「S+」→「S-」→「A+」→「A-」→「B+」→「B-」→「C+」→「C-」→「D+」→「D-」→「E+」→「E-」
名古屋グランパス 評価 B+
→ 潤沢な資金に加えて、J1リーグを制したことでブランド価値も上昇し、MF藤本(清水)、FW永井(福岡大)といった移籍市場の目玉の獲得に成功した。MF藤本は退団したMFマギヌンの位置でプレーすることが濃厚で、特に「プレイスキッカー」としての期待は大。反則級の高さを誇るチームにJリーグ屈指のキッカーが加わったことでその威力は増大するだろう。注目のFW永井は、スーパーサブでの起用濃厚であるが、日本サッカー界にとって大事な選手なので、途中出場で結果を残してレギュラーに挑戦して欲しいところである。
不安材料は、DF竹内、FW巻がチームを離れたことで、右SBとCFの控えがいなくなってしまったこと。DF田中隼は鉄人なので大丈夫かもしれないが、FWケネディはオーストラリア代表の活動もあるので、フル出場するのは難しい。FW永井を1トップに置くというのも考えられるが、そうなると、全くサッカーが変わってくる。
とはいえ、もともと、戦力では他のライバルチームを上回っており、オフの補強としてMF藤本とFW永井の獲得で十分に満足できるものであったが、ここにきてMFダニルソンの故障が発覚。アンカーを置く<4-1-2-3>はMFダニルソンがいたからこそ成り立っていたであり、名古屋にとってはもっとも抜けられると困る選手が欠けることになった。MF吉村もプレー可能であるが、クオリティではかなり落ちてしまう。全治まで2~3か月ほどかかる見込みでが、新たな戦力補強も必要かもしれない。
ガンバ大阪 評価 C-
→ 2005年にリーグ制覇して以降、毎年のように大型補強を行ってきたが、今オフは控えめで、FWアドリアーノ(C大阪)、MF金勝龍(全北現代)を獲得しただけで、日本人の補強は新人だけにとどまった。C大阪で14ゴールを挙げたFWアドリアーノはフォワードの軸になれる選手で、「個の力」はJリーグのどのフォワードよりも優れている。FWマグノ・アウベス、FWバレー、FWレアンドロといったブラジル人と同様にゴールを量産する可能性は高く、フルシーズン戦うことができれば、昨シーズンの14ゴールを上回るのは間違いない。
マイナスポイントは、チームの高齢化への対策ができなかったこと。中盤はMF遠藤、MF橋本、MF二川、MF明神の4人の後を安心して任せることが出来る選手はMF宇佐美くらいであり、そのMF宇佐美にしても、執拗に海外の有力クラブから狙われており、早い時期の海外移籍の可能性がないとはいえない状況。
DFラインも同様で、DF加地、DF山口といった長年チームを支えてきた選手が衰えを見せ始めていることに加えて、DF安田がフィテッセに移籍し、層も薄くなってしまった。大分のMF東らを狙っていたという話があったが、結局、補強は上手くいかずに、FW大塚、DF菅沼、DF内田らユース出身者の台頭が不可欠な状況である。
現有戦力でもJ1でトップレベルにあり、十分にタイトルを狙えるメンバー構成であるが、将来を考えると、かなり不安なメンバー構成になってきており、そろそろ抜本的な改革が必要な時期になってきている。
セレッソ大阪 評価 B-
→ レギュラークラスではMF家長、MFアマラウ、FWアドリアーノが退団し、MFキム・ボギョン、MF中後、MF倉田、FWピンパォンらを獲得した。もっとも注目されるのはブラジル人のFWピンパォンで、本来は2列目のアタッカータイプの選手という話なので、自身のゴール数を伸ばすことだけでなく、3シャドーを生かすプレーに期待したいところ。昨シーズン、MF乾、MF家長、MF清武の3シャドーはそれぞれ4ゴールずつを挙げたが、1トップに入るFWピンパォンとの連携を極めて、3シャドーのゴール数を増やしたい。
MF家長の代役となりそうなMFキム・ボギョンは、大分で華々しいスタートを切ったもののシーズン途中で失速し、思うような結果を残せなかったが、チームが下位に低迷しており、モチベーション的にも厳しい状況であった。J1で真価を問われるシーズンになるので、現役韓国代表の実力を示したいところ。仮に、MFキム・ボギョンがダメな場合は、FWピンパォンが中盤に下がって、FW小松の1トップ起用も考えられる。
不安は、DF羽田が抜けたことでセンターバックの層が薄くなったこと。DF茂庭、DF上本が万全であれば問題ないが、アクシデントがあると、計算できるのはDF藤本くらいになってしまう。DF藤本はボランチのレギュラーとして起用される可能性もあるので、手薄なポジションである。
MFアマラウの抜けたボランチは、MF中後、MF山口蛍、MF藤本、MF黒木、MF扇原の争いとなる。今オフ、MFアララウ以外にも計算できる選手が抜けてしまったが、幸いにして、FW永井、FW杉本、MF山口蛍、DF扇原といった若年層の日本代表のレギュラークラスの選手が控えており、「即戦力選手」を連れてくる以上に、彼らを戦力に育て上げることが求められるチーム状況である。適度にポジションが空いているのは、むしろ望ましい状況である。
ヴィッセル神戸 評価 C+
→ 即戦力といえるのは、MFホジェリーニョとDF羽田(C大阪)。MFホジェリーニョは攻撃的MFのレギュラー候補で期待の高い選手であったが、コンディションが整っていない模様で、誤算が生じている。一方、DF羽田はセンターバックとボランチをこなす守備的なポジションの選手で、リーダーシップもあるので、バックアッパーとしてはハイレベルな選手である。同じような役割で、元日本代表のDF宮本がいるが「上位互換」といえる。
一方、退団した選手は、FW我那覇、MFエジミウソンら、戦力になれなかった選手がほとんどであり、マイナスは少ない。結局のところ、±に関わってくる選手は、MFホジェリーニョとDF羽田の二人くらいであり、中位以上を目指すにはMFホジェリーニョの活躍が不可欠で、彼の活躍度で今オフの補強の評価が下されるといって過言でないほど入れ替えがなかった。
2010年は終盤に追い上げて奇跡的な残留を果たしたが、FW大久保やFW都倉と諸事情でシーズン後半に貢献できなかった選手をフィットさせる作業が何よりも重要となる。メンバーを見ると、それほど悪い顔ぶれではない。
サンフレッチェ広島 評価 B-
→ チームのムードメーカーで攻守ともに大きな役割を果たしていたDF槙野がケルンに移籍して穴があいてしまった。さっそく、DF水本(京都)を獲得したが、タイプが異なる選手であり、同じようなサッカーを続けるのは厳しくなった。ここ数年、ずっと<3-6-1>であったが、他のシステムに変更となる可能性もある。ただ、単純な守備力だけを考えると、DF水本の方がDF槙野よりも優れているので、DF水本のよさが生きるような戦い方になれば、穴埋めができないこともない。
MF高柳が長期離脱中のシャドーのポジションは、横浜FMを戦力外になったMF山瀬功を狙っていたが失敗。新外国人をテストしていたが、元グルジア代表のMFムジリを獲得。32歳という年齢は不安であるが、オシム監督時代のシュトルム・グラーツで主力として活躍していた選手であり、ペトロビッチ監督もよく分かっている選手なので、期待したいところ。他にもクロアチア人MFアンテ・トミッチという選手とも契約間近という報道があって、東欧パワーを注入してきた。
FW李忠成の覚醒、MF山岸とFW山崎の完全移籍での加入もあって、レギュラー争いはどこのポジションも熾烈であり、FW佐藤寿やGK西川を含めて、ポジションが安泰といえる選手はいない状況である。2010年はナビスコカップの決勝で敗れたが、そろそろタイトルが欲しい時期である。
アビスパ福岡 評価 E+
→ 資金力不足もあって非常に厳しいオフとなった。最大の誤算はJ2で15ゴールを挙げたMF永里の流出で、よりによって昇格を争った甲府に移籍してしまった。また、軸となれるフォワードの補強は不可欠であったがうまくいかずに、現有戦力で戦うことになった。最終ラインも、丹羽が残留したのは大きいが、レギュラーのDF中島も抜けてしまった。
新戦力は、FW重松(FC東京)、MF成岡(磐田)、MF松浦(磐田)といったところ。いずれも能力の高い選手ではあるが、1.5列目や2列目のポジションは、FW高橋、FW田中佑、FW岡本、MF城後とすでにタレントが豊富だったポジションであり、戦力アップになったかというと疑問である。運動量があって、ターゲット役にもなれたFW大久保も抜けており彼の穴も埋まっていない。
流出の噂もあったMF中町、MF末吉のボランチコンビが残留したの大きいが、昨シーズンと比べても戦力は落ちている。日本人を中心にして戦うのも悪いやり方ではないが、限界はある。資金がないのは仕方がないが、今オフは、限りある資金もあまり有効に使えなかった印象である。2006年以来のJ1の舞台であるが、苦しいシーズンになりそうだ。
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