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【U-22アジア大会：日本×カタール】セレッソ内定のDF奥田勇斗。飛び抜けた組み立てのセンス。 | | |　

■　アジア大会のGLの初戦

中国の杭州で行われるアジア大会は9月23日～10月8日に開催されるが開会式に先立ってサッカー競技がスタート。U-22日本代表は初戦でカタール代表と対戦した。日本の入ったD組は日本・カタール・パレスチナの3か国で構成されており、1戦目はカタール、2戦目はパレスチナと対戦する。大半の組は4か国で構成されるので日本は日程的にはかなり恵まれている。B代表と言われているが大岩監督が指揮を執る。

日本は「4-2-2-2」。GK藤田和(栃木SC)。DF吉田真(鹿屋体育大)、DF馬場晴(札幌)、DF山崎大(広島)、DF奥田勇(桃山学院大)。MF谷内田(京都)、MF松岡大(グレミオ・ノヴォリゾンチーノ)、MF松村優(鹿島)、MF佐藤恵(ブレーメン)。FW西川潤(鳥栖)、FW内野航(筑波大)。怪我人が続出しているCFはFW熊田(FC東京)とFW木村勇(金沢)が辞退してFW内野航(筑波大)とFW鮎川(大分)が追加召集された。

ベンチスタートになったのはGK小畑(仙台)、GK山田大(岡山)、DF今野息(法政大)、DF関根大(拓殖大)、DF根本健(流通経済大)、MF重見(福岡大)、MF山内翔(筑波大)、MF小見(新潟)、MF角(筑波大)、MF日野(拓殖大)、FW鮎川(大分)の11人。DF吉田真は横浜FM、DF奥田勇はC大阪、DF関根大は柏、DF今野息はG大阪、MF重見は福岡、MF山内翔は神戸、MF日野は鳥栖への入団が内定している。

■　MF谷内田のFKで幸先よく先制に成功

試合は開始早々の前半1分にゴール前でFW西川潤が倒されてFKを獲得するとこれをMF谷内田が右足で鮮やかに決めて幸先よく日本が先制に成功する。右足でも左足でも狙える角度だったがファールをゲットしたレフティのFW西川潤ではなくてMF谷内田がキッカーを任されてファインゴールを奪った。年上の選手が多いと思われるカタールが相手だったので苦戦も予想されていたが日本ペースで進んでいく。

前半25分にはFW西川潤が下がった位置でボールを受けると得意の左足で鋭いアーリークロスを入れる。ストライカーのFW内野航が上手く胸でコントロールしてから倒れこみながらシュート。これが決まって大きな追加点を奪った。前半31分にはMF谷内田のパスを受けたMF松村優に決定機が訪れたがシュートは枠を捉えることが出来ない。大きなチャンスだったが生かせず。前半は2対0で折り返した。

迎えた後半はカタールもチャンスを作るようになった。後半34分にクロス性のボールに対してGK藤田和が処理しきれず。ややアンラッキーな形で失点をした。1点差に迫られたが後半43分にMF日野のFKからゴール前に上がっていたDF山崎大の体に当たってゴールイン。今度はラッキーな形で3点目を奪った。3対1で勝利した日本は白星スタートを切った。2戦目は9月25日(月)にパレスチナ代表と対戦する。

■　大岩監督にアピールしたい選手たち

つい先日までU-23アジア杯の予選が行われていた関係で五輪世代の主力と目されるGK鈴木彩、MF藤田譲瑠チマ、FW鈴木唯、FW細谷などは招集できず。B代表に近いメンバー構成になった。もともとアジア大会はU-24代表で参加する国が多いのでU-22で挑む日本は苦戦することが多いがさらにきつい状況になっていた。しかも、初戦はカタール。敗戦というのも十分に考えられる状況だったが完勝だった。

今回のメンバーは「今大会で大岩監督にアピールしてフルメンバーが揃った状態のU-22日本代表にも選出されること」が大きな目標となる。序列を覆すチャンスと言えるがDF山崎大、DF奥田勇、MF谷内田、FW西川潤、FW内野航などはアピールに成功した。すでに触れた通りで今大会はCFの人選で苦労しているが筑波大の1年生のFW内野航は結果を残した。186cmとサイズがあってCFとしての能力は高い。

日本の攻撃の中心になることが期待されるのは10番を背負うFW西川潤になるが素晴らしい活躍を見せた。1点目のゴールにつながったFKをゲットすると2点目のFW内野航のゴールを鋭いクロスでアシスト。2ゴールに絡んだ。基本は2トップの一角だったがどちらかというとアタッカー系の選手なので下がってボールを受ける機会も多かった。ボールタッチの数は多かったがほとんどミスなく展開することが出来た。

U-17日本代表で活躍したFW西川潤だったがプロ入り後は苦戦。C大阪でも鳥栖でもインパクトを残せていない。J1では4年間で計2ゴールのみ。伸び悩みを指摘される機会は多いがバイタルエリアでボールを受けたときにドリブルで相手を剥がせるのは大きな魅力と言える。長いリーチを生かして相手を翻弄することが出来る。U-17日本代表のときのように「チームの中心に配置されたときは輝ける選手」と言える。

■　DF毎熊晟矢の後継者候補の1人

CFと並んで人選で苦労しているのは左SBになる。DF大畑(浦和)とDF中野伸(G大阪)はともにU-23アジア杯の予選のメンバーに召集された。本職の左SBと言えるのはG大阪への加入が内定しているDF今野息(法政大)くらい。手薄なポジションなので選手起用が注目されたがC大阪への入団が内定しているDF奥田勇(桃山学院大)を起用。右SBが本職となる選手を左にコンバートしたが好プレーを連発した。

G大阪ユース出身になるが基本的な技術が高くてクレバー。中央に入って組み立てに参加することも出来る。ボールを持った時は常に落ち着いているので起点になることが出来る。左SBというのは慣れたポジションではないと思うが攻撃の時は全く違和感なし。「偽りのSB」と呼ばれる役割をこなすことが出来る日本人のSBは増えてきたがこれだけクレバーで司令塔的な役割をこなせる日本人SBはなかなかいない。

C大阪にはDF毎熊がいるが日本代表で活躍して国際的な評価も高まっている。「今オフに海外移籍を果たしても不思議はない選手」になったが後釜としてU-22日本代表のDF奥田勇を確保できたのはC大阪にとっては大きい。左SBのポジションでもこれだけやれるのであればDF毎熊が残留した場合は「右SB：DF毎熊、左SB：DF奥田勇」というのも十分に考えられる。「センスの良さを感じさせる現代的なSB」である。

長丁場の大会なので途中から出場する選手の役割も重要になってくるが3点目をお膳立てしたMF日野が目立った。拓殖大の3年生。早くも鳥栖入りが内定しているが運動量が多くてクイックネスがある。167cmなのでサイズには恵まれていないが面白い選手と言える。気になったのはブレーメンに加入した左SHのMF佐藤恵のプレーが冴えなかった点。判断もキレも表情もコンディションもあまり良くなかった。