■ 『日本のフィジカルスタンダードを変える。』 2021年のJ3は昇格1年目のテゲバジャーロ宮崎が旋風を巻き起こした。残念ながら「J2ライセンス」は未取得だったのでJ2に昇格する資格はなかったが最終的には3位。最後まで優勝争いに絡んでJ2昇格を果たした熊本や岩手を大いに苦しめた。宮崎は真価が問われる昇格2年目を戦っているが今シーズンの昇格チームのいわきFCも開幕から4試合負けなし。好スタートを切った。4節を終えた時点では5位に位置する。
開幕戦となる鹿児島戦(A)は1対1のドローだったが2節のSC相模原戦(H)で初勝利を挙げると3節の愛媛FC戦(H)は後半のアディショナルタイムに勝ち越しゴールを奪って2対1で勝利した。4節の富山戦(A)は1対1のドローだったが最初の4試合はいずれも上位候補。相当にハードな日程だったが無敗をキープしている。J3の18クラブの中で4試合負けなしなのは福島・長野・いわきFC・鹿児島のみとなる。
同クラブは『日本のフィジカルスタンダードを変える。』という壮大な目標を掲げているが注目したいのは平均年齢になる。3節を終えた時点では23.74歳となる。これはJ3の18クラブの中で最も低い数字になる。J3全体の平均値は26.54歳なので3歳近く若いチーム編成になっているがトレーニングなどでフィジカルを強化しようとするならば、やはり、中堅世代やベテランよりも若い選手の方が効率的に成果として表れる。
■ いわきFCの平均年齢は23.74歳 23.74歳というのはJ3の歴史(2014年-2022年)の中ではU-23の3チーム(FC東京U-23・G大阪U-23・C大阪U-23)ならびにJリーグ・アンダー22選抜を除くと最も低い数字になる。2020年の福島の23.79歳というのが先の4チーム以外では過去最も若いチームだったがその数字を下回っている。GK鹿野やDF家泉など大卒1年目の選手も開幕からレギュラーとして活躍しているが昇格1年目からJ3をかき回している。
各種のスタッツを見ても「シュート数」、「ドリブル数」、「クロス数」、「30mライン進入回数」がJ3最多となる。「ボール支配率」は14位なのでパスを回すチームではないが攻守両面でアグレッシブなサッカーを展開している。攻撃的なサッカーでJ3を席巻しているので「昇格1年目でJ3を制覇した2015年の山口」に似た雰囲気もあるが各選手の評価も大きく高まっており、個人としての評価もうなぎ登りである。
過去を振り返ってみると「J1やJ2を経験している選手を獲得して彼らを中心にチームを作ってJ3昇格を果たしたチーム」もあるが(当時の)山口やいわきFCなどはJリーグ経験の乏しい or 全くない選手が中心になっている。2015年の山口の平均年齢は24.17歳。J3史上でも下から4番目となる若いチームだったが「JFLなど下部リーグでプレーしていた選手にも良い選手はたくさんいる。」ということが出来る。
■ 最も目立つのは右SBのDF嵯峨 当時の山口はFW岸田、MF島屋、MF福満、MF鳥養、MF小池龍、DF宮城、GK一森などが中心になった。欧州でもプレーしたDF小池龍を筆頭に山口を離れてさらに飛躍した選手も少なくないがいわきFCにも、今後、どんどん出世しそうな選手がたくさんいる。昨オフは宮崎で活躍したFW梅田魁やFW藤岡やMF前田椋などがより規模の大きいクラブに引き抜かれたがいわきFCの選手も何人かは争奪戦に発展するだろう。
最も目立つのは右SBのDF嵯峨になる。青森山田高のときはMF高橋壱(千葉)やGK廣末(ラインメール青森FC)と同学年だった。前橋育英高と対戦した冬の高校選手権の決勝戦でもスタメン出場してゴールを決めているが攻撃力の高い右SBである。もともとは2列目でプレーするアタッカー系の選手だったがいわきFCで右SBにコンバートされて評価を高めた。自らドリブルで仕掛けることが出来るSBは相当に貴重である。
DF嵯峨の逆サイドでプレーする左SBのDF日高大も能力が高い。過去にはHonda FCにも所属して2018年と2020年と2021年にJFLのベストイレブンに選ばれている。2017年に大卒でHonda FCに加入して2年間プレーして2019年からいわきFCに所属しているが驚異のスピードを武器に左サイドからチャンスを演出することが出来る。27歳というのはこのチームの中では上の方の年齢になるが要注目の左SBと言える。
■ JFLや地域リーグで力をつけた選手たち 攻守の要となるボランチでプレーする大卒4年目のMF山下優は2021年のJFLでMVPに選出されている。ジェフ千葉U-15から青森山田高に進学して桐蔭横浜大を経由して2019年にいわきFCに加入したが豊富な運動量と精度の高い左足のキックが武器となる。同じ青森山田高出身のDF嵯峨は高校の2つ後輩に当たるが初挑戦となるJリーグでどこまでやれるか?東北1部リーグの時代を知っている選手の1人になる。
DF嵯峨やDF日高大やMF山下優とともに2021年のJFLでベストイレブンに選ばれたFW古川大は2021年はJFLで30試合で11ゴールを挙げた。こちらもジェフ千葉U-18出身になるが千葉での2年間はほとんどチャンスがなかった。ヴィアティン三重でもプレーして2021年にいわきFCに加入したが得点源として活躍している。千葉時代にJ2で2試合に出場しているがFW古川大もJリーグでの実績はほとんどなかった。
彼らは開幕からの4試合で相当に目立っているがDF嵯峨やDF日高大やMF山下優あたりは高卒や大卒ではJリーグ入りは果たせず。JFLや地域リーグからキャリアをスタートさせた選手になる。「JFLや地域リーグで力をつけてJリーグでも活躍できる選手になった!」というのはいい話ではあるが逆に「Jリーグでも活躍できるだけの能力はあったが埋もれてしまった選手」というのも過去にたくさんいたと思われる。
昨今はJリーグのクラブ数が増えただけでなく、JFLや地域リーグのクラブの資金力を含めたクラブ力が高まっている。下のカテゴリーのクラブなどでプレーする「まだあまり知られていない能力の高い選手」が見落とされる可能性はJリーグの草創期などと比べるとはるかに小さくなっているとは思うが「見落とされたままになっている有望な日本人」はJFLにも地域リーグにも海外の下部リーグにもたくさんいるのだろう。
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