■ 史上最多となる4度目のアジア制覇タイで行われた女子のU-16アジア選手権の決勝戦は日本と北朝鮮の対戦となった。この大会は今回で8回目となるが過去の優勝回数は日本も北朝鮮もともに3回ずつ。北朝鮮は7大会連続で決勝に進出している強豪国になる。日本にとっては難しい試合になる可能性が高かったが前半9分にPKで失点。リードを許す展開になった。相手キーパーからのロングボールへの対応がマズくて最後はファールで止める形になった。
いきなり先制ゴールを許す展開になったが前半19分に鮮やかコンビネーションから中央を突破すると最後はゴール前にフリーで上がっていたボランチのMF天野紗(INAC神戸レオンチーナ)が左足で流し込んで1対1の同点に追いつくと直後の前半23分には左サイドでFKを獲得するとこぼれ球をCBのDF林愛花(JFAアカデミー福島)が得意の右足で豪快なミドルシュートを決めてあっという間に2対1と逆転に成功する。
その後は危ないシーンの連続になった。前半30分には最終ラインを崩されて北朝鮮の選手がフリーでシュートを放ったが最初は右ポストに直撃。跳ね返ったボールが横方向に飛んで行ったが今度は左ポストに直撃。ポストに救われる形になった。後半21分にも最終ラインを崩されてキーパーと1対1の決定機を作られたが北朝鮮の選手の放ったループシュートは勢いがなくて懸命に戻ったGK野田がキャッチに成功した。
■ 気になったのは北朝鮮の選手の態度の悪さいくつかの幸運にも助けられて日本はこの年代の女子の大会としては最多の4度目となるアジア制覇を達成した。来年の11月2日~21日にかけてインドで開催されるU-17W杯の本大会の出場権を獲得することが出来たが今回は招集できなかったボランチのMF木下などが加わるようだとさらに強力なチームになる。日本は過去に2014年のU-17W杯を制覇しているが「2度目の世界制覇」というのが新しい目標になる。
5試合で21得点/1失点なので素晴らしい戦いを見せたが相手の北朝鮮も5試合で21得点/2失点。日本に負けないほどの数字を残している。先のとおり、7大会連続の決勝進出というのは大会ごとに選手が大きく入れ替わることを考えるとあり得ないレベルの話である。北朝鮮の女子選手の特徴になるがパワフルでタフに戦える選手が揃っており、どの世代も日本の選手は北朝鮮の選手の持つパワーに苦労する。
この年代のアジアの女子の代表チームは完全に「日本と北朝鮮の2強」になっている。どちらも世界大会でも上位の常連になる。いいライバル関係と言えるが、いつも残念に感じるのは北朝鮮の選手は態度があまり良くない点になる。試合に負けた後なので複雑な心境だったのは理解できるが恒例になっている「試合後の選手と審判団のハイタッチ」の場面でも審判団に目を合わせることなくぶっきらぼうだった。
対してU-16日本代表の選手は試合後にハイタッチをするときはしっかりと審判団の方を向いてからお辞儀をして簡単なお礼の言葉を発している選手がほとんどだった。もちろん、日本の選手は試合に勝って優勝を決めた直後であり、北朝鮮の選手は試合に敗れて優勝を逃した直後なので、その違いはあるとは思うが、仮に試合に負けた後でも日本の選手は審判団に対しては敬意を払って丁寧に対応したはずである。
■ 人間的には日本の選手の方がはるかに上さらに、その後、日本の選手は全員で北朝鮮側のベンチならびに応援席の前に行って挨拶をした。「ありがとうございました。」と相手方にもお礼を言って引き上げるというのは日本の学生スポーツでは恒例になっているがそのときも北朝鮮の控え選手ならびにスタッフはほぼ無反応だった。スタッフの1人と選手の1人が拍手をしかけたがすぐにやめてしまった。無表情のまま、同じようにぶっきらぼうな態度だった。
言うまでもなく北朝鮮というのは特殊な国である。「日本という国」に対して彼女たちがいいイメージを全く持っていないことは容易に想像できる。むしろ、「敵国」と認識しているとは思うが、それでも同じ年代で同じようにサッカーを頑張っている同士である。ずっとアジアの中であるいは世界の中で競い合ってきたライバルであることを考えると試合の直後くらいはもっと穏和な態度を見せてもいいのでは?と思う。
スポーツ界では「運をつかむために、毎朝、トイレ掃除をする。」という選手が多いと聞く。完全にダジャレの世界であり、神頼みとあまり変わらない。トイレ掃除をしているからといってプレーに関して何かが変わるわけではないとは思うが「真摯に頑張っている選手」や「真面目に取り組んでいる選手」や「常に審判団や相手に敬意を払っているプレーしている選手」には幸運が訪れる確率がちょっとだけ高まると思う。
オカルト的な話になってしまうが前半30分に北朝鮮の選手が放ったシュートが2度ポストに当たってノーゴールになったプレーは審判団や相手の選手など関わる人全てに敬意を払って対応して来た日本の選手へのご褒美だと思う。対して、そうではなかった北朝鮮の選手にはサッカーの神様は味方をしなかった。最終的なスコアは2対1と僅差だったが人間的には日本の選手の方がはるかに上だった。立派な優勝だった。
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