■ 史上最高に盛り上がらなかった日本シリーズプロ野球の日本シリーズはソフトバンクホークスの4連勝で幕を閉じた。これでソフトバンクホークスは3連覇達成となった。黄金期の西武ライオンズが1990年~1992年に達成して以来。ここ9年間で6度目の日本一となった。CSの初戦は東北楽天ゴールデンイーグルスに敗れたが、その後、10連勝。他を圧倒する展開になった。パリーグ王者の西武ライオンズとセリーグ王者の読売ジャイアンツをいずれもスイープした。
2013年以降はパリーグのチームがずっと日本一になっており、日本シリーズでの通算成績がついにセパで五分の成績になった。読売ジャイアンツがV9を達成するなど一時はセリーグが圧倒的に勝ち越していたが21世紀になってからはセリーグが5勝で、パリーグが14勝。パリーグが圧倒している。ただ、「セパの格差」というよりは「12球団の中でソフトバンクが頭一つ抜け出している。」と表現するのが適当だろう。
ソフトバンクホークスが日本一になるのは恒例行事になっていることもあって今年の日本シリーズも視聴率は芳しくなかった。1戦目が8.4%で、2戦目が7.3%で、3戦目が9.7%になる。日曜日の2戦目はラグビーのW杯の南アフリカ戦とバッティングしたので低視聴率になるのも仕方がないが1戦目と3戦目の低視聴率は深刻である。特に初戦の8.4%というのはあり得ないレベルの低さになる。記録的な低視聴率になる。
■ かつては国民的なイベントだったが・・・。「ラグビーのW杯が予想以上に盛り上がっていること」、「最終的にはソフトバンクホークスが勝つだろうと誰しもが予想してその通りの展開になっていること」、「拮抗した展開になっていないこと」の3つが今回の低視聴率の大きな理由と言える。また、ソフトバンクが出場した日本シリーズは、ほぼ毎度、低視聴率に終わっているので「九州以外でのソフトバンクの人気が今一つ」という点も多分に関係しているだろう。
巨人が日本シリーズに出場するのは2013年以来だった。「近年の日本シリーズの視聴率が良くないのは巨人が出場していないからだ。」、「プロ野球人気が極端に低下しているわけではない。」というのが野球ファンの一般的な見方だったので「巨人 vs ソフトバンク」という黄金カードで10%にも満たないというのは深刻である。「巨人が出場した日本シリーズでも視聴率を取れなかった。」というのは危機的である。
中学年代の野球人口がここ10年ほどで激減している状況を考えると、この先、さらに野球人気は低下していくと思うが、抜本的な改革はなされていない。プロ野球の日本シリーズというのはかつては国民的なイベントだった。昔は平日も休日もデーゲーム。昼間に試合が行われていたが「学校や会社でこっそりTVやラジオを付けて授業中や業務中に日本シリーズを観た(聞いた)」という人はたくさんいるだろう。
■ 「強すぎるホークス」が問題点野球界にとって痛恨なのは手の打ちようがない点である。今回のラグビーのW杯の日本代表の躍進のように国際大会で代表チームが活躍するようだと一気に注目が集まって盛り上がるが野球の世界でのW杯に相当するWBCはすでに2006年と2009年に2度制している。世界最高峰のMLBで活躍する選手も野茂やイチローなどすでに登場しており、「野球人気回復のための切り札」になりそうな要素はほぼない。
どちらかというと、「すでに切り札は全て切り終わった。」という状態である。ソフトバンクホークスの強さは、当分の間、続くと思われるが、ソフトバンクホークスが4連覇や5連覇を達成するようだと野球人気の低下にとどめを刺すことになるだろう。近年はFA選手などを乱獲しているわけではないのでソフトバンクホークスを批判するのは筋違いになるが「強すぎるホークス」がプロ野球界の最大の問題になっている。
ソフトバンクホークスがかつての巨人のようにFA選手を乱獲するなど無茶な補強を繰り返しているようだと「アンチ」が増えて注目する人も多くなると思うがエースの千賀や正捕手の甲斐や代走のスペシャリストの周東などは育成契約から這い上がって来た選手である。どの分野でもアンチファンの熱意は物凄いものがあるがまっとうな形で戦力を補強して強さを維持しているチームなので「アンチ」も生まれにくい。
■ Jリーグにとっては大きなチャンス野球人気あるいはプロ野球人気の低下はサッカー界にとってはプラスになることが多い。近年の年代別代表はサイズがあってフィジカル能力の高い選手が一気に増えているが「野球人気の低下によって従来であれば野球の方を選択していただろうフィジカルエリートがサッカーを選択するケースが多くなっていること」が最大の要因と考えられる。やはり、日本においてフィジカルエリートの数というのは限られる。
「イニエスタ効果」もあってJ1の1試合平均の観客動員数は史上最多になる可能性が高まっているがJリーグにとっても大きなチャンスがやって来た。Jリーグにとってプロ野球は、長い間、「到底かなわない相手」だったがここ数年で一気に差が縮まった。Jリーグならびにサッカー界には「打てる手」がいくつも残っていることを考えると「Jリーグがプロ野球を追い抜く時代」が到来しても不思議はない状況になっている。
野球とサッカーは日本における2大人気プロスポーツになるが、今、どちらの方が人気があるのか?というとかなり微妙である。「日本代表というキラーコンテンツを持つサッカーの方が上なのでは?」という気もする。これも10年ほど前までは考えられないことだった。Jリーグが誕生して日本代表がW杯に出場するようになってからも「野球>>>>>>サッカー」という構図は変わらなかったがここ10年で大きく変わった。
Jリーグやサッカー界が少しずつ成長を続けて、プロ野球や野球界が一気に衰退してきたことが差が急激に縮まった大きな理由になるが、Jリーグやサッカー界は今のチャンスを生かさないといけない。「いろいろなスポーツが共存していく。」というのが、一番、平和な道ではあるがなかなか難しい。Jリーグやサッカー界には追い風が吹いているがこれからの数年は特に大事な時期になる。勝負の時期がやって来た。
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