■ 開幕カード④リーグ戦は7位、ACLでも準決勝でG大阪に完敗するなど、屈辱のシーズンとなった浦和レッズ。エンゲルス監督との契約を更新せず、ドイツのフライブルクの監督を務めた経験を持つフィンケ氏を招へいし、巻き返しを図る。
一方は史上初のリーグ3連覇を狙う王者・鹿島アントラーズ。ゼロックス・スーパーカップでもG大阪に3対0で完勝し、仕上がりは万全である。
■ 原口がスタメン出場ホームの鹿島はゼロックスと全く同じスタメン。GK曽ヶ端。DF内田・岩政・伊野波・新井場。MF青木・本山・野沢・ダニーロ。FW興梠・マルキーニョス。昨シーズンの柏戦での大怪我で戦列を離れていたMF小笠原がベンチ入り。FW大迫もベンチスタート。
アウェーの浦和は<4-2-2-2>。GK都築。DF細貝、闘莉王、坪井、平川。MF鈴木、阿部、ポンテ、原口。FW田中、高原。ユース出身で期待の原口がスタメン出場。左サイドハーフに入る。FWエジミウソン、FWエスクデロ、DF山田暢、DF堀之内らがベンチスタート。
■ 電光石火のカウンター試合の立ち上がりは浦和がいいリズムで攻撃を組み立てる。前線のFW高原、FW田中、MFポンテ、MF原口の4人がうまく絡んでダイレクトのボール回しが見られるなど、昨シーズンとは一味違った組み立てで攻め込む。
いい立ち上がりだったが、カウンターで失点を喫する。前半22分に浦和のセットプレークのチャンスからカウンターアタック。GK曽ヶ端の素晴らしいキックからFWマルキーニョスが右サイドでボールを受けてドリブルを開始。最後はゴール前に詰めたMF野沢が押し込んで先制。前半は1対0で鹿島リードで折り返す。
さらに後半6分。相手CKから再びカウンターを発動。MF野沢 → DF内田 → FWマルキーニョスとつないで、最後は、昨シーズンの得点王のFWマルキーニョスが右足で強烈なシュートを突き刺して2対0とリードを広げる。
結局、2対0で鹿島が勝利。ここ最近、相性の良くなかった浦和を相手に最高の勝利となった。
■ 「守」→「攻」への切り替え鹿島は2点とも相手のセットプレーの流れからカウンターでゴールを奪った。ボールを奪った後の切り替えの早さは見事で、2ゴールのシーンはいずれも相手の守備の枚数よりも多い人数がゴール前に駆け上がっていて、完全に数的優位になっていた。
浦和守備陣の戻りの遅さも感じたが、鹿島の切り替えの早さとフィードの正確さは抜群で、効果的かつ効率的にゴールを奪って、危なげない試合運びを見せた。
2トップのFWマルキーニョスとFW興梠にスピードがあって彼らを中心としたカウンターが威力抜群であるのは昨シーズンから分かっていたことであるが、中盤の選手もうまく絡んできて厚みのあるカウンターを実現させた。
■ フィンケ改革①敗れたものの浦和のサッカーの内容自体は昨シーズンまでとは一味違っていて、今後に期待を持たせる内容だった。
まず、目立ったのは運動量の多さ。対戦相手の鹿島と比べると「まだまだ」ではあるが、これまでの浦和と比べると動きがあって、前線の選手も流動的に動いて流れるようなワンタッチプレーも何度か見られた。
特に、左サイドに入ったMF原口の判断の早さがチームにリズムをもたらしており、無駄にドリブルで仕掛けたり、不用意にボールキープをしたりすることがなく、攻撃の流れを止めることはなかった。
■ フィンケ改革②一方で、昨シーズンまで見られた徹底的にストロングポイントを利用するというある意味で効率的な攻撃を仕掛けられたわけではなかったため、相手としては怖さを感じなかったかもしれない。
単調で面白くないといわれながらも、FWワシントンやMFポンテ、DF闘莉王らのストロングポイントを利用した攻めは威力を発揮し、リーグでもトップクラスの得点力を維持していたが、この試合はDF闘莉王の攻撃参加は控えめで、MFポンテは全盛期には程遠かった。
FW田中は効果的に動いてチャンスメイクしたが、2トップの相方のFW高原と共に、ゴール前で決定的なシュートチャンスを迎えるシーンはなく、ゴールは非常に遠かった。
■ フィンケ改革③一方で守備面ではカウンターから2失点。1点目はともかく、2点目は同じように前半にやられているので対処すべきであったが、守備の枚数が不足してしまって決定的なゴールを許した。
両サイドのDF細貝とDF平川が高い位置にポジションを取って攻め込むのが浦和の新しいスタイルだが、高いポジションを取っている割りに攻撃的な部分での貢献は低く、積極的なスタイルでリスクを冒している割りには得られたものは少なかった。
長年、3バックを採用していたのでサイドバックの専門家といえる選手が少なく、不慣れな面は否めない。サイドバックは攻守両面でポイントになるので、ここをどうするのか、1つの注目である。
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