■ 準決勝の第2戦クラブワールドカップの準決勝。アジアチャンピオンのガンバ大阪が欧州チャンピオンのマンチェスター・ユナイテッドと対戦。G大阪は日曜日のアデレード戦から中3日となる。(
アデレード戦スタジアム観戦記)
G大阪のスタメンは<4-4-2>。GK藤ヶ谷。DF加地、山口、中澤、安田。MF明神、遠藤、橋本、ルーカス。FW播戸、山崎。怪我のMF二川はベンチスタート。大黒柱のMF遠藤はMF明神とダブルボランチを形成し、MFルーカスが左サイドに入る。
■ 前半2点ビハインド立ち上がりはG大阪が勢いよく攻め込む。ボランチに入ったMF遠藤を起点にボール支配率でも上回る。前半13分にはカウンターの形でMF遠藤のパスからFW播戸が決定的なシュートを放つがGKファン・デル・サールに止められる。
ピンチを逃れたマンチェスターUは、両ウイングを起点に揺さぶりをかける。すると、前半28分に、MFギグスの右CKをDFビディッチがヘッドを決めて先制した。さらに、後半44分に、MFギグスの右CKをCロナウドが頭で決めて2点を奪い、前半はマンチェスターUが2点リードで終了。
■ 怒涛のゴールラッシュから・・・2点ビハインドのG大阪はペースの落ちてきたマンチェスターUを相手に、後半29分にMF橋本のパスからFW山崎が決めて1点差に迫る。歴史的なゴールだったが、その直後、途中出場のFWルーニーが決めて3対1。ここからマンチェスターUが2点を追加し、5対1とリードする。
しかし、最後まで諦めないG大阪は後半40分にMF遠藤のPKで1点を返すと、さらにロスタイムにもMF橋本のミドルシュートで3対5と2点差に迫る。
欧州王者に対して一歩も引かなかったG大阪だったが、ここでタイムアップ。結局、乱打戦となった準決勝は5対3でマンチェスターUが勝利し、決勝進出を決めた。
■ 値千金のルーニーのゴール2点リードを奪われたG大阪は後半29分にFW山崎のゴールで1点差に迫った。「さあ、ここから」という展開になったが、そのすぐあとに途中出場のFWルーニーが追加点のゴール。このゴールは、勝敗の行方を左右する大きなゴールとなった。
FWテベスやFWナノにスタメンを譲ったFWルーニーだったが、プレーの正確性は際立っており、中盤からのミドルパスをうまく体を使ってDF中澤を振り切って、ゴールに流し込んだ。短い出場時間にもかかわらず2ゴールを記録し、格の違いを印象つけた。
■ 決死の3ゴール敗れたもののG大阪は後半に3ゴールを記録。リードを奪ったマンチェスターUがやや流し気味になった時間帯もあったが、ロスタイムのMF橋本の3点目のゴールは、マンチェスターUのスタッフとイレブンに大きな刺激となった。
前半は悔やまれるセットプレーでの2失点。ただ、両サイドバックの裏を効果的に使われており、守備の面では上手く行っていないシーンも見られたが、攻撃面は本領を発揮。ボール支配率やシュート数ではほぼ互角で、中盤の構成力では優勢だった。思いの外、マンチェスターUの中盤のプレスがきつくなかったこともあって、予想以上にG大阪の中盤はマンチェスターUの中盤を押し込んだ。
G大阪としては、MF二川とMF佐々木がいなかったことでFW山崎とFW播戸がスタメン起用。これに伴って、ベンチに切り札といえる選手がおらず、流れを変えたい時間帯に効果的な策が打てなかったが、それでも、マンチェスターU相手に3つのゴール。G大阪のスピリットを世界中に見せつけた。
■ 遠藤保仁のパフォーマンスその中でもMF遠藤のパフォーマンスは圧巻だった。マンチェスターUもMF遠藤をかなり警戒していたが、その警戒を振り払って、味方選手がプレーしやすい環境を整えた。
低い位置からゴール前に攻め上がるタイミング、中盤の底でのボール奪取、落ち着いたキープ、鋭いクサビのパスなど、その全てがハイレベルだった。
G大阪の中盤は優秀な選手が集まっているが、その中でもMF遠藤は別格だった。
■ 守備力強化の必要性一方で5失点は反省材料である。攻撃ではグループで数的優位の状況が作れていたが、逆に守備では、相手にうまく数的優位を作られた。
3失点目以降は前掛かりにならざる得ない展開であり、FWテベスやFWクリスチャーノ・ロナウド、FWルーニーといった世界トップクラスのアタッカーと1対1の状況で「きちんと対応しなさい。」というのは酷な気もするが、さらなるステップアップを目指すのであれば、G大阪だけに限らず、個々人の守備能力を上げていかなければ、世界と対等に近い状態で戦うことは難しくなる。
■ 世界基準の物差し西野監督が語っているように、昨シーズンの浦和レッズと今シーズンのG大阪の2チームが世界のトップクラブと真剣勝負した結果、日本(Jリーグ)のレベルがどの程度なのかを図る物差しが出来た。これは、クラブW杯に出場したからこそ得られた財産である。
この試合のスコアは3対5。イングランドの1クラブにとどまらず、世界選抜と表現してもおかしくないマンチェスターU相手に善戦したと言っても問題ないだろう。現時点では、選手の質、クラブの経営状況など、ほとんどすべての面でマンチェスターUを下回っていることは間違いないことであり、敗戦を恥じる必要は全くない。
ドイツワールドカップでは、チーム内のごたごたもあっていいところ無く日本代表チーム。「中盤にタレントを並べたパスで崩すサッカーは世界の舞台では通用しないのか・・・」、と多くの日本人が感じたあの時から2年半。少し形を変えてFWルーカスを除く日本人選手主体のG大阪が世界の舞台で1つの日本スタイルを強烈にアピールした。
人気エントリー ガンバ大阪編 (ベスト10)第01位 0684 2007/08/11
【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記#12) 第02位 0802 2007/11/04
【ナビスコ決勝戦:川崎F×G大阪】 決勝戦・体験記 (生観戦記 #20) 第03位 1101 2008/06/19
DF水本裕貴の退団とカンテーラについて第04位 1272 2008/12/15
【クラブW杯:G大阪×アデレード】 世界の舞台 デビュー戦 (生観戦記 #20) 第05位 0649 2007/07/14
【ナビスコ:G大阪×浦和】 飛翔する家長 第06位 1069 2008/05/19
さいたまスタジアムの騒動に関して第07位 0998 2008/04/04
【G大阪×東京V】 遠藤ヤットの存在 (生観戦記 #2)第08位 0637 2007/07/07
【ナビスコ:浦和×G大阪】 現れた超新星 第09位 1188 2008/08/12
【U-16日本×U-16ルーマニア】 天才・宇佐美貴史の未来(生観戦記#12) 第10位 1261 2008/12/05
【G大阪×浦和】 日本最高級の右サイドバック 加地亮
- 関連記事
-