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【U-22アジア大会準々決勝：日本×北朝鮮】守護神のGK藤田和輝(栃木SC)。攻守に活躍してベスト4進出。 | | |　

■　アジア大会の準々決勝

中国の杭州で行われているアジア大会は準々決勝に突入した。ラウンド16でミャンマーに7対0で大勝してベスト8に進出したU-22日本代表は準々決勝で北朝鮮と対戦した。コロナで影響で3年ほど各種の国際大会から離れていた北朝鮮だったが先日より復帰。久々の大きな国際大会だったと思うがGLは3連勝。ラウンド16でもバーレーンに2対0で勝利してベスト8に進出した。ここまでの4試合で6得点/0失点となる。

日本は「4-2-3-1」。GK藤田和(栃木SC)。DF吉田真(鹿屋体育大)、DF馬場晴(札幌)、DF山崎大(広島)、DF奥田勇(桃山学院大)。MF松岡大(グレミオ)、MF谷内田(京都)、MF松村優(鹿島)、MF西川潤(鳥栖)、MF佐藤恵(ブレーメン)。FW内野航(筑波大)。ミャンマー戦はメンバーを大幅に入れ替えたがこの日は元のスタメンに戻した。DF馬場晴とMF松岡大とMF佐藤恵はミャンマー戦に続いてスタメンとなった。

ベンチスタートになったのはGK小畑(仙台)、DF今野息(法政大)、DF関根大(拓殖大)、DF根本健(流通経済大)、MF重見(福岡大)、MF山内翔(筑波大)、MF角(筑波大)、MF日野(拓殖大)、MF小見(新潟)、FW鮎川(大分)の10人。MF山内翔は出場停止明け。第3キーパーのGK山田大(岡山)はチーム事情からU-22日本代表を一時的に離脱して同じ日の昼間に行われたJ2の37節の岡山 vs 千葉でベンチ入りしている。

■　2対1で競り勝ってベスト4進出

試合の序盤は北朝鮮がペースを握る展開になった。左右のウイングの選手のスピードと馬力を生かした攻撃で押し込んだ。立ち上がりの10分ほどの北朝鮮の勢いはすさまじかったが日本は何とか耐えて無失点でしのいだ。前半10分あたりを過ぎると北朝鮮のプレスの勢いは収まって日本は余裕をもってボールを持てる時間が増えた。前半24分には左SBのDF奥田勇のパスからMF佐藤恵が惜しいシュートを放った。

前半34分にはセカンドボールを拾われてピンチを招いたが相手のミドルシュートをGK藤田和が好セーブで防いだ。前半は0対0で折り返した。迎えた後半6分にCBのDF馬場晴の正確なサイドチェンジでチャンスを作るとMF佐藤恵の折り返しをFW内野航太郎が合わせて日本が先制に成功する。FW内野航太郎は今大会3ゴール目。シュートはヒットしなかったが相手に当たってコースが変わってゴールインとなった。

逃げ切りたい日本だったが後半29分にゴラッソミドルを決められて1対1の同点に追いつかれた。場内は大いに盛り上がったが後半33分にMF佐藤恵のスルーパスから抜け出したMF西川潤がエリア内で倒されてPKを獲得。これをMF松村優が落ち着いて決めて2対1と勝ち越しに成功する。2対1で何とか逃げ切った日本は準決勝に進出した。中2日で行われる準決勝の相手は1対0でイランを下した香港となった。

■　チームを救ったGK藤田和輝の好セーブ

日本はこれでベスト4進出を決めた。今大会は3位決定戦があるので次の準決勝で敗れたとしてもあと2試合戦うことが出来る。これは国際経験を積みたい選手たちにとっては大きなことと言える。何とか競り勝ったが序盤の北朝鮮の勢いはすさまじかった。北朝鮮は左右ともウイングの選手は爆発的なスピードがあるのでサイド攻撃に手を焼いたが次第にアジャストしてその後は立ち上がりほど2人も目立たなくなった。

会場は北朝鮮のサポーターが多くて日本はアウェイのような雰囲気だった。先制されると相当に難しい展開になっていたと思うので前半34分のミドルシュートをビッグセーブで防いだGK藤田和に救われた。いいコースに飛んだシュートだったのでセーブするのは相当に難しかったと思うが辛うじて手に当てて失点を防いだ。初戦のカタール戦ではクロスの処理ミスから失点したがここまで基本的には安定している。

GK藤田和は守備面だけでなく攻撃面での貢献度も高い。ビルドアップの上手なキーパーとして知られているが左右両足ともキックの精度が高い。相手がプレッシャーをかけてきても落ち着いて対応できるのは魅力と言える。今大会はGK藤田和、GK小畑、GK山田大の3人が召集されており、他にもGK鈴木彩、GK野澤大志ブランドン、GK佐々木なども候補に挙げられるがGK藤田和は今大会で評価を高めている。

失点シーンは悔やまれる。先制した後はほぼ日本ペース。危ないシーンはほとんどなかったがこの場面はエリア内で起点を作られてミドルシュートを決められてしまった。起点を作られたのはまずかったが日本の選手が慌ててしまって1人に対して5人の選手がケアする状態になってしまった。最終ラインの2人については仕方がないが中盤の3人までボールにつられてスペースを空けたのは非常に良くなかった。

■　MF西川潤がPKをゲットする活躍

同点ゴールが決まった後の会場ならびに北朝鮮の選手の興奮具合は物凄かったが跳ね返して決勝ゴールを奪ったことは高評価できる。上手くボールをつないで下がってボールを受けたMF西川潤がフリーでドリブルを開始。左サイドのMF佐藤恵に展開した後、エリア内に侵入してボールを受けてPKをゲット。MF佐藤恵はミャンマー戦で2ゴール2アシストの活躍を見せたがこの日も2つのゴールに絡む活躍だった。

10番を託されているMF西川潤は攻撃の中心になっているがポジショニングが的確。上手くフリーになって起点役になった。高卒4年目の今シーズンもJ1で結果を残せていないが何だかんだでC大阪時代はロティーナ監督や小菊監督の下でプレーしており、鳥栖に期限付き移籍してからは川井監督の下でプレーしている。所属クラブではほぼずっと頭を使うサッカーをしているのでクレバーさを身に付けつつある。

サイドの位置でボールを受けて仕掛けてチャンスを演出できる優秀なウインガーは日本にも増えてきたがMF西川潤のように中央のエリアで仕掛けてチャンスを拡大できるアタッカーはなかなかいないことを考えると希少価値は高い。PKを獲得した場面は以前のMF西川潤であれば左サイドのMF佐藤恵にパスを出した後、止まっていた(休んでいた)と思うが足を止めることなく走り続けて相手のファールを誘った。

「J1の中で最も運動量が求められるサッカーをしている鳥栖で揉まれている。」と言うことが出来る。難敵である北朝鮮戦で大きな仕事をしたが自ら獲得したPKを蹴らなかったのは意外だった。昨シーズンの湘南戦(A)でPKを外しているので苦手意識があるのかもしれないが結果的にはここまで無得点のMF松村優がキッカーを託されて勝ち越しゴールをゲット。主力であるMF松村優に初ゴールが生まれたのは大きい。

次の試合は10月4日(水)の夜。中2日となる。相手がイランではなくて香港になったのは相当に意外だったが相手が香港に決まったことで、再び、ターンオーバーを採用する可能性が高まった。勝ち上がった場合、決勝は韓国が有力。決勝は10月7日(土)。金メダルを獲得することを最優先に考えるのであれば準決勝では主力を温存したい。MF日野、FW鮎川、MF角などミャンマー戦で活躍した選手に期待したい。