■ ヨルダン戦 1月7日にアジアカップが開幕。1日目は地元のカタールが登場したが、ウズベキスタンに0対2で敗戦。2日目は中国とクウェートが対戦し、2対0で中国が勝利。グループAはウズベキスタンと中国が勝ち点「3」を獲得した。3日目はB組の2試合が行われる。日本がヨルダンと対戦し、サウジアラビアとシリアが対戦する。
日本はDFラインに故障者が発生し、DF酒井とDF槙野が離脱。DF森脇とDF永田が新たにメンバーに加わった。システムは<4-2-3-1>。GK川島。DF内田、吉田、今野、長友。MF遠藤、長谷部、松井、本田圭、香川。FW前田。スタメン11人のうち7人が欧州組となった。
■ 吉田のゴールでドロー 試合は立ち上がりから日本がボールを支配するが、なかなか攻めきれない。FW前田の1トップで、その下にMF本田圭を置いて、右にMF松井、左にMF香川という韓国戦と全く同じ布陣であったが、コンビで崩していくシーンが少なくてシュートまで持っていけない。すると、0対0で迎えた前半44分にヨルダンのMFアブデルファターがエリア外から放ったシュートがDF吉田の足に当たってコースが変わってゴールイン。ヨルダンが1点をリードして前半を折り返す。
後半開始から日本はFW前田に代えてFW李忠成を投入。さらに後半13分にMF松井に代えてMF岡崎を投入。MF本田圭を右サイド、MF香川を真ん中、MF岡崎を左サイドに置く布陣に変更する。すると、ようやくいい流れになってきてシュートチャンスを作るようになるが、同点ゴールは遠い。
0対1でこのまま敗戦かと思われたロスタイムに日本は左コーナーキックを獲得すると、ショートコーナーでMF長谷部がゴール前に上げたボールをDF吉田がヘディングで決めて同点に追いつく。その後、わずかな時間でMF岡崎、FW李忠成がチャンスを作るが決められず。結局、1対1でドロー。勝ち点「1」のスタートとなった。
■ ドロースタートザッケローニ監督になって3試合目の試合であったが、非常に苦しい試合となった。前半はバランスは悪くはなかったが、ヨルダンもうまく守っていて、仕掛けるポイントが見つからずに攻撃が行き詰ってしまった。FW前田、MF本田圭のところにいいボールが入らず、中央に構えてしまったので味方が使うスペースもなくて効果的な攻撃は出来ず。そして、終了間際に不運な形で先制ゴールを奪われるという最悪の展開になった。
追いついてからわずかな時間に何度かいいチャンスを作ったが、トーナメントの初戦特有のプレッシャーに負けて前半は慎重なプレーに終始し、アンラッキーな形で失点を喫してからは、ヨルダンが引いて人数をかけるようになったので、さらに苦しくなった。
おそらく、早い段階に先制ゴールが奪えていれば何も問題のない試合になったはずであるが、初戦というのは相手のモチベーションも高くて、どうしても難しい試合になってしまう。日本が極端に悪かったというわけではなかったが、大会で1点目を奪うというのはしんどい作業である。初戦で勝ち点「3」を獲れればよかったが、展開を考えると「御の字」といえる結果となった。
■ 効果的だった岡崎の投入前半からリズムの良くなかった日本であったが、MF岡崎の投入で流れは少し良くなった。MF岡崎はフォワードの位置ではなく左サイドに入ったが、サイドで起点になっただけでなく、上手くゴール前に入っていってシュートチャンスに絡んだ。
ザッケローニ監督が選んだ11人のスタメンはほぼ予想通りのものであったが、1つだけ考えていたのと違っていたのが右サイドの人選。MF松井が入ってMF岡崎がスタメンから外れたところである。
MF松井が右サイドに入ったことで右サイドのキープ力が上がってDF内田の攻撃参加を引き出すというメリットはあったが、MF松井は得点力に欠けるのでゴール前で相手に脅威を与えることが出来ず、前半の日本はFW前田とMF本田圭が相手のセンターバックとボランチにきっちりと守られて、孤立してしまった。
まだザッケローニ体制になって3試合目であり、まだベストの布陣を探している途中でアジアカップを迎えることになったが、この日の4人がベストかというと疑問に感じてしまう。メンバーと配置をいじってペースをつかんで、最後に同点ゴールを奪ったが、このあたりをザッケローニ監督はどう判断するか。シリア戦のスタメンに注目したいところである。
■ 切り札の不在 ポジティブに考えるとMF岡崎がベンチにいたので少し流れを変えることが出来たが、得点力を考えるとMF岡崎はスタメンで起用した方が効果的であると思う。ただ、そうなると、切り札と呼べる選手がいなくなって、この日のようにどうしてもゴールが欲しいときに切れるカードがなくなってしまう。
FW前田、FW李忠成は高さはあるが、相手の185㎝を超えるセンターバックと競り合って勝てるほどではなくて、リズムを変えられる選手は少ない。一番いいのは、今後、そういう展開にならないことであるが、W杯後は失点が少なくきていたので、追い込まれたシチュエーションがなかった。W杯では、今の日本の力であれば、同等以上のチームに守りを重視して戦って勝機をうかがうことが出来ることという分かったが、守ってくるチームの守備をこじ開けるというのは、また違った部分が必要となる。今後の課題といえるだろう。
■ 前田と李忠成 1トップでプレーしたFW前田とFW李忠成であるが、ともにあまりプレーに絡めずに終わった。
FW前田はトップ下のMF本田圭との関係が思わしくなく、うまく味方の使うスペースを作りきれずに前半のみで交代し、代わってFW李忠成は同点に追いついてからチャンスに絡むようになったが、デビュー戦ということもあって、ほとんどボールに絡めないままで終わった。共に能力的には問題ない選手であり、万能型でどんなプレーもそつなくこなすが、国際経験が豊富な選手ではないので、この日は試合から消えてしまうことになった。
コンビネーションや自身の出来が悪かったことが問題でなくてチーム全体が硬かったことがうまく機能しなかった主要因であり、最後のDF吉田の1点でチームの硬さはなくなるはずなので、次戦からは問題なくプレーできるという考えもできなくはない。W杯と同様に本田圭の1トップという選択肢もあるが、こちらも、ザッケローニ監督がどう判断するかである。
■ 値千金の吉田のゴールアンラッキーな形で失点に絡んだDF吉田であったが、終了間際に値千金のゴールを奪ってドローに持ち込んだ。もし、敗れていればグループリーグ突破も厳しくなる状態だったので、非常に大きな同点ゴールだった。89㎝というチームで一番の高さが生きた見事なゴールであった。
この試合の日本は、MF本田圭、MF香川を含めて、思うようにプレーできなかった選手が多かった中、DF吉田は前半からいいプレーを見せており、いい形で試合に入れたと思われただけに失点シーンは痛恨だったが、自らで挽回する自身にとっても大きなゴールとなった。
守備のシーンでは、相手のカウンターのときにスピードに乗って来られた時の対応に不安は残るが、つなぎのパスは正確で、この部分ではDF闘莉王やDF中澤以上をしのぐものがある。「失点」と「得点」に絡んで新聞の見出しになるような試合となったが、最後の同点ゴールは自信を持たすだろう。センターバックとして彼が独り立ちできれば、苦戦したヨルダン戦も、後々振り返ったときに価値のあるものだったといえるようになるだろう。
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