■ J1が再開中断していたJ1が再開。震災で大きな被害を受けたベガルタ仙台はアウェーで川崎フロンターレと対戦。開幕戦はアウェーで広島と対戦してスコアレスドロー。対する川崎Fはホームでモンテディオ山形と対戦して2対0で勝利している。
ホームの川崎Fは<4-2-2-2>。GK杉山。DF田中裕、横山、井川、小宮山。MF稲本、柴崎、中村憲、登里。FWジュニーニョ、矢島。FWジュニーニョはベンチスタート。横浜FMから移籍のFW山瀬功が初スタメン。大卒ルーキーのFW棗がベンチ入り。
対するアウェーの仙台は<4-2-3-1>。GK林。DF菅井、曹秉局、鎌田、朴柱成。MF角田、高橋、太田、梁勇基、関口。FW赤嶺。FWマルキーニョスが退団しており、FW赤嶺の1トップ。FW柳沢は怪我のため欠場。京都から移籍のMF角田がボランチでスタメン。
■ 鎌田が逆転ゴール大雨の中で行われた試合は、前半の立ち上がりは仙台ペース。MF梁勇基のセットプレーから何度かチャンスを作る。一方の川崎Fは雨でスリッピーなピッチに悩まされてパスミスが目立て、形を作れない。
しかし、先制したのは川崎Fで、前半37分に高い位置でボールを奪ってショートカウンター。MF登里のパスから右サイドの裏に飛び出したMF山瀬功がボールをキープして、落ち着いて中央に送ると、ゴール前に上がってきていたDF田中裕が右足で流し込んでホームの川崎Fが先制する。前半は1対0の川崎Fリードで折り返す。
後半も雨が降り続く中で試合は進む。両チームともにスピードに乗った攻撃ができずに膠着状態となるが、後半27分に仙台は左サイドを崩してFW赤嶺が中央でキープして右サイドに流すと、待っていたMF太田が右足でシュート。これが相手の足に当たるラッキーも味方して1対1の同点に追いつく。MF太田は移籍後はリーグ戦初ゴール。J1では2007年以来のゴール。
追いつかれた川崎Fは切り札のFWジュニーニョを投入。ここから波状攻撃を見せるが、仙台は体を張った守備で対応。すると、後半42分に右サイドからセットプレーを獲得。MF梁勇基の蹴ったボールをDF鎌田が渾身のヘディングシュート。これが決まって2対1とリードを奪う。残り時間は、関口を中心にうまく時間を消化させて1点を守りきる。結局、2対1で仙台が逆転勝利。今シーズン初勝利を劇的な形で飾った。
■ 手倉森監督の涙1点をリードされる苦しい展開になった仙台だったが、後半にMF太田とDF鎌田のゴールで逆転勝利。後半に入ると、なかなかいい形を作れなくなって、勝ち目の薄い展開になったが、見事に2ゴールを奪って川崎Fを破った。
被災地のクラブということで大きな期待を背負っており、この試合も大きな注目を集めていたが、震災後は、クラブも活動を休止しており、久々の公式戦ということもあって、選手のコンディションもマチマチ。思い通りのプレーができない選手も多い中、すべてのマイナス要素をはねのけた価値ある白星となった。
「下手な試合はできない。」というプレッシャーや「期待に応えなくてはならない。」という思いは、想像以上に大きかったということは、試合後の手倉森監督が勝利監督インタビューで涙でほとんど何もしゃべれなかったことが素直に現している。仙台の人々にとって、この試合と、この試合で生まれた2つのゴールは、ずっと忘れられないものとなるだろう。
■ MF太田が同点ゴール同点ゴールは仙台に移籍して2年目のMF太田だった。両チームとも、動きがなくなってきており、「このまま1対0で終わるか。」というムードが高まっていた時間帯でのゴールだったので、非常に価値のあるであった。
仙台にとっては今シーズン初ゴールであるが、MF太田にとっても移籍後のリーグ戦で初ゴール。実にJ1では自身4年ぶりのゴールとなった。右足のシュートはうまくヒットしなかったが、気持ちでネットを揺らした魂のゴールといえる。このゴールの後、足を攣って交代になったが、スタミナには定評のあるMF太田がこの時間に足を攣るほどで、久々の試合だったということもあるだろうが、選手にも心理的なプレッシャーはかかっていたのだろう。
大きな白星を挙げた仙台は、金曜日の29日に、いよいよ、ホームのユアテックスタジアムに戻って震災後は初の公式戦が行われる。浦和レッズを迎えるが、最高の形で仙台に戻ることができるといえる。ユアテックスタジアムも地震の被害があったというが、幸いにも、試合は開催できる状態ということで、盛り上がりは相当のものになるだろう。
■ フロンターレはリードを守れず一方の川崎Fは、悔しい逆転負けでホームゲームを落とした。いい形で相手DFを崩して先制したが、「2点目を取って試合を決めてしまおう。」という意欲は乏しく、FWジュニーニョが怪我のため出場時間を制限されていたという理由もあったが、攻撃に厚みはなかった。
気になるのは、MF中村憲のポジションで、今シーズンから、「ボランチ」ではなく「攻撃的MF」のポジションで起用されているが、あまりボールに触ることができずに、持ち味を出せなかった。代わって、ボランチには東京ヴェルディから加入のMF柴崎が入っているが、二人の役割分担が明確ではなくて双方が生きず、「相手ボールを奪う」→「ボランチの位置でMF中村憲がボールを受ける」→「素早く前線に縦パスを入れてからカウンター」というのが、川崎Fの得意のパターンであるが、この必殺パターンも見られなかった。
■ FW山瀬功がアシスト明るい話題というと、昨オフに横浜Fマリノスを戦力外になって、川崎Fに入団したFW山瀬功が先制ゴールをアシストしたことで、序盤は消えていたが、徐々に試合の流れに乗ってきて、突破力が生きるシーンが何度かあった。
FWジュニーニョ、FW黒津というレギュラー候補のフォワードを欠いているためなのか、フォワードでプレーしているが、攻撃的MFでも、フォワードでも、ドリブルとシュート力が武器であることには変わりはなく、もう少し、コンディションが上がってきて、チームメイトとの連携も取れてくると、チームの攻撃力アップにも貢献できるだろう。
■ 残念だったこと1点を争う好ゲームとなったが、残念だったのは、スカパーの解説の田中孝司氏の解説であり、90分間、ネガティブな発言が多くて、水を差される発言が多かった。ピッチコンディションも悪く、久々の公式戦なので体調も十分ではなく、両チームともミスが多かったのは事実であるが、必要以上にそのミスを指摘されると、興ざめしてしまうのも事実である。
解説者といえども、選手時代や監督時代の実績が物をいう職なので、監督としての実績に乏しい田中孝司氏の発言が、説得力に欠けてしまう。そのため、同じことを言っても、Jリーグでタイトルを獲得している松木安太郎氏やオリベイラ氏、オシム氏、早野氏などの発言と比べると軽く見られてしまうという気の毒な部分もあるが、試合を観ていて、聞き流すことができないくらい、気になってしまった。
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FWマルキーニョス選手 ベガルタ退団
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