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【J1】今オフの移籍市場の「勝ち組」と「負け組」はどこだろうか？ (2019年-2020年オフ) (下) | | |　

■　かつてないほどの逆風が吹いている。

逆に厳しいオフになったのは浦和と鳥栖の2チームになる。浦和はMF小塚、DF原輝綺、DF杉岡といった日本の有望株の獲得を画策したがいずれも失敗に終わった。また、大分で活躍したFWオナイウ阿道の回収にも成功しなかった。J1を代表するビッグクラブなので「MF遠藤航やDF岩波など争奪戦になった選手を浦和が獲得する。」というケースは多かったが今オフの移籍市場はかつてないほどの苦戦を強いられた。

FW杉本健、MFマルティノス、DF山中など鳴り物入りで獲得した選手がほとんど or 全く活躍できずにいることが心象を悪くしていると思うがクラブにとっては一大事である。3年計画でチームを立て直すことになったが日本人の実力者を獲得できないと強化は思うように進まない。2017年の夏にペトロヴィッチ監督が去った後、監督もシステムも戦術もメンバーも固定できずにいることのツケが回ってきたと言える。

移籍市場においてかつてないほどの逆風が吹いているがJ2得点王のFWレオナルドを獲得できたのは大きい。シュート精度の高い選手なので「J1の中に混じってもトップクラスのストライカー」と言える。心配されるのはFW興梠と共存できるのか？である。2019年はFW興梠が孤軍奮闘したが2人のプレーエリアは重なる。FW興梠の力もまだまだ必要なので2人の共存に失敗するようだと残留争いに巻き込まれるだろう。

15位で何とか生き残った鳥栖だったがMFクエンカ、MF小野裕、MF福田晃、DF三丸、DF高橋祐などが流出した。MF小屋松、DFエドゥアルド、DF宮大樹、DF内田裕、GK守田などを獲得しているので「戦力が大幅にダウンした。」という感じではないがフォワードの補強は進まず。MFクエンカが抜けたことでJ1で最低クラスだった攻撃力はさらに低下した。2012年からずっとJ1に居続けているが降格の危機を迎えている。

■　パワハラ問題で揺れた1年

参入決定戦で徳島と引き分けて何とかJ1残留を果たした湘南は曹監督のパワハラ問題で揺れた1年だった。それもあって「主力の大量流出」が心配されたが「思ったほどは主力が抜けなかった。」と言える。その一方でMFタリク、FW石原直、MF岩崎、MF三幸、MF福田晃、MF茨田、DF大岩、GK谷などを獲得したので「まずまずの補強が出来た。」と言える。現役のノルウェー代表のMFタリクに大きな注目が集まる。

ただ、それでも、DF杉岡、FW山崎凌、DF山根視が抜けており、昨秋に定位置を失ったGK秋元も抜けたので不安要素は多い。フォワードはもともとJ1の中では最低レベルだったが主戦フォワードのFW山崎凌が抜けたことでさらに厳しくなった。期待されたFW若月もFCシオンへの期限付き移籍が決まったので湘南ではプレーしないことになった。最悪のオフにはならなかったが残留争いに巻き込まれる可能性は高い。

3連覇に失敗した川崎Fはやや苦しいオフになった。近年の川崎Fはオフの移籍市場で勝ち組になることがほとんどだったが「いつ以来なのか？」と思うほどの久しぶりに勝ち組にはなれなかった。スタメン級のMF阿部浩とDF奈良とGK新井章が抜けたのは痛手である。MF旗手とMF三笘が加入したので「アタッカーのポジションは人材が豊富」とは言っても特異なプレースタイルのMF阿部浩が抜けたのは大きい。

DFエウシーニョが抜けた後、固定できなかった右SBが最重要補強ポイントだったが昨オフに獲得したDF馬渡とDFマギーニョはいずれも期限付き移籍で退団。DF山根視とDFジオゴ・マテウスを獲得して大卒ルーキーのDFイサカ・ゼインを右SBでテストしているがDF山根視は湘南では右ストッパーだった選手である。DFジオゴ・マテウスはJリーグ初挑戦でDFイサカ・ゼインはコンバート組なので不安は大きい。

■　補強がほぼなかった札幌

評価が難しいのは清水になる。FWドウグラスとDF松原后というレギュラー2人が流出してしまった。移籍市場の中盤戦あたりまでは相当に苦しい流れだったがタイ代表のFWティーラシンの加入が決定的。守護神候補のGKネト・ヴォルピ、最終ラインの要になるだろうDFヴァウドの獲得にも成功した。シントトロイデンに移籍したDF松原后が抜けた左SBもDF金井の獲得に成功したのでリカバーに成功しつつある。

他にはDF岡崎慎、FW後藤優、DF奥井を獲得しており、ストライカーのFWカルリーニョス・ジュニオールの加入も有力視されていることを考えると「十分に戦えるだけの戦力になりそうな流れ」になってきたがDF金井とDF奥井は名古屋や大宮との契約更新が決まってから清水が獲得しているので余計なお金がかかっている可能性は高い。トータルで考えると「無駄な出費が少なくないのでは？」と思わざる得ない。

広島も静かな動きに終始した。ボランチのMF稲垣の流出は誤算だったが五輪代表のMF松本泰などがいるので穴は埋まるだろう。大物ストライカーの補強はなかったので得点力アップのためにはMFエゼキエウが頑張らないといけない。FC東京はやや苦しいオフになった。DF岡崎慎が期限付き移籍を選択してDF木本の獲得には成功せず。プレーオフを勝ち抜いたがACLを戦うには最終ラインの厚みが足りていない。

札幌は大学生のMF田中駿とMF金子拓とMF高嶺の3人が加入したが他クラブからの補強は全くなかった。チームを離れたのも期限付き移籍のMF岩崎のみ。長いJリーグの歴史を振り返ってみてもこれだけ選手の入れ替えがなかったチームは初めてと言える。2019年はルヴァン杯で準優勝に輝いたがリーグ戦は10位。十分な結果を出せたとは言えないことを考えると「ほぼ補強をしない。」というのはリスキーな選択である。

ペトロヴィッチ監督のやり方は独特なので慣れるまでに時間がかかる。補強を行っても「ミシャ式のサッカー」に合わない選手は一定の確率で出てくるが広島のときも浦和のときも「主力を固定するタイプの監督」なので年数が経過するとチームが硬直して結果が出にくくなる。札幌にやって来て3年目になるが、絶えず、新しい選手を獲得して刺激を与え続けないと、この先、まずい事態になる可能性は高いと言える。

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　→　2020/01/31 　【J1】今オフの移籍市場の「勝ち組」と「負け組」はどこだろうか？ (2019年-2020年オフ) (下)