■ 2019年途中の監督交代は9件2019年のJ1でシーズン途中に監督交代が実施された回数は9回だった。その中では磐田の鈴木秀人監督→(小林稔代行)→フベロ監督への変更は鈴木秀人監督の体調不良が原因だった。また、湘南の曹貴裁監督→(高橋健二代行)→浮嶋監督への変更は大きな問題になった曹貴裁監督のパワハラ問題が原因だった。この2件はイレギュラーだったがその他の7件の監督交代は「成績不振」が主の原因だった。
神戸と磐田は2回の監督交代を実施しているので難しいシーズンになったが「18チームうち、7チームがシーズン途中に監督交代を実施した。」というのは確率的には高い。プロ野球の場合、どんなに低迷してもなかなかシーズン途中に監督交代は行われない。休養という形で退くパターンはあるが監督に就任して1年のみで退任や解任となるケースもほとんどない。プロ野球の監督は意外と安定した職業になる。
やはり、降格制度があるのか?否か?で大きく変わってくるがサッカー界では名将と言われる監督でも長いキャリアの中で何度かはシーズン途中での成績不振による解任を経験している。日本人屈指の名将である西野監督も神戸時代の2012年に解任を経験しており、神戸はJ2降格となった。その後、名古屋と日本代表とタイ代表を率いているが1度や2度の解任であれば監督としてそこまでの大きな傷にはならない。
監督交代というのは最大の起爆剤なので評価の高い監督から平凡な監督へのスイッチであったとしても監督交代によって成績が向上するケースは多い。監督自身ならびにクラブが致命傷を負う前に監督交代を決断して監督自身やクラブを守るというのもGMや強化部長やチーム統括部長などの重要な仕事の1つになるが、J1の場合、毎年、1/3程度のクラブが成績不振によってシーズン途中での監督交代を行っている。
■ マイナスからのスタートとなる2人「どの監督が一番最初に解任されるのか?(or 退任するのか?)」というのは、毎年、注目を集めることになるが今の時点で有力な候補に挙げられるのは「賛否両論ある中で監督続投が決まったチームの監督」になる。具体的に名前を挙げると名古屋のフィッカデンティ監督と浦和の大槻毅監督の2人である。ともに2019年の途中に監督に就任したが前者は1勝4敗3分け、後者は4勝9敗8分けという成績だった。
フィッカデンティ監督は8試合で勝ち点「6」、大槻毅監督も21試合で勝ち点「20」だった。ともに何とか「J1残留」という最低限の目標はクリアしたが最終的な勝ち点は「37」のみ。『J1残留のために必要とされる勝ち点は「38」』と言われることを考えると『J2に降格していても全くおかしくない成績だった。』と言える。15位の鳥栖ならびに16位の湘南はどちらも勝ち点「36」だったのでその差は「1」だった。
チームを立て直すことはできなかったので「またしても監督交代を実施することになるだろう。」と思われていたが名古屋も浦和も続投を決断した。契約年数の問題やお金の問題などいろいろと絡んでくるのでフロントにはフロントの考えがあるとは思うが続投という決断に否定的なサポーターの方が多い。続投に対して不信感を抱いているサポーターが多い中で開幕を迎えるので「マイナス地点からのスタート」と言える。
どちらもサポーターの数が多くて注目度が高いクラブなので開幕から低迷するようだと早い段階で監督交代を求める声が大きくなるだろう。特に大変なのは大槻毅監督になる。J2とJ3で得点王に輝いたFWレオナルド(新潟)を獲得したものの、狙っていたといわれるDF杉岡(湘南→鹿島)やMF小塚(大分)やDF原輝綺(鳥栖)などの日本人選手にはことごとくフラれた。「補強はFWレオナルドのみ」と言える状況である。
■ 逆に安泰といえるのは・・・。3年計画でチームを立て直すことになったが2019年と同じように低迷した場合、サポーターが黙ってついて来てくれるのか?というと微妙である。「長い目で見守る必要がある。」と主張するサポーターもいるとは思うが過去の実績を踏まえるとサポーターの怒りが爆発して不穏な空気になる可能性の方がはるかに高い。高齢化が進んでいるので誰が監督を任されても難しいと思うが極めて難易度の高い仕事である。
名古屋と浦和以外のクラブの監督で危ういのは湘南の浮嶋監督になる。こちらも昨秋に監督に就任して何とかJ1残留を果たしたが徳島との参入決定戦を含めても7試合で1勝3敗3分け。7試合で獲得した勝ち点は「6」のみだった。予想されていたほど主力の大量流出はなかったがそれでもDF杉岡(→鹿島)やFW山崎凌(→名古屋)やDF山根視(→川崎F)が抜けている。引き続いて難しいシーズンになる可能性は高い。
逆に「開幕から少々低迷したとしても地位は揺るぎない。」と言えるのは横浜FMのポステコグルー監督、FC東京の長谷川健太監督、川崎Fの鬼木監督、C大阪のロティーナ監督、大分の片野坂監督、札幌のペトロヴィッチ監督、柏のネルシーニョ監督あたりになる。確固たる実績を持っている監督なので、よほど連敗が続いてどうしようもない状況にでもならない限り、このあたりの監督が途中で退くことはないだろう。
広島の城福監督やG大阪の宮本監督や横浜FCの下平監督になると上の監督たちほどではない。スタートで躓いた場合は早いタイミングでの交代はあり得なくもない。鳥栖の金明輝監督は2年連続でチームを救ったが今オフは主力の流出に悩まされており、チーム作りがうまくいかずに開幕から低迷するようだと監督交代も考えられる。実績のある監督や評価の高い監督でも残留争いに巻き込まれると立場は厳しくなる。
鹿島のザーゴ監督、清水のクラモフスキー監督、仙台の木山監督は就任1年目になるがザーゴ監督が途中で解任されたり、退任することは考えにくい。メンバーが大きく変わったのでチームが出来上がるまでに時間がかかる可能性はあるがあれだけの選手を揃えている名門クラブが残留争いに巻き込まれる可能性は相当に低い。一方、クラモフスキー監督や木山監督は結果を出せずに早い段階で見切られる可能性はある。
→ 2018/02/04 【J1】 18クラブの監督の中で「最初に解任されそうな監督」は誰だろうか?
→ 2018/02/04 【J2】 22クラブの監督の中で「最初に解任されそうな監督」は誰だろうか?
→ 2019/02/10 【J1】 2019年の「最初に解任されそうな監督」は誰だろうか?
→ 2019/02/11 【J2】 2019年の「最初に解任されそうな監督」は誰だろうか?
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