■ 第11節J2の第11節。2勝1敗1分けの徳島ヴォルティスと、1勝2敗1分けの京都サンガが対戦。徳島はホームの鳴門で2連勝中。第9節でホームでジェフ千葉に1対0で勝利したが、第10節は終了間際にMFチェ・ジョンハンにゴールを許し、アウェーで大分と引き分けに終わった。
ホームの徳島は<4-2-1-3>。GKオ・ スンフン。DF平島、エリゼウ、三木、西嶋。MFディビッドソン・純マーカス、倉貫、衛藤。FW島田、佐藤晃、柿谷。昨シーズン、31試合で16ゴールを挙げたFW津田は怪我のため欠場。大卒3年目のFW佐藤晃が3トップの中央に入る。
対する京都は<3-2-2-3>。GK水谷。DFアライール、森下、福村。MF内藤、チョン・ウヨン、加藤、中村太。FWディエゴ、久保、ドゥトラ。高校3年生のFW久保は3試合目のスタメン。第8節のファジアーノ岡山戦でプロ初ゴールを決めている。DF森下が3バックの中央に入る。
■ DF西嶋が決勝ゴール試合の序盤はホームの徳島ペース。FW島田のセットプレーから、たびたびチャンスを作ると、前半23分に先制に成功。FW島田の左コーナーキックをゴール前に飛び込んできたDFエリゼウが頭で決めて先制ゴールを挙げる。ベガルタ仙台から移籍のDFエリゼウは初ゴールとなった。
対する京都は、前半25分あたりから本来のパス回しが見られるようになって押し込むようになると、前半37分にはFW久保が右サイドでボールを持って、相手DF二人をドリブルでかわしてゴールに向かうという大きな見せ場を作る。これは、惜しくもカバーリングに入った徳島のDF三木に防がれてシュートまで持ち込めなかったが、才能の片りんを見せつけるシーンとなった。
0対0で折り返した後半は開始早々に京都が同点に追いつく。FW久保のポストプレーからFWディエゴが受けてから、再び、FW久保がボールをもらうと、FW久保がペナルティエリア外から右足で強烈なミドルシュート。これが豪快にネットを揺らして1対1の同点に追いつく。FW久保は、早くも今シーズン2ゴール目となった。
追いつかれた徳島だったが、後半19分にセットプレーからチャンスを作ると、こぼれたボールを左サイドバックのDF西嶋がミドルシュートを決めて2対1と勝ち越しに成功する。コンサドーレ札幌から移籍のDF西嶋は2試合連続ゴールとなった。試合は、そのまま2対1で徳島が勝利。3勝目を挙げた。
■ セットプレーから2ゴール徳島は、得意のセットプレーを起点に2ゴールをマークし、ホーム3連勝を飾った。
徳島には、DF西嶋、DFエリゼウ、MFディビッドソン・純マーカス、FW佐藤洸、DF三木とターゲットになれる選手が揃っており、キッカーにもスペシャリストのMF島田がいるので、セットプレーは大きな武器になっている。京都も背の高い選手は多いが、この試合は徳島が制空権を握っていた。
昨シーズンは、チームにフィットしきれなかったMF島田は、今シーズンも開幕戦はスタメンから外れたが、再開後は4試合連続でスタメン出場。水戸戦はFKでゴールを決めており、千葉戦でも決勝のPKを決めている。名古屋グランパスから移籍のFW杉本とポジションを争う形になっているが、多くのゴールに絡んでおり、持ち味を存分に発揮している。
徳島は、セットプレー以外では、うまく攻撃が回っていないが、いいところでセットプレーからゴールが生まれていて、着実に勝ち点を積み上げている。3勝1敗1分けで4位ということで、昨シーズンに続いていいスタートを切っている。
■ DFエリゼウが先制ゴール徳島は新加入のDFエリゼウが力を発揮している。守備だけでなく攻撃でも持ち味を発揮しており、効果的な補強になっている。DFペ・スンジンもようやく怪我から回復いてきたが、DF三木とのコンビもよくて、中央の守りは非常に堅くなっている。
今後、キーになりそうなのは右サイドバックのDF平島だろうか。8節、9節はスタメンから外れて、DF島村がサイドバックで起用されたが、DF島村とDF西嶋のサイドバックコンビとなると、サイドから攻撃するには不向きになる。前の選手だけで点が取れるのであれば、それでも問題はないが、現状では、サイドバックも攻撃に参加してほしいところであり、右サイドになるか、左サイドになるかは分からないが、どちらのサイドでもDF平島を使っていくのがベターだろう。
■ 京都は3敗目対する京都は、前半途中から流れがよくなって、悪い内容ではなかったが、セットプレーから2失点。背の高い選手は多いが、FWディエゴ、FWドゥトラ、MFチャン・ウヨン、MF中村太といった選手は高さを武器にするタイプではないので、セットプレーでは劣勢だった。
京都は、今シーズンから元甲府の大木監督が就任し、パスサッカーを志向している。まだ数か月しか経っていないことを考えると、なかなかの浸透具合で、パスがきれいにつながっていくシーンもあるが、右サイドのMF加藤、左サイドのMF中村太あたりは、持ち味を出せておらず、キーとなるセンターバックの攻撃参加も、攻撃に意欲を見せているのはDFアライールくらいで、厚みのある攻撃にはなっていない。
<3-2-2-3>に合った選手を連れてくるだけの余裕がなかったので、かみ合わせというところでうまくいっておらず、取捨選択も必要であり、結果と内容を両立させるようになるには、しばらく時間がかかるのではないだろう。
■ FW久保裕也の衝撃京都も、J2に降格してきたが、FWディエゴ、FWドゥトラが残留したこともあって、前評判は低くはなかったが、ここまでは1勝3敗1分け。DF水本、DF増嶋、DF渡邉大、MF角田、DFカク・テヒ、FW柳沢らが抜けた影響は、思っていた以上に大きいようで、正直、「1年でJ1に戻る。」という目標を達成するのは、かなり厳しいように思う。
ただ、光明はある。言うまでもなく、高校3年生のFW久保の存在であり、すでに2ゴールをマークしているが、ゴールだけでなく、ドリブルでも、ポストプレーでも目立っており、17歳でこれだけのプレーができるものなのかと、驚かされた。FWディエゴのコンディション不良の影響もあったというが、第8節と、第9節では、FWディエゴをベンチに追いやって、センターフォワードでスタメンで起用されたが、それも納得である。
身長は177㎝なので、それほど大きな選手ではないが、ポストプレーの巧みさは目を見張るものがあり、キープ力もあって、パスのセンスも感じさせる。最近の日本人は、MF香川、MF宇佐美、FW宮市とアタッカー・タイプに好素材が集まっているが、FW久保は、中央のゴールに近いところで体も張れるので、最近では珍しいタイプである。
大木監督が、「将来性を考えて久保を起用している。」というわけではないことは明らかであり、J2という舞台もFW久保が成長するにはいい環境といえる。FW久保は1993年生まれなので「ロンドン世代」ではなく、その次の「リオ世代」となるが、楽しみな選手がJリーグに登場してきたといえる。
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