■ Jリーグの舞台で初めて実現したダービー 2021年のJ2で愛媛FCは20位に終わった。2006年からずっとJ2で戦ってきたので「J2に昇格して16年目」だったが初のJ3降格となった。2019年にJ3初昇格を果たしたFC今治とは「J1 or J2の舞台で対戦する」が期待されていたがFC今治も2021年は11位に終わったので不本意ながら「愛媛ダービー」がJ3の舞台で初めて実現することになった。2022年6月5日(日)は愛媛のサッカー界にとって歴史的な1日になった。
愛媛FCは松山市、FC今治は今治市で活動している。愛媛県は相当に東西に広いが松山市は県の中央部、今治市は県の北東部に位置する。松山市から今治市まではJRの特急電車を利用すると約35分、普通電車の場合は1時間ちょっと。それなりに距離は離れている。「同じ県内でも棲み分けは十分に可能」と言えるが両クラブの関係性はかなり複雑である。もともとFC今治は「愛媛FCのセカンドクラブ」だった。
1991年から今越FCという名前で活動していたが2004年に愛媛しまなみFCという名前に変更になった。2009年に愛媛FCの傘下に入ったが当時のチーム名は「愛媛FCしまなみ」だった。J2で301試合に出場したボランチのMF渡邊一は2009年に大卒で愛媛FCしまなみに加入したがここでの活躍が当時のバルバリッチ監督に認められてトップチームである愛媛FCに昇格。愛媛FC以外では岡山や横浜FCでも活躍した。
財政難もあって2011年限りで愛媛FCしまなみの活動が終了。2012年に愛媛FCから独立をしてFC今治が誕生した。2012年の天皇杯の2回戦でこの年に初優勝を達成するサンフレッチェ広島を下したことは大きなニュースになった。相手はフルメンバーではなかったがFW佐藤寿、DF塩谷、DF森脇、DF千葉、MF高萩、FW石原直、MF森崎浩などはスタメンで出場している。天皇杯の歴史に残るアップセットを起こした。
#1 JRの岡山駅 (早朝)
■ かつては愛媛FCのセカンドクラブだった。 転機になったのは2014年の11月に元・日本代表の岡田武史監督が株式の51%を取得してオーナーになったことである。吉武監督や大木監督なども招聘して右肩上がりでチームは成長を続けた。2017年8月にはありがとうサービス. 夢スタジアムが完成。ハード面も右肩上がりで成長を続けた。2019年には元・日本代表のDF駒野とMF橋本英を獲得して小野剛監督の下、JFLで3位になってJ3初昇格を果たした。
岡田監督がやって来たことでFC今治というクラブに対する注目度は劇的にアップした。対して愛媛FCは2015年に木山監督の下、5位と躍進してプレーオフに出場したシーズン以外はJ2でも下位に沈むケースが多かった。J2の残留争いに巻き込まれるのも当たり前。愛媛県民の関心が(愛媛FCではなくて)FC今治の方に傾くのは当然の話である。愛媛FCのサポーターがFC今治に嫉妬しない方が不自然な状況である。
日本にもダービーマッチはたくさんあるが愛媛ダービーはその中でも特殊である。もともとは自分たちのクラブのアマチュアチームだったFC今治が成長して大きな注目を集めていることを複雑に感じている愛媛FCのサポーターはたくさんいるだろう。「FC今治にだけは負けられない。」と考えるのは当然の話である。対してFC今治の方はサポーター歴が短い人が多いこともあって愛媛FCに対する思いはあまり強くない。
Jリーグの舞台で初めて実現する愛媛ダービーを観るために今治市に向かう準備を始めたが5月9日(月)に両クラブから『2チームの対戦の名称が「伊予決戦」になること』が発表された。ありがとうサービス. 夢スタジアムは5,000人ほどしか収容できないこともあってチケットは早い段階からソールドアウト。満員になるのは確実な情勢だった。今治市民の中にも愛媛FCの熱烈なサポーターはたくさんいると思われる。
#2 JRの福山駅 (その1)
#3 JRの福山駅 (その2)
#4 バスの車内から (その1)
#5 バスの車内から (その2)
■ 「日本三大水城の1つ」 「伊予決戦」の前夜は岡山市にあるシティライトスタジアムで「
J2の20節のファジアーノ岡山 vs ツエーゲン金沢の試合を観戦 」した。夜の18時キックオフだったので相当にハードなスケジュールになったが、翌朝、岡山市を出発して今治市に向かった。岡山から今治に向かうルートはいくつかあるがJR西日本の株主優待券(=運賃・料金が50%割引)を持っているのでなるべくJR西日本を利用したい。福山経由を選択した。
JR岡山駅を5時34分に出発する福山行きの始発電車に乗ってちょうど1時間。6時34分に福山駅に到着した。車中で広島県内に入った。福山駅から今治市までは高速バスのしまなみライナーを利用することになる。向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島など瀬戸内海に浮かぶたくさんの島々を通って今治市に向かうことになるが「絶景」である。晴れていたらもっといい景色を見ることが出来ただろう。
7時ジャストに福山駅前を出発したバスはちょうど1時間半後の8時30分にバスの終点である今治桟橋に到着した。キックオフ時間は13時なので時間的な余裕はある。歩いて今治城に向かった。今治城は1602年に「築城の名手」と言われた戦国武将の藤堂高虎によって築かれた。堀の中に海水を取り入れた特異な構造になっており、香川にある高松城、大分にある中津城とともに「日本三大水城の1つ」に数えられている。
今治城を見学した後、路線バスで今治駅に向かって駅からはシャトルバスを利用することになる。片道は400円。約15分でスタジアムに到着する。その他のルートとしては「イオンモール今治新都市」からスタジアムまで無料のバスが走っているので「イオンモール今治新都市」まで路線バスで行ってそこから無料のバスに乗り換える方法であったり、「イオンモール今治新都市からスタジアムまで歩く」という手もある。
イオンモールからスタジアムまでは徒歩10分。スタジアムは山の方にあるのでIAIスタジアム日本平と同じで最後は山を登っていく感じになる。バスから車外を見ると歩いてスタジアムに向かっている人はたくさんいる。2021年10月25日のクラブのリリースを見ると「
イオンモールの駐車場に車を止めてサッカー観戦に行くのもOK 」のようだ。むしろ、推奨されている。イオンとクラブはいい関係を築けているようだ。
#6 今治城 (その1)
#7 今治城 (その2)
#8 今治城 (その3)
→ 2022/06/17 【FC今治×愛媛FC】 「初の伊予決戦」を観に行った。平和なダービーだった。 (生観戦記) (前編) → 2022/06/18 【FC今治×愛媛FC】 「初の伊予決戦」を観に行った。平和なダービーだった。 (生観戦記) (後編) ▼ 動画の投稿日 (2022年6月9日) VIDEO 関連エントリー 2008/08/04 【JFL:岡山×鳥取】 ファジアーノが羽ばたくとき (生観戦記 #10) 2012/09/12 【天皇杯:岡山×富山】 4年ぶりの岡山訪問 (生観戦記_前編) 2012/09/13 【天皇杯:岡山×富山】 4年ぶりの岡山訪問 (生観戦記_後編) 2013/10/04 【岡山×千葉】 3度目のkankoスタジアム (生観戦記・上) 2013/10/05 【岡山×千葉】 3度目のkankoスタジアム (生観戦記・下) 2022/06/12 【岡山×金沢】 Cスタに行ってきた!2036年にはどんなクラブになっているだろうか? (生観戦記) (前編) 2022/06/12 【岡山×金沢】 Cスタに行ってきた!2036年にはどんなクラブになっているだろうか? (生観戦記) (後編) 2022/06/12 【エントリー一覧】 2022年シーズンのいろいろ
関連記事