町田ゼルビア → J2は34節が終了した。残りは8節となるが首位の磐田と2位の京都がこのまま自動昇格を達成する可能性は高い。ポポヴィッチ監督になって2年目の町田は17勝10敗7分けで勝ち点「58」。昨シーズンは12勝17敗13分けで勝ち点「49」だったことを考えると飛躍のシーズンになったが2位の京都との差は「13」。8試合で13差を挽回するのは難しいので「2022年もJ2で戦う可能性が高まっている。」と言える。
昨シーズンは19位だったのでここまで6位というのは高評価に値する。見事な1年になったがMF吉尾は8ゴール8アシスト、MF太田修は8ゴール5アシスト、MF平戸は7ゴール3アシスト、FW長谷川アーリアジャスールは6ゴール4アシスト、FW中島裕は6ゴール4アシストを記録している。この5人は自身のゴール数を積み上げているだけでなくアシストの数も増えており、コンビネーションからチャンスを作るシーンは多い。
誤算はフォワード陣になる。得点源になることが期待されたFWドゥドゥは20試合で3ゴールのみ、FW鄭大世は26試合で3ゴールとなる。FWドゥドゥもしくはFW鄭大世のどちらかがフォワードの軸になってコンスタントにゴールを積み上げていたら自動昇格を狙える成績になったと思われるのでこの点は残念に感じる。横浜FMから期限付き移籍となる186センチのFWンダウ・ターラもここまで2試合の出場のみとなる。
昨シーズンはフォワードの軸になったFW安藤瑞にかかる負担が大きくて攻撃のバリエーションは乏しかったが今シーズンは様変わりした。2022年は本気でJ1初昇格を目指すシーズンになるが心配されるのは主力の流出になる。横浜FMから期限付き移籍のMF吉尾はJ2で8ゴール8アシスト。これだけの結果を残したので町田が引き止めるのはほぼ無理だと思うがMF平戸やMF佐野海なども流出候補に挙げられる。
他にもサイドアタッカーのMF太田修、堅実な守備が特徴のDF奥山、正キーパーのGK福井などもJ1のクラブあるいはJ2の規模の大きいクラブに引き抜かれる可能性がある。主力の多くが働き盛りの年齢の選手なので、その分、流出の危険性も高まる。昨オフは同じように流出の心配があったMF平戸とMF佐野海の引き止めに成功したが2人の評価はさらに上がっていることを考えるとタフなオフになることは考えられる。
優先補強ポイントはやはりフォワード陣になる。2020年は33試合で1ゴールのみだったFW中島裕は復活のシーズンになったが37歳なので後継者は必要である。各種のスタッツで気になるのは1試合平均のドリブル数がJ2で19位になる点。仕掛けられる選手を必要としている。以上のことを踏まえて今オフの町田の補強ポイントを挙げてみると
○ フォワードの軸になれる選手 ▽ FWドゥドゥとFW鄭大世はいずれも3ゴールのみ。 ○ 攻撃の中心になれるアタッカー ▽ MF平戸、MF太田、MF吉尾は退団の可能性あり。 ○ サイズのある若手 or 中堅世代のCB ▽ 守備の要のDF深津は37歳。大ベテランになった。 ○ ドリブルで仕掛けることが出来る選手 ▽ ドリブル数は2020年が22位、2021年も19位。 ○ 左利きで攻撃力の高い左サイドバック ▽ DF奥山、DF三鬼、DF土居はいずれも右利き。 ○ 守備力の高いレギュラー格のボランチ ▽ MF佐野は流出の可能性。ボランチの層はやや薄い。
あたりになる。CBは今シーズンもベテランのDF深津が中心となって31試合に出場しているが37歳なので大ベテランの域に入っている。昨オフに獲得したDF高橋祥も今年の10月27日に30歳になるので中堅世代とは言えない年齢になってきた。22試合に出場している元・日本代表のDF水本も36歳のベテランであることを考えると「将来性の高い若手 or 中堅世代のCB」は確保したい。サイズのあるCBが欲しい。
SBはDF奥山もDF三鬼も左右のSBをこなせる点が武器になるがDF三鬼は山形からの期限付き移籍になる。山形には期待の若手のDF半田ならびに山形一筋でプロ14年目のDF山田拓がいることを考えると「DF三鬼を完全移籍で獲得すること」はそこまで難しくないと思うが「DF三鬼を完全移籍で獲得できるのか?」も注目点になる。DFデューク・カルロスは7試合の出場にとどまったが左利きの左SBは補強ポイントになる。
最後に「今オフに町田が獲得できたら面白いと思う選手」を挙げてみると
○ FW ディサロ・燦・シルヴァーノ (清水エスパルス) ▽ 2020年はJ2の北九州で18ゴール。東京都出身。 ○ FW 藤本佳希 (愛媛FC) ▽ J2で9ゴール。オールラウンドなフォワード。 ○ MF 神谷優太 (柏レイソル) ▽ 五輪代表でもプレー。ボランチでもプレー可能。 ○ MF 三田尚希 (長野パルセイロ) ▽ J3で2年連続で2桁ゴール。左利きのアタッカー。 ○ DF 今津佑太 (サンフレッチェ広島) ▽ 甲府で活躍。DF塩谷司の加入で序列は下がる!? ○ DF 岡村大八 (コンサドーレ札幌) ▽ 群馬で活躍して個人昇格。パワーのあるCB。 ○ MF 山下諒也 (東京ヴェルディ) ▽ J屈指のスピードを誇るスピードスター。磐田U-18出身。 ○ MF 田中達也 (浦和レッズ) ▽ スピードとキレを兼ね備えたサイドアタッカー。 ○ DF 太田宏介 (パース・グローリーFC) ▽ 元日本代表の左SB。町田FC(現町田Jrユース)育ち。 ○ DF 大熊健太 (テゲバジャーロ宮崎) ▽ J3で6アシスト。高精度の左足。父親は大熊清さん。
あたり。元・日本代表でFC東京で長きに渡って活躍したDF太田宏は高校年代は麻布大学附属渕野辺高でプレーしたが中学年代に町田の下部組織(=FC町田)でプレーしている。『攻撃力の高い左利きの左SB』なので町田の補強ポイントに合致した選手になる。左利きの選手はMF吉尾がいるがすでに触れた通り、町田が引き止めるのはかなり難しいことを考えると「左利きのプレイスキッカー」としても魅力がある。
一方、新卒の選手で加入が決まっているのはFW佐藤大(法政大)、GKバーンズ・アントン(大成高)、MF樋口堅(町田ユース)の3人になる。GKバーンズ・アントンはU-18日本代表に選ばれており、ユースから昇格するMF樋口堅は184センチとサイズに恵まれた大型ボランチになる。将来性の高い高校生が加入するが即戦力の期待がかかるのは札幌U-18出身のFW佐藤大になる。オールラウンドなフォワードである。
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