■ 上位対決に敗れて大きく後退・・・。水戸はJ2が創設されて2年目となる2000年からずっとJ2に所属している。今年でちょうど20年目になるが「J2での所属年数」は最長になる。2000年のJ2は11チームが参加して4回戦総当たり方式でリーグ戦が行われたので各チームは年間で40試合を戦っているが2000年にJ2に所属した11チームの中でJ1に昇格した経験がないのは水戸のみとなる。ちょっと時間がかかった甲府や山形や鳥栖などもJ1初昇格を済ませた。
J2最古参チームになったので水戸のことを「兄貴」と呼ぶ人もいるが今シーズンは初昇格の最大のチャンスを迎えている。開幕から12試合負けなしと突っ走った。ただ、ここに来てやや失速気味。直近の35節は2位の大宮との上位対決だったが前半に2ゴールを奪いながら後半に3連続失点して逆転負け。あのまま勝っていたら大宮を順位の上で抜くことが出来たがまさかの逆転負け。2位の大宮との差は「6」まで広がった。
残りは7試合となるが自動昇格は難しくなってきた。甲府にも抜かれて7位に転落したが「水戸が7位以下に落ちるのは今シーズン初めて」になる。開幕から12試合負けなしだったので当然の話ではあるが開幕からずっと上位をキープして来た。「水戸にJ1に昇格してほしい。」と願っている中立の立場のサッカーファンは少なくないと思うがプレーオフ出場も危ぶまれる状況になってきた。踏ん張りどころを迎えている。
■ 契約上の問題で2人は出場不可大一番となった35節の大宮戦(H)は前半21分と前半41分にゴールを奪った。大宮を圧倒する形で前半を終えたがFWフアンマ・デルガドの投入によって流れは大きく変わった。後半8分に生まれたMFイッペイ・シノヅカのゴールで完全に大宮がペースを握ることになったが前半の水戸のサッカーは素晴らしかった。「後半の大宮の出来が素晴らしかったこと」が逆転負けの理由と言えるが何とも悔やまれる敗戦である。
試合前に不安視されていたのは大宮からの期限付き移籍となるFW黒川とFW清水慎が契約上の問題で出場不可になる点である。五輪世代のFW黒川は33試合で7ゴールを挙げている。攻撃の中心になっている。FW清水慎は30試合で5ゴール。FW小川航が加入してからはベンチスタートになるケースが増えているが途中出場でも流れを変えることができる貴重なカードである。重要な選手が2人も使えなかった。
ただ、2人がいたらスタメンでは起用されなかった可能性が高い大卒ルーキーのFW村田航がスタメンで躍動。五輪代表のFW小川航以上の存在感を発揮した。前半の水戸は2ゴールを奪ったが彼の活躍は目立った。FW村田航が活躍したのでFW黒川とFW清水慎の穴はそこまで感じずに済んだが逆転された直後に投入されたMF浅野雄がほとんど活躍できずに終わったことを考えると影響がなかったとは言えないだろう。
■ FW黒川は出場停止だったが・・・。2人とも大宮から借りている選手なので「仕方がない。」というしかないがベストメンバーで戦えなかったのは残念だった。水戸のようにレンタル組が中心となるチームの宿命ではあるがFW黒川については1つ前の34節の新潟戦(A)で今シーズン4枚目のイエローを受けているのでレンタル元のクラブである35節の大宮との試合はそもそも出場停止だった。(※ 同じ新潟戦(A)で途中出場したFW清水慎の累積は2枚になる。)
「次の試合に契約上の問題あるいは代表招集によって出場できないこと」が確定している場合、すでに3枚のイエローカードを持っている選手が(意図的に?)イエローカードを受けて「自分が出場できないことが確定している試合が出場停止の試合になるように調整をして累積のイエローカードをリセットする。」というのはよくある話である。FW黒川は出場停止にリーチがかかっていたがこれでゼロに戻すことが出来た。
こういうケースで思い出されるのは大分時代のGK西川の「わざとイエローカードをもらいました事件」になる。北京五輪のメンバーに選出されたので次の試合からしばらくの間不在となるGK西川は出場停止にリーチがかかっていたが五輪前の最後の試合の後半44分に遅延行為でイエローカードを受けて目論見どおりに翌節は出場停止。試合後にブログに「わざとイエローカードをもらいました。」と記述して批判を浴びた。
■ 「わざとイエローカードをもらいました事件」2008年の北京五輪の直前の時期であり、五輪代表の正キーパーであるGK西川の軽率な告白だったので大きな騒動に発展した。GK西川は大きな批判を浴びたが、その後、馬鹿正直に「わざとイエローカードをもらいました。」と告白した選手は少なくともJリーガーでは1人もいないはず。そのパターンでイエローカードを受けた選手には試合後に余計なことを言わないようにクラブ関係者は念入りに忠告するはずである。
「試合中にわざとイエローカードをもらうのは良くない。」という意見もあるとは思うが個人的には許容範囲だと思う。当然、好ましいことではないが出場停止にリーチがかかっている状態と完全に累積がリセットされた状態では精神的にも大きな違いが生まれる。そして、そもそもとしてGK西川のように馬鹿正直に告白しなかったら「意図的なのか?否か?」は判断・区別はできないことを考えると黙認するしかない。
「出場停止にリーチがかかっていること」と「次の大宮戦(H)がプレー不可であること」の2つの理由から「FW黒川は34節の新潟戦(A)で意図的にイエローを受けて次の大宮戦(H)が出場停止になるように調整するだろう。」と思っていた。新潟 vs 水戸の試合はフルタイムでは視聴しておらず、試合後に結果を確認をしただけになるが「ああ、やっぱりそうか。」と思って実際の映像もチェックしたが詳細は予想と違った。
■ 意図したイエローカードではなかった可能性も・・・。意図的にイエローカードをもらいやすいのはどう考えても遅延行為である。大きな問題になったGK西川のときも遅延行為によるイエローカードだったが今回のFW黒川のイエローカードは「C1 : 反スポーツ的行為」だった。後半39分にイエローカードを受けているがボールを持っているDF舞行龍ジェームズへのファールが原因だった。「C5 : 遅延行為」でのイエローカードではなかった点にはかなり驚いた。
この試合の水戸は前半4分に失点をして、その後、ずっと0対1のスコアが続いた。後半のアディショナルタイムにFWレオナルドが2ゴールを奪って最終的には0対3で敗れているが負けているチームが遅延行為でイエローカードを受けるのはなかなか難しい。当然、試合の中で早い時間帯でイエローカードを受けると不利なので出来る限り、後半の終盤にイエローカードをもらいたいが、目論見どおりには話は進まない。
遅延行為でイエローカードを受けるのはリードを奪っているチームの選手が多い。ただ、「引き分けでも十分」という空気になったときはタイスコアでも遅延行為によるイエローカードは出される。そして、負けている側だからといって遅延行為でのイエローカードが出されないわけでは全くない。「何で負けている側に遅延行為のイエローカードを出すんだ。」と主審の判断が理不尽に批判されるケースは多々ある。
本心を明らかにしたら当時のGK西川と同じでバッシングを浴びることになると思うので推測するしかないがこの場面でのFW黒川はがっつりDF舞行龍ジェームズにチャージをしている。危ないプレーだったのでDF舞行龍ジェームズは激怒をして、激怒されたことにFW黒川も激怒して我を忘れたかのような態度になっている。そして、主審からイエローカードが提示された直後にも主審に詰め寄って激しく文句を言っている。
「4枚目のイエローを受けること」はこの試合におけるFW黒川のミッション(?)だったと思うので後半39分という「いい時間帯」でイエローカードをもらうことが出来たのは良かったと思うが一連のプレーならびに態度から「実は意図的にもらったイエローカードではなかったのではないか?」という疑問がわいてくる。逆に激怒したことまで計算済みで意図したものであったならばかなりの役者である。果たして・・・。
※ DF舞行龍ジェームズへのファールは危険だったのでDF舞行龍ジェームズが激怒するのは当然。良くない種類のファールだったのは間違いない。イエローカードが出るのは当たり前。
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