ガイナーレ鳥取 → J3は23節が終了した。残りは7節となったが開幕前に上位候補に挙げられた鳥取は5勝15敗2分けで勝ち点「17」。ブービーの14位と低迷している。2017年に最下位の17位になった後、2018年は3位、2019年は7位、2020年は5位。3年連続で好成績を残したが今シーズンは苦しいシーズンになった。2位の宮崎との差は「26」と広がっており、8連勝したとしても勝ち点「41」止まり。J2昇格の可能性は消滅した。
とにかく誤算続きのシーズンになった。高木理己監督は就任3年目だったが開幕から低迷して5月4日(火)に解任された。この時点では2勝4敗1分けという成績だった。元・FC琉球の金鍾成監督を招へいしたが金鍾成監督になってからは15試合で3勝11敗1分けとなる。前者は7試合で勝ち点「7」、後者は15試合で勝ち点「10」なので、勝ち点ペースはむしろ悪化している。11節の長野戦はホーム戦だったが1対8で大敗した。
22試合で43失点というのはJ3ワーストになるが22試合で21得点のみという攻撃陣も「問題あり」と言わざる得ない。2020年は高卒ルーキーながら30試合で8ゴールを挙げたFW田口裕は2年目のジンクスにはまって20試合で2ゴールのみ。同じく大卒1年目ながら26試合で6ゴールを挙げたFW大久保優も17試合で無得点。フォワードのポジション争いの中心になるはずだった2人が合わせて2ゴールのみ。大誤算と言える。
各種のスタッツを見るとチャンスはそれなりに作れている。「パス数」は4位、「ドリブル数」は5位、「30mライン進入回数」は7位、「ペナルティエリア進入回数」は5位となる。ただ、「シュート数」と「枠内シュート数」はともに9位。なかなかシュートまで持ち込めない試合が多かった。大卒2年目にして攻撃の中心になるはずだったMF安藤一が6月の天皇杯の試合で大怪我をして長期離脱したのも痛手だった。
結局、チーム内得点王は3ゴールのFW石川大とMF永島になる。FC岐阜から完全移籍したFW石川大は18試合で3ゴール4アシスト。攻撃陣の中では唯一人と言ってもオーバーではないほど奮闘しているがチーム内得点王の選手が3ゴールというのは寂しい数字になる。昨秋に出身地である鳥取に戻って来たFW谷尾も8試合で無得点。FW田口裕、FW大久保優、FW谷尾の3人はいずれも期待を裏切るシーズンになった。
守備陣はJ2の岡山に移籍したDF井上黎の穴が大きかった。2020年は34試合で37失点だったが今シーズンは22試合で43失点となる。14節の沼津戦(H)と21節の宮崎戦(H)も4失点を喫して敗れたがホーム戦では11試合で1勝9敗1分け。6得点/28失点と散々な成績になる。唯一の勝利は4月25日(日)に行われた6節の讃岐戦(H)。なので半年ほど、ホームのサポーターに目の前での勝利を届けることが出来ずにいる。
結果を出せなかった金鍾成監督の退任は濃厚と考えられる。新監督を迎えて再スタートを切ることになると考えられるが若手の有望株は少なくない。大怪我で長期離脱中のMF安藤一のみならず、レギュラーに定着したボランチのMF新井泰、ユース出身で183センチのMF世瀬も流出候補に挙げられる。FW中山仁、DF馬渡、FW加藤潤なども鳥取でプロキャリアをスタートさせているので選手を発掘する能力は相当に高い。
攻守に問題を抱えているので補強ポイントは沢山あるが優先補強ポイントを挙げると
○ 得点源になれるストライカー → チーム内得点王が3ゴールというのは・・・。 ○ サイズのある選手 / 空中戦に強い選手 → 平均身長が9位。セットプレーが明確な弱点。 ○ 経験値を持った選手。リーダータイプのCB。 → 平均年齢がJ3最年少。ベテランの力も必要。 ○ 金鍾成監督のサッカーを理解した選手 → FC琉球や鹿児島を指揮。監督続投の場合。 ○ 固定しきれなかった右サイドバック。 → 今夏にDF小牧が移籍。若手のDF坂本敬が台頭中。 ○ 優秀なプレイスキッカー(左右両足とも) → セットプレーでの得点数がJ3最少タイ。弱点の1つ。
など。守備の要になったDF鈴木潤は昨オフに群馬から完全移籍したがそのパートナーになれるサイズのあるCBが欲しい。DF藤原拓は178センチ、高卒ルーキーのDF石田侑は175センチとなる。沼津から獲得した185センチのDF谷口智はJ3で出場機会なし。沼津では主力として活躍していた選手なのでこれも「想定外」である。正キーパーのGK田尻は182センチなので現代のキーパーとしてはかなり小柄な部類に入る。
攻守でチームに貢献する左SB/WBのDF魚里、昨シーズンまで主力として活躍したMF可児も退団の可能性があるのでメンバーが様変わりすることも考えられるがJ3に降格してからの鳥取は若いチームである。平均年齢は2016年が26.30歳、2017年が24.25歳、2018年が25.77歳、2019年が25.98歳、2020年が25.03歳、今シーズンはここまで24.55歳。今シーズンの24.55歳というのはJ3で1番低い数字になる。
「若手主体」という部分はこれからも継続させたい。が、とは言っても「若手のみ」、「まとめ役不在」では安定して勝ち点を積み上げるのは難しい。若い選手のいいお手本になれる選手は鳥取に限らず、どんなチームでも2人くらいは必要である。以上のことを踏まえて「今オフに鳥取が獲得できたら面白いと思う選手」を具体的に何人か挙げてみると
○ FW 加藤潤也 (ザスパクサツ群馬) → 2017年と2018年は鳥取で大活躍。米子北高出身。 ○ FW 薗田卓馬 (鹿児島ユナイテッド) → 沼津時代の2017年にJ3で19ゴールを記録。 ○ DF 眞鍋旭輝 (レノファ山口) → 182センチのCB。桐蔭横浜大出身で大卒2年目。 ○ DF 岡本將成 (水戸ホーリーホック) → 高卒3年目。185センチの長身。フィードも得意、 ○ DF 秋山貴嗣 (藤枝MYFC) → 2015年~2017年まで鳥取で主力として活躍。 ○ GK 杉本拓也 (藤枝MYFC) → 2012年~2017年まで鳥取でプレーしたベテラン。 ○ DF 増谷幸祐 (ファジアーノ岡山) → FC琉球時代に指導を受ける。右SBとCBでプレー可。 ○ DF 米田隼也 (V・ファーレン長崎) → 中盤が本職。組み立てに貢献できる右SB。 ○ DF 三原秀真 (愛媛FC) → 何度も年代別代表に選ばれているパリ世代。 ○ MF 江口直生 (ブラウブリッツ秋田) → 2020年にJ3の秋田でアシストを量産した。 ○ MF 堀米勇輝 (モンテディオ山形) → 千葉が保有権を持つレフティ。プラチナ世代。
あたりになる。仮に金鍾成監督が続投するのであればDF増谷(岡山)やMF中川風(FC琉球)のような同監督の教え子を獲得するのが最も効果的である。他に期待したいのは外国人補強になる。2020年は大ベテランのMFフェルナンジーニョがいてFWジョアンデルソンやMFハモンがいたが今シーズンは外国人選手はおらず。かつてはFWレオナルドが在籍したが外国人無しで上位を目指すのはなかなか大変である。
MF秋山大、MF横川、MF原田虹、DF杉井という期限付き移籍中の選手の動向も注目されるが「期限付き移籍の選手にある程度は頼らないといけないチーム事情であること」は否定しにくい。中堅世代のMF秋山大はともかくとして、Jリーグで全く or ほとんど実績のない若手をJ1のクラブから借りてもなかなか戦力にはならない。同じ期限付き移籍の選手を獲得するにせよ、ある程度以上の実績を持った選手を借りたい。
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