまでは物足りないプレーに終始している。
昨シーズンは、20試合で5ゴール。20歳と若くて、ノビシロもあるので、最低でも二桁は期待したいところであるが、ここまでは期待に応えられていない。ゴール前に入っていくプレーを求められているのか、中盤で起点になるプレーを求められているのか、動きがはっきりせずに、アグレッシブさに欠けている。
■ FW仲間隼斗 持ち味を出せずこの二人をつなぐ役割を担っているのが、高卒ルーキーのFW仲間で、ここまでの10試合中8試合でスタメンで起用されている。2トップの一角でプレーしており、初先発となった第8節でプロ初ゴールを記録するなど、順調なプロ生活をスタートさせたが、ここに来て、持ち味を出せない試合も増えてきており、早い時間に交代するケースも増えてきて、最初の壁にぶち当たっているといえる。
この日は、雨が降り続いており、グラウンドに水たまりもあるようなピッチコンディションだったので、ドリブル等の個人技を見せたい選手にとっては不利な状況だったので、気の毒な部分はあるが、うまく攻撃をリードできなかった。
FW仲間は、柏レイソルのユース出身で、柏でトップチームに昇格することはなく、熊本とプロ契約を結んだ。選手層の厚い柏では、初年度からここまで起用されることはなかったはずなので、いいチームに入団したといえるが、試合も続いていて、体力的にも、精神的にも、今が一番しんどいところで、ふんばりどころである。この壁を乗り越えていくと、新たな道も広がっていくが・・・。
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