■ 16節 ドイツのブンデスリーガはウインターブレークまで残り2試合。13勝1敗1分けで首位を独走するドルトムントはヴェルダー・ブレーメンと対戦。ブレーメンは5勝6敗4分け。ドイツ代表のMFエジルはレアル・マドリーに移籍したが、ドイツ代表のMFマリン、DFメルテザッカーらを擁する。昨シーズンはリーグ3位でCLにも今シーズンのCLにも出場。グループAで4位となって突破はならなかった。
ホームのドルトムントは<4-2-3-1>。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、サヒン、ブラスチコフスキ、香川真司、ゲッツェ。FWバリオス。ヨーロッパリーグのカルパティ戦と15節のニュルンベルク戦を欠場したパラグアイ代表のFWバリオスがスタメン復帰。
■ ドルトムントが勝利試合は前半9分にドルトムントがゴール右寄りの絶好の位置でフリーキックを獲得。これをトルコ代表のMFサヒンガ左足で狙うと、これが鮮やかに決まってドルトムントが先制する。MFサヒンは4ゴール目。前半は1対0のドルトムントリードで終了する。
後半はブレーメンが反撃。ペルー代表のFWピサロが何度が裏に抜け出て決定機を作るが、決められない。すると、後半25分にドルトムントは右サイドでMFブラスチコフスキがドリブルで仕掛けて右足でシュート。これはGKが防ぐが、こぼれたボールをMF香川が左足でうまく合わせてゴール。貴重な2点目を挙げる。
結局、MF香川はスタメンフル出場。ドルトムントが2対0で勝利し、7連勝を達成。開幕戦でレバークーゼンに0対2で敗れたが、その後の15試合で14勝1分け。どうにも止まらない勢いでブンデスリーガの首位を独走している。
■ 今季2度目の7連勝2対0で勝利したドルトムントは7連勝を達成。7連勝は今シーズン2度目で、2位のレバークーゼンが9勝2敗5分けで勝ち点「32」なので、11ポイント差をつけている。得点「39」、失点「9」、得失点差「30」でいずれもリーグトップ。前半戦のラストとなる17節はフランクフルトと対戦することになっている。
今のドルトムントにとっては、ブンデスリーガも大事であるが、それ以上にヨーロッパリーグでグループリーグを突破できるかが大事であり、次の金曜日にスペインのセビージャと対戦する。アウェーでセビージャに勝たないとグループ敗退になってしまうという厳しい状況であるが、決戦を前にいい形で勝利できたのは大きい。
■ 香川は8ゴール目?2アシスト目?後半の立ち上がりからブレーメンに攻められていたのでドルトムントにとっては、後半25分のダメ押しゴールが非常に大きかったが、そのゴールを奪ったのがMF香川だった。こぼれたボールをうまく左足でミートしてネットを揺らした。これで8ゴールとなって、2試合に1点のペースを守っている。浮き球で簡単なシュートではなかったが、うまく抑えた見事なシュートだった。
ブンデスの公式ではMF香川のゴールとなっているが、ただ、映像で見る限り、MF香川のシュートに対して、最後にFWレワンドフスキの頭に当たっていて、コースが変わっていることが確認できる。ドイツではどういう基準で判断が下されることになるのか分からないが、日本であると、最後に触った選手の得点になることが多いので、FWレワンドフスキのゴールと訂正される可能性がないとは言えない。そうなると、8ゴール目ではなく、2アシスト目となる。
ただし、FWレワンドフスキが頭で触ったとすると、オフサイドになってしまう。厳密にいうと、オフサイドでノーゴールになってもおかしくないシーンであったが、さすがに、あのスピードのシュートを味方が触ったか、触っていないか、副審が判断するのは不可能である。
■ 16試合目のリーグ戦セビージャ戦、フランクフルト戦が終わると、日本代表としてアジアカップに挑むことになるMF香川であるが、この試合はキレていて、ボールを失うこともほとんどなく、攻撃をリードした。FWバリオスが復帰したが、FWバリオスはこの試合は怪我明けということもあって、やや精彩を欠いたが、その分、MF香川が頑張って、FWバリオスをカバーした。
ブンデスリーガで16試合目。だいたい、相手チームもMF香川がどんな選手なのか分かってきており、安易にボールを奪いに飛び込んでくることはなくなった。大柄な選手にガツッと当たられると苦しむシーンが序盤戦には見られたが、相手選手も飛び込むとMF香川にかわされるので、激しくマークしにくい状況になってきている。
■ なぜドイツでゴールを量産するのか?MF香川は2007年は35試合で5ゴール、2008年は35試合で16ゴール、2009年は44試合で27ゴール、2010年はJ1で11試合で7ゴール、ドイツで16試合で8ゴール。ここ2シーズンは2試合に1ゴール以上のペースでゴールを量産している。ポジションはC大阪時代が左攻撃的MF、ドルトムントではトップ下。中盤の選手としては異常なほどの得点力である。
一過性のものではなく、2年半もの間、ゴールを量産し続けているのには、いくつもの理由があると思うが、主なものとしては、
① 右足でも左足でもゴールを狙うことができること。
② トラップ等の技術の高さ。
③ 強靭なメンタリティ。
④ 強豪チームでプレーできていること。
の4点である。この試合のゴールは、左足でのゴールであったが、ブンデスリーガでは、2点目、3点目、5点目、8点目が左足のゴールであり、8点中で右足が4点、左足が4点と全く同じである。右利きの選手の場合、ゴール前では右足でシュートを狙えるようにら、右足に持ちかえる動作が必要となるケースがあるが、MF香川も場合、左右どちらでも変わらないので、持ちかえる必要がない。相手にとっても、どちらの足を警戒すれば分からくなるので、有利である。
また。トラップに代表される技術の高さもゴールを生み出す要因である。初ゴールとなった3節のヴォルフスブルク戦では難しいパスを正確にトラップして右足でシュートを放ったが、少しでもトラップに失敗していれば、シュートに持っていくことができないことも考えられるし、シュートまで持っていけたとしても、イメージ通りのシュートができないことも考えられるが、このあたりは非常に正確である。
90年代になって、日本にはテクニックのある中盤の選手が次々と出現してきたが、その一方で、ストライカーはコマ不足だった。そのため、「中盤の選手を前線で使えばいいのでは?」という意見も出てきたが、やっぱり、中盤で要求されるテクニックと、ゴール前で要求されるテクニックは別であり、「それは効果的ではない。」という結論に至った。ただ、MF香川を見ていると、本当の意味での技術があれば、中盤でも、ゴール前でも、同じようにプレーできる、やはり技術の高さは大切だ、ということを感じさせる。
また、ゴールに対する執着心というべきか、メンタリティの強さも日本人離れしたものがある。これは日本時代から変わらないものであり、ゴールに対する意欲が強い。C大阪時代は、むしろ、ゴールへの意欲が強すぎて空回りしてしまうことや、持ちすぎて相手につぶされることもあったが、ドルトムントではバランスよくプレーできており、セルフィッシュな部分はあまり見られず、望ましい心理状態でプレーできているように思える。
最後に、比較的、強いチームでプレーできていることも忘れてはならない。セレッソ大阪も、ドルトムントも、リーグの中で戦力の揃ったチームであり、C大阪で3年間はJ2でのプレーとなったが、2007年の終盤から2009年までの2年あまりは、ほとんどの試合でC大阪が有利な状態で試合を行うことができており、ドルトムントも同様である。レギュラー争いは大変ではあるが、戦力上位のチームはチャンスの数も多くて、ゴールを奪える確率も高くなるのは必然であり、J2時代の数々の成功体験は引出しの多さにもつながっている。
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