■ 第9節 前節、開幕7連勝のマインツがハンブルガーSVに0対1で敗れたため初の首位に立ったボルシア・ドルトムント。この日はホームで4位のホッフェンハイムと対戦。ホッフェンハイムは4勝2敗2分けと好成績を残している。
ホームのドルトムントは<4-2-3-1>。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、スボティッチ、フメルス、シュメルツァー。MFベンダー、サヒン、ブラスチコフスキ、香川真司、グロスクロイツ。FWバリオス。木曜日に行われたヨーロッパ・リーグのパリ・サンジェルマン戦は出場停止だったDFシュメルツァーがスタメン復帰。MF香川は開幕から9試合連続スタメン。
■ 1対1のドロー試合は序盤からドルトムントの動きが鈍くて、ホッフェンハイムにペースを握られる。前半9分に不用意な形で中盤でボールを失うと、左サイドを完全に崩されて最後はFWデンバ・バに決められてしまう。ドルトムントが先制点を許す。リーグ戦で先制ゴールを奪われたのは開幕戦のレバークーゼン戦以来のこと。1点ビハインドとなる。
追いつきたいドルトムントは前半16分にゴール前に侵入したMF香川がボールコントロールをするときに相手にハンドの反則があったとしてPKを獲得する。キッカーのMFサヒンが蹴ったボールは1本目は右隅に決まるが、FWバリオスがペナルティエリア内に早く入ったとしてやり直し。MFサヒンは2本目を逆方向に蹴るがGKシュタルケに止められてしまう。前半は0対1で終了。
後半開始からドルトムントはMFベンダーに代えてMFゲッツェを投入。MFゲッツェの投入で中盤のパスの出所が増えていいリズムになる。ドルトムントはさらに後半14分にMFグロスクロイツに代えてポーランド代表のFWレワンドロスキを投入。FWバリオスとFWレワンドロスキの2トップで、MF香川を左サイドに回す。
それでもゴールの遠いドルトムントは、最後の策としてMFブラスチコフスキに代えてブラジル人レフティのMFダ・シウヴァを投入。ようやく実ったのはロスタイム。ゴールやや右寄りでフリーキックを得るとそのMFダ・シウヴァが左足で鮮やかに決めて同点に追いつく。結局、1対1のドロー。ドルトムントの連勝は「7」でストップしたが、かろうじて勝ち点「1」を拾った。
■ 調子は下降気味第4節でシャルケに3対1、第5節でカイザースラウテルンに5対0。リーグ戦で圧勝する試合が続いていたドルトムントだったが、さすがに疲れの色が見え始めてきて、バイオリズムは低下気味。代表戦も絡んできて多くの選手は「週2試合」の試合が続いていて、イレブンの疲労の色は濃かった。
また、ドルトムントのサッカーが研究されてきていることも苦しむ試合が出てきていることの理由である。警戒すべきなのは、FWバリオス、MF香川、MFサヒンの3人であり、攻撃のときに違いを出せるのはこの3人。MFベンダー、MFブラスチコフスキ、MFグロスクロイツという選手もスタメンに名を連ねているが、MFベンダーは守備面での役割の方が大きい選手であり、MFブラスチコフスキは右サイドで攻撃の幅を作る選手であり、ドイツ代表にも選ばれたMFグロスクロイツはオールラウンドな活躍を見せるが、あくまでもロール・プレーヤーであり、攻撃の場面で決定的な仕事が出来る選手ではない。
ホッフェンハイムの守備は見事で、ドルトムントのセンターバックの二人にプレッシャーをかけることでMFサヒンへのパスコースを封じて、さらに前線でFWバリオスをつぶすことでFWバリオスとMF香川のルートも封じようとした。ただ、ホッフェンハイムの守備に対応するためのMF香川の動きも見事で、これまでの試合では少なかったDFラインの裏へ抜ける動きを多用し、PKを誘うなどいいプレーを見せた。ここでMFサヒンのPKが決まって早い時間に同点に追いついていたら良かったが、MFサヒンが失敗。試合を難しくしてしまった。
若い選手が多くて、攻守わたってアグレッシブなプレーを見せる選手が多いドルトムントであるが、MF香川も含めて発展途上の選手が多くて、悪いリズムのときに立て直しができない試合が目立つようになってきた。、イケイケで行けるときは問題ないが、老獪なチームと対戦するときは、今後も苦しむだろう。
■ サイド攻撃の可能性ドルトムントは右サイドにサイドアタッカーのMFブラスチコフスキがいて、右サイドバックのDFピズチェクも果敢にオーバーラップしてくる。右サイドからの攻撃は1つの武器ではあるが、中に入ってくるのがFWバリオス以外ではMF香川とMFグロスクロイツくらいで、ボランチが上がってくることは少ない。MFグロスクロイツは高さがあるのでファーサイドまで届くとチャンスになることがあるが、FWバリオスも184㎝でそれほど高さがあるわけではなくて、ピンポイントで中の選手に合わないと得点は難しくなる。
逆サイドは、MFグロスクロイツが中に入ってきて、そのスペースをDFシュメルツァーがオーバーラップしてクロスというシーンが多いが、DFシュメルツァーのクロスは精度を欠くシーンが多くて、効果的ではない。193cmのDFスボティッチやDFフメルスといったセンターバックがゴール前に上がっているときは問題ないが、それ以外ではあまりサイド攻撃は有効といえない。
MFサヒンのゲームメイクは、「中・中」へ進むというよりは「サイド・サイド」という傾向が強いので、サイド攻撃が必然的に増えているが、可能性の低い攻撃になってしまっている。
■ 初の左サイドドイツ代表でのデビュー戦となるはずだった試合を風邪のために欠場することになった左サイドのMFグロスクロイツがここ数試合、精彩を欠いていることもあって、この日は後半14分に途中交代。これまでの試合はMF香川と交代することが多かったFWレワンドロスキを投入し、MF香川が左サイドに入った。
プレシーズンでは右サイドのプレーも、左サイドのプレーも試されていたが、リーグ戦では初のサイド。どんなプレーを見せるかと思われたが、そこそこのプレー。悪くはなかったが、あまりボールは回ってこなくて、1点リードの相手が完全に引いていたのでスペースもなくて、サイドからドリブルで仕掛けるプレーは少なかった。
後半開始からMFゲッツェがボランチに入ったことでドルトムントの攻撃のリズムが良くなっていただけに点取り屋のFWレワンドロスキを投入して追いつきたいという気持ちはわかるが、FWレワンドロスキが入ると、前線が混雑してしまって効果的に働かないことが多い。ドルトムントがリードしているときは相手がスペースをくれるので問題ないが、得点を奪うときのカードとしてはまだFWレワンドロスキは有効性を示せていない。
MF香川のプレー自体がどうこうというわけではないが、チーム全体のパフォーマンスが落ちているので、ドルトムントにとっても、MF香川にとっても正念場となっている。次節は首位に返り咲いたマインツとの対戦となる。今週はドイツ・カップの試合があるが、相手は3部のチームで、さすがにメンバーは落としてくるだろう。スタメン組は休息をとって大一番に備えてほしいところである。
ボルシア・ドルトムントPSM 2010/08/08
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