■ 9試合ぶりの勝利を挙げた浦和レッズ2018年に続いて今シーズンもJ1の残留争いは大混戦になっている。「9位の神戸よりも下の10チームが残留争いの真っ只中にいる。」と言えるので、毎節、必ず、1試合は残留争いの直接対決が行われることになる。27節は松本山雅 vs 仙台、浦和 vs 清水の2試合が「残留争いの直接対決」だったが松本山雅 vs 仙台は1対0でアウェイの松本山雅が勝利した。「J1残留」に向けて大きな勝ち点「3」を獲得した。
一方、浦和 vs 清水は2対1でホームの浦和が逆転勝利を飾った。前半19分にFWドウグラスに先制ゴールを許したが前半47分にFW興梠のゴールで1対1の同点に追いつくと後半30分にはMF橋岡がハーフボレーで鮮やかなゴールを決めて逆転に成功した。勝利した浦和はリーグ戦では実に9試合ぶりの勝利となった。リーグ戦では7月20日(日)に行われた20節の磐田戦(A)以来なので2か月半ぶりの勝利となる。
浦和は10位まで浮上した。今節は16位の鳥栖と17位の松本山雅が揃って勝利したのでその差を広げることは出来なかったが10位まで浮上できると少し安心できる。残り6試合の対戦相手は大分(H)→鹿島(A)→広島(A)→川崎F(H)→FC東京(A)→G大阪(H)なのでほとんどが上位との試合になる。相当に厳しい日程になることを考えるとここで勝ち点「3」を獲得できたのは大きい。「J1残留」に大きく前進する勝利となった。
清水は勝って勝ち点「38」にすることが出来たら残留争いから抜け出せる可能性もあったが逆転負け。16位のチームとの差が「7」から「4」に縮まったことで、再び、プレッシャーのかかる状況になった。ロングスローから前半19分に先制に成功。1対0とリードを奪ってハーフタイムに突入できそうな状況だったが後半のラストプレーで同点に追いつかれてしまった。FW興梠のゴールで試合の流れはガラッと変わった。
■ いくつかのミスが重なった末の失点FW興梠のダイビングヘッドは鮮やかだった。MF橋岡のクロスもほぼ完璧だったが清水にとってはいくつかのミスが重なった末に許した同点ゴールだった。清水はJ1の18クラブの中でダントツに失点数が多いチームなので1対0とリードを奪ってハーフタイムに突入できたとしてもそのまま逃げ切れる可能性はあまり高くないがそれでも「1対0で前半を終える」のと「1対1に追いつかれて前半を終える」のは大違いである。
そもそもの原因は前半終了間際に相手にCKを与えたプレーになる。DF二見のプレーがやや中途半端になって相手にCKを与えることになった。クリアだったのか?キーパーへのバックパスだったのか?ははっきりしないが、いずれにしてもやや安易にCKを与えてしまった。ただ、CKはDF槙野のヘディングシュートがキーパーの真正面に飛んだことで失点にはつながらず。フリーでシュートを打たれたが幸運だった。
時間の話をすると浦和がCKを得たのは44:57あたり。前半のアディショナルタイムの表示は「1」だった。キッカーのMF長澤は「このCKがラストプレーになる。」と考えたのだろう。CKを蹴るまでにかなりの時間をかけた。MF長澤がボールを蹴ったのは45:32あたりだった。DF槙野のヘディングシュートが清水のキーパーのGK大久保の真正面に飛んでGK大久保が難なくキャッチをしたのは45:35あたりの話になる。
ボールをキャッチした後、倒れ込んだGK大久保はゆっくりと立ち上がって近くの味方にボールを出すふりをしたがロングキックに切り替えた。GK大久保がロングキックを蹴ったのは45:45あたり。結果論になってしまうがこの場面でGK大久保はもう少し時間をかけても良かった。「GK大久保がロングキックを蹴って空中にボールがある時に前半終了のホイッスルが鳴る。」という状況に持っていくことも可能だった。
■ 防ぐことが出来た失点だった。ただ、GK大久保のロングキックは精度が高くて左サイドを走ったMF金子翔のところにしっかりと届いた。MF橋岡との競り合いを制してMF金子翔はマイボールにすることに成功した。身長差やフィジカル差が大きいMF橋岡とのマッチアップだったことを考えるとこの場面でのMF金子翔のプレーは非常に良かった。体の使い方は巧みだった。MF金子翔が相手を背にしながらボールをキープしたのは45:53あたりの話になる。
近くにいたFWドウグラスがサポートをしてサイドで2対1の形になった。左サイドの裏のスペースに飛び出したFWドウグラスに対してMF金子翔はヒールでパスを出した。FWドウグラスが左サイドでボールを受けたのは45:55あたり。このままFWドウグラスが保持していたらほぼ間違いなく直後に前半終了のホイッスルが鳴ったと思うがFWドウグラスはMF金子翔にヒールパス。このプレーがターニングポイントになった。
MF金子翔へのヒールパスだったと思うがリターンが来るとは思っていなかったMF金子翔は反応できず。近くには清水の選手は誰もいなくて戻って来た浦和のボランチのMFエヴェルトンがボールを拾って左サイドに展開して浦和のカウンターが始まった。そのままの流れからFW興梠がダイビングヘッドを決めて浦和がラストプレーで1対1の同点に追いついたが清水にとっては「防ぐことが出来た失点だった。」と言える。
■ ワンプレーで流れが大きく変わる。MF金子翔とFWドウグラスの連続ヒールパスが浦和のカウンターの起点になっているが「ヒールパスが駄目」とは個人的には思わない。最上級生ではない中高生のサッカー部員が練習中にヒールパスを使うと「調子に乗るな。」と先輩から怒られるケースもあると思うが成功したら高確率で相手の意表を突くことが出来るプレーであることを考えると中高生であってもプロ選手であっても批判されるべきではないと思う。
特にMF金子翔のヒールパスはしっかりと味方に渡っており、かつ、よほどのことがない限りは相手にカットされることはない「確率の高いヒールパス」だった。よってMF金子翔のヒールパス自体には何の問題もないと思うが、やはり、FWドウグラスのヒールパスは問題である。今のスコアと残り時間を考えると「全くする必要がないヒールパス」だった。「ハイリスクであり、ローリターンなプレーだった。」と言える。
普段のFWドウグラスはクレバーな選手であることを考えると「魔が差した。」と言うしかないプレーになったがボーンヘッドに近い。「MF金子翔にリターンパスを出してMF金子翔がミドルシュートを打つ。」というプレーをイメージしたのかもしれないが状況的にはその必要性は全くない。FWドウグラスの理解に苦しむ判断が同点ゴールにつながった。ワンプレーで流れが大きく変わるのはスポーツの怖いところである。
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