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【銀河系軍団】今オフのFC岐阜の補強がいくら何でも凄すぎる。 | | |　

■　オフの話題をほぼ独占したのはFC岐阜

2022年のJ3は3月12日(土)に開幕する。今年は18チームで構成されるがオフの話題をほぼ独占したのはFC岐阜だった。ストーブリーグが開幕する前の段階では「J3の中ではクラブ規模が桁違いに大きい松本山雅が話題の中心になるのでは？」と思われたが松本山雅のオフの動きは非常に静かだった。MFパウリーニョ(岡山)とGKビクトル(FC岐阜)を獲得したが流出も意外と少なくて移籍市場での存在感は希薄だった。

一方のFC岐阜はJ3に降格して3年目となるがベトナム代表で監督を務めた三浦俊也監督を招聘した。「みうみう」の愛称で親しまれているが2004年に大宮、2007年に札幌をJ2からJ1に引き上げている。ただ、その後、神戸と甲府では途中で解任されており、ベトナム代表でも成功をおさめたとは言い難い。札幌時代の2008年もJ1で最下位に終わったことを考えると最後に結果が出たのは2007年ということになる。

監督として不成功が続いているにも関わらず、指導者としての仕事が回ってくるということは人間性や自己アピール力などが特段に優れているのだろう。ロマンチストとして知られた安間監督から極端なほど現実思考の三浦俊也監督へのスイッチなので「180度の方向転換」と言えるがそもそもとして安間監督のやり方で全く結果が出なかったことを考えると大幅にやり方を変えること自体は決して間違いではない。

■　松本山雅の資金力は群を抜いているが・・・。

J3の18クラブの中で松本山雅の資金力は群を抜いているがFC岐阜はその次にランクされるグループの一員になる。FC岐阜・愛媛FC・北九州・鹿児島・長野あたりの資金力は同じくらいだと思うが今オフの移籍市場ではネームバリューのある選手をたくさん獲得した。降格1年目の2020年は6位、2021年も6位。2年連続でJ2復帰に失敗したが相当なお金を使って選手をかき集めているので「J2昇格はノルマ」と言える。

昨シーズンの途中に元・日本代表のMF柏木を獲得していているが同じく元・日本代表のFW田中順(神戸)を獲得。大宮も獲得に乗り出したDF宇賀神(浦和)も元・日本代表プレーヤーになる。他にもJ2屈指のゲームメ―カーだったMF庄司(京都)を再獲得して、FC岐阜時代は主にボランチとして活躍したDFヘニキ(山口)も再獲得した。清水や湘南や長崎でプレーした187センチのDFフレイレ(長崎)も獲得している。

他にもJ2で200試合以上に出場しているベテランのDF岡村和(北九州)も獲得した。ここまでに名前を挙げた7人の選手はいずれも30歳を超えているが35歳前後の選手も何人かいる。その一方でJ3の得点ランキングで2位だった27歳のFW藤岡(宮崎)を獲得して大卒2年目となる23歳のFWンドカ・チャールス(Y.S.C.C.横浜)も獲得した。FW藤岡ならびにFWンドカ・チャールスは今オフのJ3の移籍市場の目玉選手だった。

■　ネームバリューのある選手を次々に獲得

この2人の獲得は高評価できるがさらに1月14日(金)にMF菊池大(栃木SC)を獲得した。湘南を離れた後はジャーニーマンになっているが2017年と2018年は浦和、2019年は柏、2020年は福岡、2021年は栃木SCでプレーした。2020年にFW河野孝(山口)に破られるまでJ2の最年少ゴール記録を保持していた選手になる。16歳の頃からJリーグでプレーしているが1991年生まれなので30歳。老け込むような年齢ではない。

ネームバリューのある選手を次々に獲得して「銀河系軍団」と言われているがJ3は特殊なリーグである。J1のクラブで活躍した選手や元・日本代表の選手がJ3のクラブに移籍するケースは増えているが期待通りあるいは額面どおりに活躍できたベテランはごくわずか。J3にやってきて明確な違いを発揮してJ3でベストイレブン級の活躍を見せたフィールドプレーヤーはMFフェルナンジーニョ(鳥取)くらいである。

キーパーとなると昨オフに加入した元・日本代表のGK山本海(福島)、清水や湘南などで活躍したGK西部(富山)のような選手もいるが多くの選手は高い期待に応える活躍は出来なかった。実績のあるベテランにとって大変なのは環境面である。照明設備の問題でナイトマッチの開催が難しいスタジアムがあるので夏場でも真昼間に試合が組まれるケースが多かった。また、地方のクラブが多いので移動も大変である。

■　J3全体の平均年齢は26.80歳あたり

「J3の試合を観てみたら目立ったのは(有名選手ではなくて)あまり聞いたことがない大学から加入した22歳や23歳の選手だった。」というのはありがちな話である。『J1やJ2のクラブから評価されなかったほぼ無名の大学生を新卒で獲得して彼らを試合で使いながら成長させて昇格を目指す。』というのは近年のJ3の必勝パターン(王道)になっている。MF河原創やMF杉山直などが中心となった昨季の熊本は典型例になる。

2015年～2021年までの昇格チーム(13チーム)の平均年齢は表1のようになる。U-23の3チーム(FC東京U-23・G大阪U-23・C大阪U-23)を除いたJ3全体の平均年齢は26.80歳あたりになる2015年の山口は24.17歳、2016年の大分は25.04歳、2018年のFC琉球は24.87歳、2019年の北九州は25.87歳、同じく2019年の群馬は25.80歳、例に挙げた2021年の熊本は26.05歳、同じく2021年の岩手は25.92歳だった。

平均年齢が26歳あたりのチームが昇格という最終目標を達成していることが分かる。対して出場時間の多かった中堅世代のDF甲斐(→岩手)、DF三ッ田(→松本山雅)、MF中島賢(→SC相模原)が抜けたことも加味すると2022年のFC岐阜の平均年齢が30歳を超えるのはほぼ確実。加入したベテラン勢に加えてGK桐畑、DF舩津、MF橋本和、MF本田拓なども主力としてプレーするのであれば32歳を超える可能性もある。

2015年以降の7年間で平均年齢が31歳を超えたチームはJ1やJ2を含めてもゼロ。J3に限定すると30歳を超えたチームもゼロとなる。なので今年のFC岐阜は常識外れなチーム編成になっており、過酷なJ3をベテラン主体で戦おうとするのはかなりのチャレンジャーである。巷で言われているとおりで「凄い補強」というしかない。このメンバーを見事に機能させてJ2昇格を達成できたとしたら凄いと称えるしかない。

表1. J2からJ3に昇格したチームの平均年齢 (2015年～2021年)

【J3】昇格チームの平均年齢 (※ 2017年の秋田は昇格できず。)
年度	クラブ名	平均年齢(歳)	J3平均(U-23除く)
2015年	レノファ山口	24.17	？
2015年	町田ゼルビア	28.27	？
2016年	大分トリニータ	25.04	26.58
2017年	ブラウブリッツ秋田	26.44	26.75
2017年	栃木SC	27.08	26.75
2018年	FC琉球	24.87	26.69
2018年	鹿児島ユナイテッド	27.59	26.69
2019年	ギラヴァンツ北九州	25.87	26.87
2019年	ザスパクサツ群馬	25.80	26.87
2020年	ブラウブリッツ秋田	27.23	26.93
2020年	SC相模原	28.12	26.93
2021年	ロアッソ熊本	26.05	26.84
2021年	いわてグルージャ盛岡	25.92	26.84

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