■ J3の第9節 J3の第9節。4勝2敗2分けで5位の長野パルセイロはホームの長野Uスタジアムで同県のライバルである松本山雅と対戦した。松本山雅は5勝1敗2分けで勝ち点「17」。2位と昇格圏に位置する。同じ長野県で活動する両チームははるか昔からライバル関係にあるがかなり不本意ながらJ3の舞台でJリーグ対決となった。ちょうど1週間前に行われた天皇杯の長野県予選の決勝では松本山雅が1対0で勝利した。
ホームの長野は「3-4-1-1」。GK大内。DF池ヶ谷、喜岡、秋山拓。MF佐藤祐、住永、三田尚、水谷、東浩史、森川。FW宮本拓。長野のシステムは流動的だったので「3バックなのか?4バックなのか?」の判断は難しかったがMF三田尚が右WB、MF水谷が左WBでプレーする時間帯が長かった。8試合で3ゴールのMF森川がチーム内得点王になる。ベンチスタートのMFデューク・カルロスは8試合で2ゴールを挙げている。
対するアウェイの松本山雅は「4-2-2-2」。GKビクトル。DF前貴之、大野佑、常田、下川陽。MF安東、パウリーニョ、住田、菊井悠。FW小松蓮、横山歩。ともに大卒ルーキーのMF住田とMF菊井悠がサイドハーフで起用された。MF住田は6節のFC岐阜戦(H)で2ゴールを挙げる活躍を見せた。8試合で6ゴールのFW横山歩は4月末にU-19日本代表に招集されて国内合宿に参加した。高卒2年目で2003年生まれとなる。
■ クラブ史上初のチケット完売 Jリーグの舞台では初めて実現した信州ダービーはソールドアウト。13,244人の大観衆が集まった。長野にとって「ソールドアウト」はクラブ史上初。13,244人というのはJ3の試合では歴代4番目に多い数字だった。長野のホーム戦としても過去最多の動員を記録するメモリアルな試合になったがダービーマッチらしい熱戦になった。松本山雅はスピードスターのFW横山歩の突破を中心にチャンスを作った。
序盤は松本山雅が優勢。カウンターからチャンスを作ったが時間が経つにつれて長野がボールを保持する時間帯が増えた。松本山雅は前半37分にFW横山歩の突破からゴール前の絶好の位置でFKを獲得したが自ら蹴ったFW横山歩のFKは枠を捉えることは出来ず。前半は0対0で終了した。後半になると両チームとも積極的に選手交代を実施。松本山雅はFW榎本樹やMF佐藤和など、長野はMF宮阪などを投入する。
長野はプレイスキッカーのMF宮阪を投入。セットプレーからの得点に期待がかかったが松本山雅はGKビクトルを中心にしっかりと守った。長野は後半25分に松本山雅で活躍したストライカーのFW山本大を投入。先制ゴールを目指したがゴールは遠かった。試合はスコアレスドローに終わった。天皇杯の決勝に続いて2週連続のダービーマッチとなったが今度はともに勝ち点「1」にとどまった。松本山雅は6試合負けなし。
■ 歴史的な意味でも対立する2都市 長野市と松本市は歴史的な意味でもかなり対立している。特に県庁所在地に選ばれなかった側の松本市民の長野市への対抗意識は強いと言われている。Jリーグを代表するダービーマッチというと大阪ダービー(G大阪 vs C大阪)、静岡ダービー(清水 vs 磐田)、多摩川クラシコ(FC東京 vs 川崎F)、さいたまダービー(浦和 vs 大宮)などが挙げられるがJリーグにたくさん誕生したビジネスダービーとは一線を画す。
理想は松本山雅がJ1に定着した状態で長野がJ2に昇格してJ1にも昇格して「J1の舞台で信州ダービーが実現すること」だったと思うがまさかまさかでJ3の舞台で実現することになった。両チームにとってかなり不本意な話だと思うがJ3にかかわらず13,244人のお客さんが集まった。松本山雅のホームで行われる次の信州ダービーは10月30日(日)に予定されているが「J3史上最多の動員数」になる可能性がある。
J3での過去最多は2019年の熊本 vs G大阪U-23の16,027人となるがサンプロ・アルウィンの収容人数は20,396人。むしろ、よほどのほどがない限りは新記録を達成できるだろう。31節というとJ3のリーグ戦は大詰めである。「両チームがどんな成績で次の信州ダービーを迎えるのか?」は興味深いがホームの長野が放ったシュートが6本だけ。なかなかシュートチャンスを作れないもどかしい試合になった。
各種のスタッツを見ると軒並みJ3で上位の数字を残しているがこの日は攻撃陣が今一つだった。CFのFW宮本拓にもっとボールを集めたかったがいいシーンは作れなかった。一方の守備陣は高さのある松本山雅を相手にしっかりと守った。FW横山歩の突破が一番の脅威だったが何とか封じることが出来た。5節のいわきFC戦(H)で4失点しているがここまでの9試合で9失点のみ。今年も守備陣は安定している。
■ 開幕ダッシュに成功した松本山雅 アウェイながらたくさんのサポーターが集まった松本山雅は相手を上回る10本のシュートを放ったがゴールを奪うことは出来ず。2試合連続のスコアレスドローとなったが3試合連続でクリーンシート達成となった。9試合で15得点を奪っているので攻撃陣に注目が集まるがこちらも9試合で8失点のみ。守備陣が奮闘している。この日はMF安東を起用。奪取力に優れたWボランチとなったが強固なブロックを形成した。
攻撃陣はFW横山歩が積極的なプレーを見せた。ここまで6ゴールを奪っているが目の前に相手がいても果敢に仕掛ける姿が印象に残った。ミドルシュートも積極的に放ったので「自信を持ってプレーしていること」は良く分かる。FW横山歩へのマークは試合を重ねるごとに強くなると思うので周りでプレーする選手の頑張りが重要になってくる。FW小松蓮やFW榎本樹などがコンスタントに活躍できるとJ2に近づくだろう。
9試合を終えて5勝1敗3分けとなったがいいスタートを切ったと言える。ボール支配率は45.4%でJ3で下から2番目。ボールを保持するサッカーではないがFW横山歩のスピードをフル活用したカウンターが威力を発揮しており、高さのある選手がたくさんいるのでセットプレーも武器となる。今年のJ3はいわきFCなど開幕ダッシュに成功したチームが多くてハイレベルな競争になっている。このまま好調を持続させたい。
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