■ 第13節J1の第13節。ACLのため順延となっていた11節のサンフレッチェ広島戦で5対0と完勝を飾ったセレッソ大阪は中二日。対するアルビレックス新潟は中断明けは最初の試合となる。ここまで新潟は4勝3敗5分け。C大阪は5勝3敗4分け。新潟はリーグ戦は4連勝中。C大阪もリーグ戦は3連勝中と好調。
ホームの新潟は<4-2-3-1>。GK東口。DF西、千葉、永田、中野。MF本間、三門、マルシオ・リシャルデス、ミシェウ、曹永哲。FW矢野。南アフリカ大会でバックアップメンバーだったDF酒井はベンチスタート。FW矢野の1トップでFW大島はベンチスタート。
対するアウェーのC大阪は<4-2-3-1>。GKキム・ジンヒョン。DF高橋、茂庭、藤本、丸橋。MFアマラウ、羽田、乾、家長、清武。FWアドリアーノ。DF上本は警告累積のため出場停止。DF山下がベンチ入り。広島戦で5点目のゴールを決めたFW播戸はベンチスタート。
■ マルシオの同点ゴール試合の序盤はC大阪ペース。MF家長を中心にテンポよくボールが回って新潟ゴールに迫る。一方の新潟は久々の公式戦ということも影響したのか前半はやや低調。なかなかシュートまで持ち込めない。先制ゴールが生まれたのは前半44分。C大阪が右コーナーキックを獲得すると、MF乾の蹴ったボールをニアサイドのFWアドリアーノがヘッドで決めて先制に成功する。FWアドリアーノはリーグ戦4ゴール目。前半は1対0のC大阪リードで終了する。
後半になるとホームに新潟が巻き返す。前半は消えていたMF曹永哲が試合の流れに乗ってきてチャンスに絡むようになると、後半11分にゴールやや左寄りでフリーキックを獲得。MFマルシオ・リシャルデスの蹴ったボールは相手の壁に当たって少しコースが変わってゴールイン。新潟が1対1の同点に追い付く。
その後は新潟がボールを保持して、C大阪がカウンターで攻める展開。双方が何度かゴール前でチャンスを作るが、両チームのGKが頑張って2点目は許さず。結局、1対1でドローに終わった。これでC大阪は13節終了時点で5位と上位グループに入って来た。
■ 5連勝はならず開幕8試合で3敗5分け。主力が流出したの影響で低迷していた新潟だったが、その後は4連勝。一気に順位を上げてきて、このC大阪戦で5連勝を狙ったがドローに終わって記録更新はならなかった。しかしながら、シュート数は「17本」対「8本」ということで、新潟の方が勝つチャンスは大きかった。
同点ゴールはMFマルシオ・リシャルデスのフリーキック。その直前にC大阪がカウンターを仕掛けてビッグチャンスを作ったが、C大阪のアタッカー陣の守備への戻りが遅かった隙をうまく突いて、フリーキックを獲得。あの位置でMFマルシオ・リシャルデスにFKのチャンスを与えると、かなりの確率でネットに沈められてしまう。チャンスをものにしたMFマルシオ・リシャルデスの技術の高さが光ったが、FKを与えたC大阪の守備のまずさも感じられるシーンだった。
■ ボランチ対決両チームともにボールをポゼッションして攻め込むというよりは、高い位置でボールを奪ってショートカウンターでチャンスを作りたいタイプのチームである。前線に個の力で打開できる選手が揃っていることもあって、攻守の起点となるボランチ対決が注目されたが、この日は新潟のボランチが優勢だった。
特にこの試合のMF本間のプレーは非常に良くて、適切なポジショニングと巧いボールの配給が光っていた。C大阪は1トップ3シャドーなので、前目に4人の選手がいるので、ボランチにプレッシャーをかけやすい配置であるが、うまくいなして、ボールをつなぐことに成功した。
ただ、C大阪のMF羽田とMFアマラウのダブルボランチの出来もいい部類であった。MFマルチネスは欠場している中、このコンビは試合を重ねるごとに成熟してきている。開幕当初は攻守ともにマイナス面が目立ったMFアマラウも、ここ最近は、すっかり優良ボランチになってきていて、彼のパンチ力のあるミドルシュートはC大阪の得点源の1つにもなっている。難しいプレーが得意ではないMFアマラウをうまく操っているMF羽田のパフォーマンスは見事であり、守備が安定する要因の1つになっている。
■ 継続路線MF松下、DF千代反田、GK北野とセンターラインの核となる選手が移籍したことで苦しいシーズンになるかと思われていた新潟だったが、これで4勝3敗6分けの10位。開幕ダッシュに失敗したことを考えると、悪くない位置につけている。
今シーズンは鈴木監督から黒崎監督に代わっているが、やっているサッカー自体に大きな違いはなく、「変わっていない点」が新潟の強みといえる。黒崎監督は新任の監督。主力数名もいなくなったということで、自分のカラーを出したくなるところであるが、成功をおさめた鈴木前監督のチームをうまく引き継いでおり、前任者の遺産をうまく利用してチームを作っている。これは、出来そうで、なかなか出来ないものである。
戦い方が安定してきたことで、今後、徐々に黒崎カラーが出てくることだろう。ポイントになるのは、やはりボランチのMF三門。彼がこの試合でもいいタイミングで前線に駆け上がってチャンスに絡んだが、MF三門がもうワンランク上の選手になった時、黒崎アルビレックスは攻守ともにパワーアップすることだろう。
■ 調子を上げてきたアドリアーノC大阪がドルトムントに移籍したMF香川の穴埋めをしなければならないが、ここ2試合はFWアドリアーノが好調で、たびたび、ドリブルから決定的なチャンスを作っている。フィジカルも強くて、相手DFと1対1になったら高確率で突破することが出来る。
ボールを受けるプレーはあまり上手いとはいえず、カウンターのシーンになっても、「うまく裏のスペースに走り込んでパスを受けたFWアドリアーノがそのままシュートに持ち込む」というシーンはほとんどないが、少し止まった状態でボールを受けてからドリブルで仕掛けた場合、独力でビッグチャンスに結びつけることが出来る。
シュートの精度はあまり高いとはいえないが、相手にとっては厄介なタイプである。得意のパターンはチームメイトも良く分かっていると思うので、もっと意図的にFWアドリアーノのドリブルを攻撃に組み込むと効果的になる。MF香川の得点力を補うために、FWアドリアーノにかかる期待は高い。
■ 左サイドバックの丸橋C大阪では左サイドバックに入っているDF丸橋が注目の存在。水曜日の広島戦に続いて2試合連続でスタメン出場を果たしたが、この日も及第点以上のパフォーマンスだった。守備面では危ないシーンもあるが、とにかく左足のキックは抜群であり、サイドバックながらセットプレーのキッカーを任されるシーンも多い。精度もさることながら球質が見事で、優雅な軌道を描くクロスを送ることが出来る。
彼は1990年生まれでロンドン世代となる。ロンドン世代でいうと、新潟のDF酒井が左サイドバックとして注目を集めているが、MF丸橋には左利きという大きなアピールポイントがある。このままJ1で試合を重ねていけば、当然、候補に挙がってくるだろう。
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