■ 長谷部監督の招聘に成功イタリア人のペッキア監督を招聘した福岡だったが開幕から低迷したがラグビーW杯の影響でホームのレベルファイブスタジアムを使用できずに博多の森陸上競技場で試合を行わざる得ないケースが9試合もあった。博多の森陸上競技場での試合に限定した成績は9試合で1勝6敗2分け。3得点/11失点と散々だった。博多の森陸上競技場は芝の状態が芳しくなくて思うようにボールが走らずに各選手は苦労した。
最終成績は12勝22敗8分けで勝ち点「44」。21位でJ3降格となった鹿児島との差は「4」のみ。得失点差「-23」は22クラブの中でワースト3位タイ。J3に降格していてもおかしくない成績だった。最終節で勝利して18位から16位まで順位を上げたので「クラブ史上最低成績」は免れたが酷いシーズンになった。ペッキア監督は家庭の事情で退任したが「監督選びに失敗したことが下位に低迷した主要因」と言える。
→ 2019/06/04 【J2】 「家庭の事情」というペッキア監督(アビスパ福岡)の退任理由にモやる。サポーターにとってはツラい1年になったが長谷部監督の招聘に成功したのは2019年の福岡にとっては数少ないポジティブなニュースだった。今シーズンは水戸を率いて7位。惜しくもプレーオフ出場を逃したが6位の山形とは全く同じ勝ち点を獲得しており、得失点差も同じだった。クラブ規模ではJ2最低レベルの水戸を率いての躍進なので長谷部監督の評価も一気に上がったが福岡の監督に就任することになった。
■ 「5の倍数年のなぜか福岡は強い。」福岡は過去に4度の昇格を経験しているが昇格を達成したのは1995年・2005年・2010年・2015年になる。飛んでいる2000年はJ1所属だったが1stステージは14位、2ndステージは6位。J1残留を果たした。直近の3回はいずれも「1年でJ2降格」になったので2000年は最後にJ1残留を達成した年。なので2000年も福岡的には好成績と言える。「5の倍数年の福岡はなぜか強い。」というのは良く知られた話になる。
ただ、その明確な根拠や明確な理由はおそらくは存在しない。「たまたまである。」、「偶然である。」と結論付けるのが最も正しい姿勢になると思うが根拠や理由がなくてもポジティブな気持ちになれることにはすがりたくなるのがサポーターである。「2020年の福岡には期待をしている。」というサポーターは少なくないと思うが今オフの移籍市場では積極的な動きを見せており、J2の移籍市場の中心になっている。
FWヤン・ドンヒョン、MF松田力、MF石原広、MF前川、MF喜田陽、FWミコルタなどは退団することになったがMF前寛之(水戸)、MF福満(水戸)、FW遠野(Honda FC)、MF重廣(京都)、DF湯澤(甲府)、DF上島(柏)、GK村上(水戸)の加入が決定。その上でDFサロモンソン(広島)の加入が確実視されており、FWフアンマ・デルガド(大宮)も獲得候補に名前が挙がっている。早くもたくさんの即戦力の補強に成功している。
しかも、加入する即戦力のほとんどはノビシロも大きい選手である。「12月27日(金)の時点では福岡の補強がJ2の22クラブの中では断トツにいい。」と言える。唯一の心配材料はGKセランテスになる。GK杉山力とGK山ノ井の残留が決定しているので新加入のGK村上を含めるとキーパーは3人になった。今シーズンはGKセランテスとGK杉山力とGK山ノ井の3人体制だったことを考えると流出の可能性が出てきた。
■ 古巣である水戸から3人を獲得GK村上やGK杉山力は悪いキーパーではないが「J2トップクラスのキーパー」というわけではない。やはり、GKセランテスと比べると見劣りする。「GKセランテスの去就」が目下の最大の注目点になるが仮にGKセランテスが福岡に残留にして、同じように去就がはっきりしないDF輪湖とMF加藤大も福岡に残留して、FWフアンマ・デルガドとDFエミル・サロモンソンが加入するようだとJ2トップクラスの戦力になる。
J1復帰に向けてクラブの本気度が感じられる充実したオフになっているが長谷部監督の招聘に成功したことが大きかった。実績のある監督を招聘できると補強は相当にやりやすくなるが監督の古巣である水戸からはGK村上とMF福満とMF前寛之の3人を獲得している。GK村上は山口、MF福満はC大阪が保有権を持っていた(いる)ので厳密に言うと「水戸からの移籍」ではないが長谷部監督が引き連れてきた選手になる。
今回の長谷部監督のように結果を残した監督がより規模の大きいクラブに引き抜かれた場合、何人かの選手を引き連れて次のクラブに移るケースは日本ではそこまで多くないが世界ではたくさんある。自分のやり方を知っている選手がいるか?いないか?でチーム作りの難易度は大きく変わるので「勝手知ったる選手の獲得」をリクエストするのは当然だと思うが個人的にはあまり好きではないやり方である。
■ 2009年の横浜FCや2016年の山形今回と似た事例を挙げると2009年限りで鳥栖を離れて横浜FCの監督に就任することになった岸野監督が教え子であるDF渡邉将やMF武岡やMF高地やDF柳沢を引き連れて横浜FCに移ったことは、当時、大きな話題になった。また、2016年限りで愛媛FCを離れて山形の監督に就任した木山監督が教え子であるFW瀬沼やFW阪野やDF茂木力やGK児玉を引き連れて山形に移ったことも一部で問題視された。
→ 2009/12/22 前・サガン鳥栖監督 岸野靖之の乱
→ 2016/12/12 【木山監督】 今オフのモンテディオ山形の補強(=愛媛FCからの大量補強)は是か?非か?やはり、主力級の選手を大量に引き抜かれるとクラブは大変である。当時の鳥栖はJ1経験が全くなかったクラブであり、愛媛FCは今の時点でもJ1経験のないクラブである。幸いにしてこのときの鳥栖は翌2010年から尹晶煥氏が実質的な監督になってチームを立て直した。MF藤田直やMF金民友などの台頭もあって2011年にJ1昇格を果たしたので「血の入れ替えが進んで逆に良かった。」と言えるが鳥栖はレアケースである。
言うまでもなく、「特定のチームからたくさんの選手を獲得してはいけない。」というルールは存在しない。ルール違反では全くない。また、サッカー界は完全な弱肉強食の世界なので「規模の小さいクラブの主力選手がより規模の大きいクラブに移籍をする。」というのは当たり前の話になるが、引き抜かれた側の水戸のサポーターが福岡というクラブあるいは長谷部監督に対して嫌悪感を覚えるのは当然の話である。
「鳥栖や愛媛FCや水戸も自分たちより規模の小さいクラブから過去に選手をたくさん引き抜いているのでお互いさま」という考え方も出来るし、「Jリーグという枠組みの中で一緒に活動している同士なので特定のクラブから選手を大量に引き抜くのは良くない。」という考え方も出来るがこの件で個人的な意見を述べると「MF福満とMF前寛之はともかくとしてGK村上は獲らない方が良かったのはないか?」と思う。
当然、同じクラブから引き抜く人数が多くなればなるほど反発の声は大きくなる。MF福満やMF前寛之は福岡で主力級の活躍が見込める選手であり、J1でも十分にやれそうな選手なので、「獲得できる可能性があるのであれば何が何でも獲得したい選手」である。それに対してGK村上はそこまでの選手ではない。諸事情からキーパーの補強が必要だったのかもしれないが別のキーパーを選択するのがベターだったと思う。
・ 2019/06/04 「家庭の事情」というペッキア監督(アビスパ福岡)の退任理由にモやる。
・ 2019/10/10 【移籍市場】 2019年-2020年オフの補強ポイントについて考える。 (アビスパ福岡編)
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