■ 観客動員数の水増しが発覚関西はG大阪・C大阪・神戸・京都の4チームがJリーグで奮闘しているが「Jリーグのクラブがない県」がまだたくさんある。滋賀県や和歌山県にもJリーグのクラブは存在しないが奈良県もJリーグのクラブが存在しない。大阪府で活動するJFLのFC大阪、滋賀県で活動するJFLのMIOびわこ滋賀などが将来的なJリーグ入りを目指して活動しているが「関西で5つ目のJリーグクラブ」はなかなか出てこないのが現状である。
ここに来て注目を集めているのが京都府で活動するおこしやす京都ACと大阪府で活動するFCティアモ枚方になる。どちらも関西1部のクラブになるが前者はMF寺田、FW原一樹、DF澤口、DF村上巧、MF平石、MF堂安憂、FW勝又などを擁しており、後者はMF二川、MF野沢、MFチョ・ヨンチョル、FW岡本英、MF田中英、DF石神直、GK武田博などを擁している。ベテランが中心になるがネームバリューのある選手が多い。
FCティアモ枚方は元・名古屋のMF小川佳が監督に就任したことでも注目を集めている。今、JFL以下のカテゴリーで活動している関西のクラブで勢いに乗っているのはこの2つになるが対してネガティブな空気が流れているのはJFLの奈良クラブになる。2015年からJFLで活動しており、JFLでの成績は7位→10位→7位→8位→14位となるが「ホーム戦の観客動員数の水増し問題」が発覚して大きな批判を浴びている。
今年の1月30日(木)に「解除条件を伴ったJリーグ百年構想クラブの失格処分」が下されたが対応が最悪だった。2015年~2019年のホーム戦の観客動員数を水増ししていたが2019年の4月にJFLから水増し疑惑を指摘されたときは「特に問題はない。」と報告しており、正式に水増しを公表した2019年12月7日の2日前まで水増しの事実を隠していた。JFLに対しても虚偽の報告を繰り返していたというのは悪質である。
■ 虚偽の報告を繰り返していた。Jリーグでは大宮が観客動員数を水増していることが発覚して大きな問題になった。J1に所属していた2010年の話になるがこのときの大宮は「制裁金2,000万円」という処分を受けている。スポンサーを集めるときは「ホーム戦には平均で○○人のお客さんが集まります!!!」とアピールすることになるはず。観客動員数を水増しすることはJリーグならびにサッカー界の基本的な理念を揺るがす大きな問題である。
JFLからJ3に昇格するためには年間の観客動員数の規定もクリアする必要があるので奈良クラブの関係者は水増しに走ってしまったと思うが、やはり、「虚偽の報告を繰り返していた。」という点の印象は最悪である。観客動員数の水増し自体も当然のことながら良くないが度重なる虚偽報告の方が悪質度では高いのでは?と考えられる。「奈良クラブに対するJFLやJリーグの信用はゼロになった。」と言えるだろう。
水増し問題などの責任を取って辞任をした前・社長に代わって今年の2月になってから新たに浜田満氏がクラブの社長に就任したが3月23日(月)に記者会見を開いた。改めて実施したクラブ内部の調査結果を公表したが「水増しに関しては選手やコーチらを除くクラブの運営スタッフ全員が把握していた。」という。また、旧経営陣に対しては記者会見を開いて説明するように求めたものの実現はしなかったという。
■ 収入がおよそ9,000万円近く減る見通し大変な状況で社長はバトンを受け取ることになったが気になったのは会見の場で「今回の問題などで大口のスポンサーが相次いで撤退して今シーズンの収入がおよそ9,000万円近く減る見通しであること」が明らかになった点である。「近年の奈良クラブの年間の収入がどのくらいなのか?」に関するハッキリとした数字は公表されていないと思うがいろいろと調べてみると「年間の収入は2億円程度」のようだ。
奈良クラブに限らず、JFL所属のクラブの経営に関する情報は明らかにはされないがJリーグに昇格してきたクラブのJFL時代の数字(最終年のみ)はJリーグの公式サイトで確認できる。それぞれのチームの営業収益は以下のとおりである。
・2014年 レノファ山口 1.56億円
・2015年 鹿児島ユナイテッド 2.47億円
・2016年 アスルクラロ沼津 2.68億円
・2018年 ヴァンラーレ八戸 2.16億円
いずれもJFLで好成績を残してJ3昇格を達成したシーズンになるが山口・鹿児島・沼津・八戸の数字がこのくらいなので「奈良クラブの年間の収入が2億円ほど」というのは高確率で正しいと思うが9,000万円減となると一大事である。ましてや今シーズンは新型コロナの影響で不況の波が押し寄せており、奈良クラブに限らず、入場料収入などはさらにダウンするはず。9,000万円減では済まない可能性の方が高い。
9,000万円減になることを想定してチームを作っているのであれば何とかなる可能性はあるが「これだけ収入が減るとは思わなかった。」という状況であればクラブ消滅の危機である。つい先日、J1の鳥栖が「クラブ存続の危機」と報じられているが今の奈良クラブの状況は「鳥栖の比ではないほどの火の車状態」である可能性が高い。厳しいようであれば二進も三進もいかなくなる前に助けを求めるべきだと思うが・・・。
表1. JFLのクラブの年間の営業収益と広告料収入
年度 | クラブ名 | 営業収益 (億円) | 広告料収入 (億円) | 備考 |
2011年 | 松本山雅 | 3.91 | 1.94 | 昇格 |
町田ゼルビア | 2.42 | 1.17 | 昇格 |
2013年 | グルージャ盛岡 | 0.75 | 0.39 | |
ブラウブリッツ秋田 | 1.18 | 1.03 | |
福島ユナイテッド | 2.07 | 1.34 | |
町田ゼルビア | 3.63 | 2.04 | |
Y.S.C.C.横浜 | 1.45 | 0.22 | |
SC相模原 | 1.11 | 0.81 | |
長野パルセイロ | 3.08 | 2.28 | |
ツエーゲン金沢 | 2.78 | 1.89 | |
藤枝MYFC | 0.95 | 0.71 | |
カマタマーレ讃岐 | 2.20 | 0.90 | 昇格 |
FC琉球 | 0.66 | 0.23 | |
2014年 | レノファ山口 | 1.56 | 1.08 | 昇格 |
2015年 | 鹿児島ユナイテッド | 2.47 | 1.80 | 昇格 |
2016年 | アスルクラロ沼津 | 2.68 | 1.30 | 昇格 |
2018年 | ヴァンラーレ八戸 | 2.16 | 1.17 | 昇格 |
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