■ J1の第13節J1の第13節。5勝4敗3分けで勝ち点「18」のアビスパ福岡はホームのベスト電器スタジアムでサガン鳥栖と対戦した。鳥栖は4勝6敗2分けで勝ち点「14」。ACLの日程の関係で延期になっていた10節の浦和戦(A)が5月10日(水)に行われたので中3日での戦いになる。ともに九州で活動しており、九州ダービーの1つに数えられるが両クラブの仲は非常に悪くて「日本で最も激しいダービーの1つ」と言われている。
ホームの福岡は「3-4-2-1」。GK村上。DFドウグラス・グローリ、奈良、宮大樹。MF重見、前寛之、前嶋、田中達、紺野、ルキアン。FW山岸祐。福岡大の4年生で特別指定選手のMF重見は3試合連続スタメン。大学生ながら戦力として計算されている。12節の広島戦(A)で今シーズン4枚目のイエローを受けたDF小田は出場停止。左WBはMF田中達が今シーズン初スタメンとなった。DF亀川は長期離脱中となる。
対するアウェイの鳥栖は「4-2-3-1」。GK朴一圭。DF原田亘、田代雅、山崎浩、菊地泰。MF河原創、森谷、長沼、本田風、岩崎。FW小野裕。12試合で12得点のみ。得点力不足に苦しんでいる中、MF本田風とMF長沼が3ゴールを挙げてチーム内得点王になる。1トップのFW小野裕は13試合で2ゴールを挙げている。FW富樫とFW横山歩は怪我のため長期離脱中。左SBはここ最近はDF菊地泰が起用されている。
■ 注目の九州ダービー13,719人の観衆が集まった注目の九州ダービーの前半は鳥栖がボールを保持したがシュートチャンスはほとんど作れなかった。前半9分にMF紺野が相手キーパーのGK朴一圭に強烈なプレッシャーをかけてボールを奪いかけるとそのままフィフティーの状態から難しい体勢で足を出してシュート。大きなチャンスだったが惜しくも枠を捉えることは出来なかった。MF紺野は相手のファールを主張したが認められなかった。
前半終了間際にMF長沼が相手への危険なプレーで一発レッド。鳥栖は10人になった。足が上がっており、DF宮大樹の顔に足が入ってしまったので妥当な判定だったと言える。前半は0対0で折り返した。迎えた後半は当然のことながら数的優位の福岡が押し込む展開になった。後半23分にはDF宮大樹とMF前嶋を下げてともに長身のDF三國ケネディエブスとFWウェリントンを投入。高さの脅威はさらに増した。
福岡はセットプレーのチャンスをたくさん得た。クロスの本数も多かったが後半26分のFWウェリントンのヘディングシュートはキーパーの正面に飛んだ。後半50分にはサイド攻撃から途中出場したしたFW佐藤凌がヘディングシュートを放ったが決めることが出来ず。福岡は後半は丸々数的優位の状況でありながら決定打を欠いた。試合はスコアレスドローに終わった。鳥栖は苦しみながらも勝ち点「1」を獲得した。
■ 「守りを固められたときにどうこじ開けるのか?」福岡は上位争いに参加しているが観客動員数の面では苦戦を強いられている。ここまでの6試合で1万人を超えたのは5月3日に行われたFC東京戦(H)のみ。FC東京戦も10,360人なので空席は目立った。この日は13,719人。鳥栖からもたくさんのサポーターが来場していい雰囲気の中で試合は行われたが数的優位を生かせず。福岡は相手の6倍となる18本のシュートを放ったが決定機はほとんど作れず。
退場者を出したチームはやることがはっきりするので福岡に限った話ではないが相手方からすると崩すのは難しくなる。高さの面では圧倒的に福岡が有利なので「高さのアドバンテージ」を生かしたかったが空中戦の勝負になってもしっかりと鳥栖の選手が対応した。185センチのDF田代雅がいいポジションを取って跳ね返す場面は多かった。福岡は18本のクロスを入れたがピタリと合うシーンはほとんどなかった。
「守りを固められたときにどうこじ開けるのか?」は課題として残ったが右SHのMF紺野はいい状態でボールを受けることが出来ると高確率で打開できる。よほどのことがない限りは最低でもクロスを上げることが出来るのでゴールの前のシーンを作ることが出来る。10試合で1ゴール2アシストなので際立つ数字を残しているわけではないが存在感は大きい。福岡の攻撃の中心として大きな貢献を続けている。
キーパーはこの日はGK村上が起用されたが前半33分のDF原田亘のヘディングシュートを好セーブで防いだ。鳥栖にとってはこの試合の最大のチャンスだったがGK村上がビッグセーブで阻止した。福岡はGK永石とGK村上の激しいポジション争いが行われているがここまでGK永石が9試合、GK村上が4試合でスタメン出場している。GK村上起用されたのは1節・9節・10節・13節の4試合。珍しい起用法になっている。
■ 「ドローでも御の字」と言える。鳥栖は前半のうちに退場者を出して後半はずっと10人だったことを考えると「ドローでも御の字」と言える。11人対11人の戦いのときもあまりチャンスを作れなかったが前半終了間際のMF長沼のレッドカードは痛かった。悪意のあるプレーでは全くなかったが相手の顔が近くにあることを認識できていなかったと思われる。本人もチームメイトも強く抗議することもなし。レッドカードを受け入れるしかないプレーだった。
10人になって攻め込まれながらもそこまでチャンスを作らせなかった守備陣は評価できる。先のとおり、18本のシュートを打たれたが福岡側も決定機はほとんど作れず。GK朴一圭が好セーブで相手のシュートを阻止する場面はほとんどなかった。DF田代雅とDF山崎浩を中心に高さのある福岡の攻撃を跳ね返し続けたことは高評価に値する。中央の守備は安定しておリ、これで2試合連続のクリーンシートとなった。
課題は攻撃面になる。今シーズンの鳥栖は攻撃がうまくいかない。「シュート数」と「枠内シュート数」はともにJ1最少。「30mライン進入回数」は17位、「ペナルティエリア進入回数」も14位となる。「ボール支配率」も11位なので後ろからボールをつなぎたいチームにしてはかなり低い数字になる。13試合で12得点というのはかなり寂しい数字である。2021年や2022年と比べると攻撃の迫力はなくなっている。
FW宮代とFW垣田がともにレンタルバックとなったフォワードで苦労しているのは明らかである。FW小野裕が1トップの位置で起用される機会が多くなっているが1トップ向きの選手ではない。開幕後に大宮から獲得したFW河田はFC東京戦で決勝ゴールを挙げるなどJ1の舞台で奮闘しているが相手に脅威を与えるほどの存在にはなれていない。3ゴールを挙げているMF本田風は前半に負傷交代。いいニュースは少ない。
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