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【J1編】 2022年の夏の移籍市場の総括 (後編) ～柏・C大阪・川崎F・鹿島など上位陣は静か～ | | |　

■　夏の移籍市場はクローズ

J1は24節が終了した。残りは10節となったが今年のJリーグの第2登録期間(ウインドー)は7月15日(金)～8月12日(金)だったので夏の移籍市場はクローズとなった。ひと段落ついたが今夏の移籍市場で積極的な動きを見せたのはG大阪・清水・神戸・名古屋・湘南など残留争いに巻き込まれているチームだった。その一方で上位争いに参加している柏・C大阪・鹿島・広島などは選手の入れ替えはほとんどなかった。

上位チームの多くは期待通りか、期待以上の結果を残しているのでわざわざ相場以上のお金をかけて夏の移籍市場で新戦力を獲得する必要はない。GKキム・スンギュ(→アル・シャバブ)が流出した柏は2位と好位置に付けているがGK守田(鳥栖)を獲得したのみ。U-21日本代表のGK佐々木が後釜として頑張っていることもあってOBであるGK中村航(ポルティモンセ)などキーパーのビッグネームの補強はなかった。

C大阪も3位と好位置に付けているがMFチャウワット(BGパトゥム)を再獲得したのみ。MF乾(→清水)が電撃退団してMF新井晴(→HNKシベニク)も海外に挑戦するが補強は最小限にとどまった。補強費には限りがあるので柏やC大阪など「前評判以上の好成績を残しているチーム」が夏の移籍市場で静観するのは正しい。夏の移籍市場で使わなかったお金(使う必要がなかったお金)はオフの移籍市場で使うことが出来る。

6位の広島も新戦力の補強は無かった。こちらもスキッべ監督の下、好成績を残しており、ルヴァン杯はベスト4進出、天皇杯もベスト8に進出した。MF長沼(→鳥栖)、FW永井龍(→岡山)、MF仙波(→岡山)がチームを離れているので過密日程になる秋以降のマネージメントは難しくなるが負担を分散させながら勝ち進みたい。3位のC大阪との差は「3」のみ。タイトルとACLの出場権獲得が今シーズンの大きな目標となる。

■　川崎Fはここまで不満足なシーズン

一方、川崎Fはここまで不満足なシーズンになっている。ACLと天皇杯とルヴァン杯はすでに敗退しており、残ったのはリーグ戦のみ。コロナの影響で消化試合数が2つ少ないが首位の横浜FMとの差は「8」。24節の直接対決で勝利して「首の皮一枚つながった状態は保つことが出来た。」と言えるがここ最近のチーム状態や勢いの差などを考えると逆転優勝はかなり難しい。無冠に終わる可能性は高まっている。

J1のリーグ戦では4位と上位に位置するが柏・C大阪・広島とは状況は大きく異なる。積極的な動きを見せても良かったが静かだった。出番に恵まれなかったDF田邉秀(→千葉)が期限付き移籍となってMF塚川(→FC東京)は完全移籍でチームを離れた。残ったのはリーグ戦のみなので「最小限の戦力でも十分に乗り切れる。」とフロントは判断したと思うが良くない流れを変えるための補強を行った方が良かった。

首位の横浜FMは2019年以来のリーグ制覇に向けて驀進していたがルヴァン杯の準々決勝は広島に連敗。24節の川崎F戦(A)を含めて公式戦は3連敗となった。リーグ制覇に向けて試練の時期を迎えているがE-1 サッカー選手権で大怪我をして長期離脱したFW宮市亮の穴を埋めることを期待してFWヤン・マテウス(モレイレンセFC)を獲得した。ただ、彼は左利きでアタッカー系の選手。タイプは異なると考えられる。

■　岩政監督に注目が集まる鹿島アントラーズ

鹿島も5位なので上位争いに参加しているが5試合勝ちなし中。直近の13試合の成績は3勝4敗6分けとなる。首位の横浜FMとの差が「8」まで広がったがついにレネ・ヴァイラー監督が契約解除となって岩政コーチが監督に就任した。「2トップの個の力」で勝ち点を積み上げてきたチームなのでFW上田(→セルクル・ブリュージュ)の流出は痛すぎた。FW鈴木優にかかる負担が増大して彼も良さを出しにくくなった。

またもシーズン途中での監督交代となったが横浜FMや川崎Fとの差は広がる一方である。東京Vや磐田やG大阪のように「古豪」と言われるチームになるのか、常勝軍団に返り咲くのか、クラブとしての分岐点を迎えているが夏に獲得した新戦力はFWエレケ(ゲンチレルビルリイSK)のみ。ナイジェリア出身で潜在能力の高そうなストライカーを獲得したが退任したレネ・ヴァイラー監督の教え子なのでチグハグな補強である。

7位のFC東京はFWルイス・フェリッピ(スポルティング)とMF塚川(川崎F)を獲得。8位の鳥栖はDF飯野(→神戸)が流出したがMF長沼(広島)、DFパク・ゴヌ(浦項)、MF手塚(横浜FC)を獲得した。愛媛FC時代の川井監督の教え子であるMF長沼はさっそくスタメンで起用されてゴールとアシストで貢献している。FC東京は勝ち点「35」、鳥栖は勝ち点「32」。「残留」はよほどでない限りは大丈夫な勝ち点に到達しつつある。

他には9位の浦和はFWブライアン・リンセン(フェイエノールト)を獲得したが残念ながらパリ・サンジェルマンとの親善試合で負傷。離脱となった。11位の札幌はMFスパチョーク(ブリーラムU)とFWキム･ゴンヒ(水原三星)を獲得、12位の福岡はFWジョン・マリ(アル・シャバブ)の再獲得に成功した。札幌と福岡は得点力不足で苦労しているので新戦力にかかる期待は大きい。どちらも残留争いに巻き込まれている。

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