■ 王者のアメリカには大敗自国開催だった2006年以来のW杯出場を果たした男子のバスケットボールの日本代表だったが初戦はトルコに敗れて、2戦目はチェコに敗れて、3戦目はアメリカに敗れた。結局、3戦全敗。W杯は順位決定戦が行われるので3戦全敗の日本は「17位-32位決定戦」に進むことになるが9月7日(土)にニュージーランド、9月9日(月)にモンテネグロと対戦することが確定した。初勝利を目指してニュージーランドと対戦する。
3戦目のアメリカ戦は地上波で生中継された。バスケットボールの試合が民放の地上波で放送されるのはかなり珍しいが45-98で大敗した。スーパースターが軒並み不在のアメリカは「史上最弱のアメリカ代表」とも言われており、実際に2戦目のトルコ戦は93-92の辛勝だった。トルコがフリースローを連続で外さなかったらトルコが大金星を獲得していたので薄氷を踏むような試合になったがOTの末に競り勝った。
アメリカ戦は53点差での敗戦となったが力の差を見せつけられる試合になった。アメリカもフリーの3Pの成功率があまり高くなかったのでこれからの戦いが不安視される出来だったが難なく日本を下した。「40点差以内であれば大健闘」と言えたが53点差になると健闘したとは言いにくくなる。馬場などが奮闘したがエースの八村塁はわすか4得点のみ。相手の徹底マークにあって本来のプレーは全くできなかった。
■ フランスW杯の日本代表との共通点は・・・。「17位-32位決定戦」は残っているがこれまでの3試合と同じテンションでここからの試合を戦うのは難しいだろう。「17位-32位決定戦」に回ったチームはどこもこれから先のことを考えた選手起用ならびに戦い方になると思うが「期待されたW杯で3戦全敗に終わった。」というのは1998年のフランスW杯に出場した岡田JAPANと同じである。今のバスケの日本代表と当時の岡田JAPANの共通項は確かに多い。
いくつか書き出すと
・プロ化をしてから数年しか経過していないこと。
・劇的な大逆転劇でアジア予選を突破していること。
・自国開催の大会を控えていること。(バスケは東京五輪、サッカーは日韓W杯。)
・新しいスターが登場して注目度が高まっていたこと。(バスケは八村塁、サッカーは中田英寿。)
・期待されながらも3戦全敗に終わって世界との差を痛感する結果になったこと。
などは同じである。サッカーの日本代表は4年後の日韓W杯ではベスト16入り。2010年と2018年のW杯でもベスト16に入った。「直近の6大会のうち、3度もGLを突破する」というのは偉業である。「今回のW杯はサッカーでいうフランスW杯である。なので、日本サッカーがフランスW杯からの20年数年で大きく成長したように日本バスケもこれから大きく成長するだろう。」と考える人は少なくないようだ。
■ フランスW杯の日本代表との相違点は・・・。確かに共通項は少なくないが「さすがにバスケファンの考え方は甘すぎないか?」と個人的には思ってしまう。間違いなく八村塁は(現時点でも)日本バスケ史上最高の選手である。彼に加えて渡邊雄太やニック・ファジーカスなどがいる今の日本代表は史上最強だと思うが同じ3連敗でもフランスW杯のときの岡田JAPANは3試合とも1点差負け。初戦のアルゼンチン戦と2戦目のクロアチア戦はどちらも0対1の惜敗だった。
当時、岡田監督は「1勝1敗1分けを狙う。」とコメントしたが初挑戦のW杯ということを考えると3試合で1得点/4失点というのは決して悪くない。最終的にクロアチアが3位になったことを考えるとなおさらである。対して今回のバスケの日本代表は188得点/273失点になる。アメリカ戦の「-53」が響いているとは言っても得失点差は「-85」である。初戦のトルコ戦と2戦目のチェコ戦だけに限定しても「-32」になる。
13点差負けだった2戦目のチェコ戦は悪くない試合だったが初戦のトルコ戦と3戦目のアメリカ戦は自分たちの良さを出せずに敗れていることを考えると「惜敗だった。」とは言い難い。同じ3連敗でも今回の男子バスケの3連敗と当時の岡田JAPANの3連敗の意味は大きく異なると思うが、さらに付け加えると「男子バスケがW杯に出場するのは今回が初めて」ではない。その点も両者の大きな相違点になる。
■ 当時のJリーグはどん底だった。他には当時のJリーグはどん底だった点である。1993年に華々しくスタートしたJリーグだったが不況の影響もあって経営難に陥るクラブが続出。フランスW杯出場を決めた1997年のJリーグの1試合平均の観客動員数は10,131人だった。今シーズンは「Jリーグ史上最高となる1試合平均の観客動員数」を記録するのが確実視されるが今と比べるとほぼ半分。大盛況と言われる今のBリーグとは置かれた状況は異なる。
「自分たちが結果を出さないとJリーグは潰れるかもしれない。」という強い危機感は当時の代表選手のエネルギーになったがフランスW杯の2年前に行われたアトランタ五輪では初戦でブラジルを撃破するなど若い世代には期待が持てる状況だった。フランスW杯の翌年に行われたワールドユースでは準優勝に輝くなど「優秀な若手がたくさんいたこと」が日韓W杯での躍進ならびにその後の成長につながっている。
23歳以下+OAで挑んだ2000年のシドニー五輪もベスト8に入っているが「今の男子バスケ界に八村塁や渡邊雄太などを超える若手の逸材がいるか?」というといない。彼らに匹敵する素材も現状は見当たらない。W杯での3連敗によってこれからはネガティブな報道も多くなるだろう。今度こそ、結果が求められる東京五輪まであと1年を切ったが4年の準備期間があった当時の日本代表と比べると時間は不足している。
ワシントン・ウイザーズに加入した八村塁がNBAでのプレーを経験して大きく成長するのは間違いないと思うが現状で大きなプラスになりそうなのは「八村塁の成長」くらいである。1998年のフランスW杯~2002年の日韓W杯までの4年間に話を限定してもサッカー界は多くの苦労をしてようやくたどり着いた日韓W杯のベスト16だった。「サッカーと同じ道をたどることが出来る。」と考えるのは楽観的過ぎると思う。
・2019/09/02 【実況アナウンサー】 青嶋達也さんがうるさすぎて不快だった件
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