■ プロ化の動きが進む中で・・・。女子サッカー界はプロ化に向けた動きが進んでいる。「2021年からプロリーグがスタートする。」と報じられているが11月16日(土)に1部の長野パルセイロ・レディースと2部のセレッソ大阪堺レディースの入替戦の2ndレグが長野Uスタジアムで行われた。1週間前にJ-GREEN堺で行われた1stレグはスコアレスドロー。勝負の2ndレグだったが前半46分にFW鈴木陽のゴールでホームの長野が先制に成功する。
C大阪堺Lは後半開始からMF百濃を投入。すると後半27分にMF百濃が右サイドを切り崩して最後はボランチのMF林穂之香が合わせてC大阪堺Lが1対1の同点に追いついた。アウェイゴールの差によって「このまま行くとC大阪堺Lの昇格」という状況になった。残りの20分ほどはエースのFW横山久を中心に猛攻を仕掛けた長野だったがC大阪堺Lは途中出場したFW野島を中心にうまく時計を進めて1対1で終了した。
C大阪堺Lは「1年での1部復帰」が決定した。長野は2016年に初めて1部に昇格していきなり3位と好成績を残したが2017年は6位、2018年は7位、2019年は9位。年々順位を落としてついに2部降格となった。なでしこジャパンでも主力として活躍しているFW横山久はこの日も先制ゴールをアシストするなど随所に違いを生み出したが彼女に頼りすぎた感は否めない。周りの選手のサポートはあまり多くなかった。
■ C大阪堺Lのスタメン11人の平均年齢は18.55才入替戦の2ndレグの模様は「ユーチューブのなでしこリーグチャンネル」で生配信されたが2019年11月20日の時点で視聴回数は18,638回なのでまあまあの数になる。一定以上の注目が集まったと思われるが「入替戦の2ndレグの緊張感」は独特である。これは男子でも女子でも日本でも海外でもほとんど変わらない。後半27分にC大阪堺Lが同点ゴールを奪ったことで劣勢だったC大阪堺Lが一気に有利な立場になった。
「アウェイゴール方式」という入替戦のルールの面白さ全開の試合展開になったがC大阪堺Lはとにかく若いチームである。最年長でもMF古澤の22才。スタメン11人の平均年齢は18.55才になる。10代の選手が半数以上の6人もスタメンに名を連ねたが左SBのDF小山に至っては2005/1/31生まれなのでまだ14才。「生きるか死ぬかの大一番で14才の選手が起用されて昇格に貢献できる。」というのは物凄い話になる。
今シーズンのC大阪堺Lは怪我人が続出して苦労した。「1年での1部復帰」を目標に掲げたが開幕から低調。エースのFW宝田がW杯メンバーにサプライズで追加招集されてW杯のピッチに立ったのはクラブとしての大きな一歩だったが終盤戦に怪我をしてFW宝田は離脱。得点源となる選手を欠く中で何とか終盤に勝ち点を重ねて2位に滑り込んだが入替戦は2試合ともに粘り強く戦って昇格の権利を手に入れた。
■ 自前の選手のみで戦うC大阪堺L「補強は行わずに自前の選手のみで戦っている。」というのがC大阪堺Lの大きな特徴になる。もちろん、他のクラブでプレーしていた能力の高い選手を下部組織にスカウトすることは珍しくないが他のなでしこリーグのクラブでプレーしていた選手を獲得したケースはまだ無かったはず。相当にレアな形でチームを作っているがなでしこリーグ1部で最下位だった2018年と比べると各々の選手が成長を遂げている。
なでしこリーグの1部で実績のある選手はほとんどいないが大半の選手は年代別代表に召集された経験を持っているエリート選手になる。チームの中心であるFW宝田、MF林穂之香、DF北村の3人は昨夏に行われた女子のU-20W杯の本大会で世界一に輝いた太JAPANの主力中の主力であり、FW宝田はシルバーボール賞(準MVP)を受賞している。最も期待を集めている女子のサッカー選手の1人に挙げられる。
すでに名前を挙げた左SBのDF小山は14才になるが、先日、行われた女子のU-16アジア選手権で優勝を果たしたU-16日本代表の主力の左SBとして活躍した選手になる。このチームは2003年生まれの選手が中心。2005年生まれなので「飛び級での選出」だったが攻守に貢献した。入替戦には出場できなかった15才のMF浜野も同じU-16アジア選手権ではエース格の働きを見せていアジア制覇の立役者になっている。
■ あってはならないミスFW宝田、MF林穂之香、DF北村、FW田中智、DF善積、DF田畑、MF浜野、DF小山などポテンシャルの高い選手が目白押しなので「若手軍団のC大阪堺Lが1部リーグでどんなプレーを見せるのか?」は来シーズンのなでしこリーグの大きな注目点になるだろう。日本の女子サッカーは若いパワーの台頭が必要な段階に入っているのでかき回して欲しいと思うが入替戦の2ndレグでは「なかなか見ないハプニング」が起こった。
後半のアディショナルタイムの表示は「4」だった。後半48分を5秒ほど過ぎた時点でC大阪堺LがCKを獲得。直後に一旦は試合終了のホイッスルが鳴った。C大阪堺Lの選手は集まってきて喜んだが「まだ時間が残っている。」ということで試合は再開された。結局、C大阪堺LのCKで試合は再開されて1分15秒ほどプレーは行われた。幸いにしてC大阪堺Lがほぼボールを保持したので大きな問題にはならなかった。
そのままC大阪堺Lが1対1のスコアを維持できたので事なきを得たが再開後に長野がゴールを奪っていたら相当に問題になっただろう。ホイッスルが鳴った後、もう一度、試合が行われる運びになったときもC大阪堺Lの選手は淡々としていたのでスタジアム内が不穏な空気になることも全くなかったがJリーグの試合で同じようなことが発生したらブーイングが鳴りやまない異様な雰囲気になっただろうと思われる。
「単なる主審の勘違いだったのか?」、「それ以外のところに理由があったのか?」は定かではないがあってはならないミスである。一度、試合終了のホイッスルが鳴って選手たちが喜んだ後、試合が再開されるというのはこれまでほとんど見た記憶はない。審判団の試合運営は少し残念だったが試合自体は面白かった。プロ化の動きに関しては否定的な見方をする人は多いがうまくいく可能性は意外にあると思う。
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