■ ACLデビュー2009年のリーグ戦で4位。3位だったガンバ大阪が天皇杯を制したことで、初のACL出場権をゲットしたサンフレッチェ広島のACLデビュー戦。対戦相手は中国の山東。
ホームのビッグアーチで戦う広島は<3-6-1>。GK西川。DF森脇、ストヤノフ、槙野。MF中島、青山敏、山岸、服部、高萩、李忠成。FW佐藤寿。大分から獲得した日本代表のGK西川、川崎Fからレンタルで加入してきたMF山岸がスタメン出場。MF柏木の代わりに2シャドーの位置に入るのはMF李忠成。
■ セットプレーから失点試合はホームの広島がボールを支配するが、なかなか、決定的なチャンスにまでは至らず。前半にFW佐藤寿のパスから右サイドのMF山岸に決定的なパスが通り、MF山岸がシュートを放ったシーンが唯一のビッグチャンス。悪くは無いが、0対0のままで前半を折り返した。
後半も同じような展開で、引き気味の山東を崩しきれない広島は、後半31分にクリアミスからコーナーキックを許すと、マークが甘くなったところを、山東のFWハン・ペンにヘディングシュートでゴールを許して先制点を許す。
痛い失点を喫した広島は、その後、MF高柳、MF清水を投入するも不発。結局、0対1で敗戦。グループリーグ初戦のホームゲームは痛い黒星スタートとなった。
■ 痛いホームでの黒星グループリーグ初戦。なかなかの強敵が集まったグループに入っている広島としては、ホームの試合は勝ち点を落とせないはずであったが、セットプレーから失点し、0対1の敗戦。クループリーグ突破に早くも黄色信号が灯った。
今年は、6月に南アフリカW杯が控えているため、ACLもいつもよりも2週間ほど日程が前倒しになっているが、この時期の「2週間」というのはさすがに無視できない影響がある。もちろん、相手も同じ条件ではあるが、どこにコンディションのピークを持ってくればいいのか、各チームは検討する余地があるだろう。
当然、早めればいいというものでもなく、長いシーズンの戦いを考えて、コンディション作りを行う必要がある。リーグ戦は「1/34」であるが、ACLは「1/6」となる。これも1つの経験として生かしていく必要がある。
■ 柏木の穴 今シーズンの広島で注目されるのが、「柏木の抜けた穴」をどう埋めるのかであるが、この試合は、MF李忠成がスタメンに抜擢された。MF柏木には無い「高さ」や「泥臭さ」でゴールに迫るプレーが期待されたが、不完全燃焼に終わった。ガンバ大阪から獲得したMF山崎が怪我で欠場した影響も大きく、途中出場したMF高柳もうまくボールに絡めなかった。
MF柏木の代役候補は、MF李忠成、MF山崎、MF高柳ら何人も名前が挙がるが、ハーフコートになったときは、チームで連動して崩すという形があるので大きな影響は無いかもしれないが、オープンゲームになった時に、MF柏木の「ボールを運ぶ力」が無くなったことは、やはりマイナスと感じられる。
この日は、山東が消極的なプレーに終始したため、中盤でボールを奪ってカウンターというシーン自体が少なかったが、ボールを奪ってからの切り替えの早さが持ち味のMF柏木がいれば・・・、というシーンは何度かはあった。
■ 注目の山岸智注目の新戦力のMF山岸はMFミキッチが欠場ということもあって、右ウイングバックで先発出場。左右のウイングバックをこなす柔軟性を持つ利点が、さっそく生きた形となった。
その公式戦デビューとしては、非常に評価の難しい試合となった。山東のディフェンスは中央を固めており、サイドプレーヤーはかなりフリーとなれる場面が多かった。前半から、高い位置でボールを受けて、クロスを送ったり、裏に抜け出ようとする動きがあって、チームへのフィット感はまずまずであった。ただ、いい形でボールを呼び込むシーンが多かった割には、ラストの精度を欠いてしまった。
MF山岸という選手は、単独で縦に突破出来る選手ではないので、突破力を期待するのは難しいが、ゴール前に入り込んでシュートシーンに絡むプレーが最大の武器である。川崎Fでの2年間は、与えられたポジションと役割の問題もあって、なかなか、そういうシーンは無かったが、広島ではいいタイミングで動き出せば、いいパスが出てくる環境にある。
レンタル移籍であるが、2年前には日本代表にも入っていた選手である。広島の目指すサッカーとの相性はいいはずであるので、復活を期待したいところである。
■ 試練のアウェー2連戦初挑戦のACLで出鼻をくじかれてしまった広島であるが、ここから、アウェー2連戦となる。最悪でも1勝1分けで乗りきらないと苦しくなるので、厳しい状況であるが、頑張って勝ち取った出場の権利なので、思い切って行ってほしい所である。
さすがにACLに出場してくるクラブであると、韓国でも、中国でも、オーストラリアでも、中央の守備が堅く、サイドを崩しても中で跳ね返されるシーンが目立ってくる。1トップのFW佐藤寿の負担は大きく、MF李忠成のようなストライカータイプの選手をもっと高い位置で起用しても面白いようにも思うが、ペトロビッチ監督はあまりシステムは動かさない監督なので、今後も、<3-6-1>がベースになるだろう。
この日の前半にもあったが、FW佐藤寿がいい形でボールを持てれば、ビッグチャンスにつながる可能性が高くなる。難しい試合となるだろうが、エースの活躍に期待したいところである。
サンフレッチェ広島:採点 GK:西川周作 5.5
→ ピンチの数自体は少なかったが、危ないミスキックもあった。
DF:森脇良太 5.5
→ 攻撃参加は控えめだったが、守備での対応は良かった。
DF:ストヤノフ 5.0
→ 得意のロングフィードは不発。キックの精度は不足していた。
DF:槙野智章 5.0
→ 積極性はあったが、やや空回りした。強引なシュートが目立った。
MF:森崎和幸 6.0
→ 落ち着いたキープでボールを保持したが、チャレンジのパスは少なめだった。
MF:中島浩司 4.5
→ ボール回しも不安定。決勝ゴールを記録した相手へのマークが甘かった。
MF:山岸智 6.0
→ 評価が分かれるプレー内容ではあるが、チャンスに絡んだことを評価したい。
MF:服部公太 5.5
→ 後半は左サイドで大きな存在感を示した。悪くは無かった。
MF:高萩洋次郎 5.0
→ 好パスもあったが、ボールを失うシーンも多かった。
MF:李忠成 5.0
→ 持ち味を発揮しきれずに終わった。
FW:佐藤寿人 5.5
→ いいパスが少なく、シュートまで持って行けなかった。
サブ:高柳一誠 なし
→ 見せ場は少なく、存在感を発揮できず。
サブ:清水航平 なし
→ 左ウイングバックで起用されてドリブルで打開しようとした。
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