■ 得点力不足だったファジアーノ岡山岡山は最終節まで(数字上は)プレーオフ進出の可能性を残したがラスト4試合で0勝2敗2分けと伸び悩んだのは痛かった。終わってみると6位の山形との差は「5」。あと少しのところでプレーオフ出場を逃した。昨シーズンは右肩下がりのシーズンで15位に終わっていることを考えると「6つも順位を上げることが出来た。」と言えるが得失点差がわずか「+2」だったことが響いた。上位11チームの中ではワーストだった。
42試合で49得点/47失点なのでJ2の上位クラブにしては得点数が少ない。FWイ・ヨンジェとMF仲間にかかる負担は大きかった。左SBは守備に特徴のあるDF廣木とDF椋原が主に起用された。左SBでスタメン起用された回数はDF廣木が26試合、DF椋原が7試合だった。他にはDF喜山がこの位置で6試合スタメン起用されているが左SBは今オフの補強ポイントだった。なのでDF徳元(FC琉球)を獲得できたのは大きい。
DF徳元は大卒2年目になるが2018年はJ3で31試合に出場した。今シーズンも左SBのレギュラーとして活躍した。この2年間で「J2の中でも上位クラスの左SB」と評価される選手になったが岡山にステップアップすることになった。大学は関東にある城西国際大になるが沖縄県出身である。チームのムードメーカーにもなっていたのでFC琉球にとっては痛い流出になる。沖縄出身の選手なのでなおさらである。
岡山はGK一森(→G大阪)の移籍が確定した。MF仲間も古巣である柏への移籍が濃厚になっている。FWイ・ヨンジェの動向はまだ流れていないが今年のJ2で目立った働きを見せた選手の何人かは流出するだろう。どちらかというとここまではネガティブな話題が多かったがようやくinのニュースが流れた。すでに有馬監督の続投が発表されているが来シーズンこそ、プレーオフ出場あるいはJ1昇格を果たしたい。
■ 「左利きで攻撃力の高い左SB」というのは本当に少ない。「早い段階でDF徳元を獲得できたのは岡山にとっては非常に大きい。」と言える。DF徳元は左利きでクロスの精度が高い左SBになるが今のJリーグで最も不足している系統の選手である。日本代表の左SBというと2008年からずっとDF長友がレギュラーを張っているがなかなか後継者は出てこない。左利きの選手で日本代表の左SBのレギュラーをつかんだのはオフトJAPAN以降ではDF三都主アレサンドロくらいである。
「左利きで攻撃力の高い日本人の左SB」は本当に少ない。J1のレギュラークラスに限定するとDF車屋(川崎F)、DF登里(川崎F)、DF太田宏(名古屋)、DF丸橋(C大阪)、DF小川諒(FC東京)、DF山中(浦和)、DF永戸(仙台)、DF松原后(清水)、DF藤春(G大阪)、DF高橋諒(松本山雅)、DF杉岡(湘南)、DF菅大輝(札幌)、DF三丸(鳥栖)くらいである。若手世代ではDF舩木翔(C大阪)やDF荻原(浦和)などがいるが人材は不足している。
岡山が所属するJ2だとさらに「左利きで攻撃力の高い日本人の優秀な左SB」の数は減少する。DF砂森(鹿児島)、DF香川勇(長崎)、DF徳元(FC琉球)、DF内田健(甲府)、DF内田裕(徳島)、DF堀米悠(新潟)、DF下平(千葉)、DF本多(京都)、DF志知(水戸)など数名程度である。J3ではDF光永(群馬)、DF高瀬(熊本)、MF麦倉(岩手)が今シーズンは目立った活躍を見せたが左SBを固定できずに弱点になっているチームは多い。
■ 左SBが流出すると穴を埋めるのは大変それ故にオフの移籍市場で「左利きで攻撃力の高い日本人の優秀な左SB」が流出してしまうと穴を埋めるのは大変である。昨オフの横浜FMは最終的にはDFティーラトンの獲得に成功したが年が明けてから不動の存在だったDF山中が浦和に電撃移籍することになった。Jリーグの中ではトップクラスの資金力やブランド力を持つ横浜FMなので何とかなったが普通以下のクラブだと致命的な穴になる可能性が高い状況だった。
「外国人のSBを獲得してもフィットできずに終わるケースが多い。」という点もJリーグで左SBの補強が難しい大きな理由の1つに挙げられる。DFエウシーニョ(清水)は川崎F時代に2年連続でベストイレブンに選ばれるなど大活躍しているが「攻撃力の高い外国人SB」のほとんどは守備の部分で穴になってJリーグのクラブでポジションを確保できない。右SBでもなかなか難しいが左SBになるとさらに難しくなる。
対してJリーグで人材が豊富なのは2列目のアタッカー系の選手である。2列目の選手がチームの顔であるケースは多いので「○○が流出してしまった。大丈夫なのか?」と心配されるケースは少なくないが「それなり以上のレベルのアタッカー」はたくさんいるので致命傷になることはほぼない。このポジションは海外のクラブに移籍する選手も多いが、かつてのC大阪しかり、「意外と何とかなるケース」がほとんどである。
以上を踏まえると「左SBにどんな選手を擁しているか?でチーム成績は大きく左右される。」という表現は大袈裟ではないだろう。「左SBの選手の出来やパフォーマンスにチームの成績は大きく左右される。」とも言える。他のポジションと比べると人材が不足しているが故に差が付きやすい。今シーズンの鹿島は左SBを固定しきれなかったが「J1の上位チームは高確率で優秀な左SBを擁している。」と言える。
■ 明確なストロングポイントになっているDF丸橋祐介「左SBが他クラブとの比較で明確なストロングポイントになっているチームの代表格」と言えるのはC大阪だろう。DF丸橋はクルピ監督時代の2010年の途中にC大阪の左SBのレギュラーを獲得したが、以後、ほぼ不動の存在になっている。2013年に経験豊富なDF新井場が鹿島から加入したときは地位を脅かされそうになったがポジションを明け渡すことはなかった。ほぼ10年、C大阪の左SBのポジションを確保している。
J2に降格した2014年のオフに流出の噂が流れた。スポニチは「鹿島の獲得が決定的 」と報じたがC大阪に残ることを決めた。過去を振り返ってみると主要なスポーツ紙が「○○の移籍は決定的」や「○○の移籍は決まった。」や「××への移籍は確実」と報じた場合はほぼその通りで移籍が決定する。95%以上の確率でその通りに移籍が実現するがこの時にDF丸橋が流出しなかったのはC大阪にとっては大きかった。
「左SBは専門職なので他のポジションでは起用しにくい。」という点も人材が少ない理由であり、補強が難しい理由に挙げられる。DF丸橋は2010年のMF家長が出場停止だった25節の新潟戦(H)で2列目で起用されているが左SB/WB以外のポジションで起用されたのはJ1やJ2の試合ではこの1回のみだろう。2010年代のC大阪が降格したシーズンを除くとJ1で安定した成績を残せたのはDF丸橋によるところが大きい。
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