■ 去年の12月24日に救急搬送される。川崎F・C大阪・大宮・札幌・熊本で活躍したDF横山知は184センチの長身であるにもかかわらず、足元の技術が高い選手として知られている。「ソフティ」というニックネームが付けられるほどボールタッチが柔らかい選手である。ボランチとCBの両方を高いレベルでこなせる選手なのでどのチームでも貴重な戦力になった。大宮時代の2015年にはJ2で41試合に出場。「1年でのJ1復帰」に大きく貢献している。
2017年に札幌に期限付き移籍するとJ1で26試合に出場した。主に3バックの中央で起用されて「J1残留」に大きく貢献した。2018年の夏にJ2の熊本に移籍して救世主になることが期待されたが本来のプレーは出来ず。チームはJ3降格となって契約満了となった。実績のある選手なので「次の移籍先はすぐに見つかるだろう。」と思われたが、昨オフ、なかなか所属先決定のニュースが流れなかった。
驚きのニュースが飛び込んできたのは年明けだった。2018年12月24日の夜に体調不良になって病院へ救急搬送されて脳内に腫瘍が見つかって12月31日に手術を行ったことが明らかになった。当時は33才。当然のことながら、「アスリートは病気にはかからない。」とは全く言えないが、一般人と比べるとはるかに健全な生活を送っているだろうアスリートが「病気になった。」というニュースを聞くのはツライことである。
■ DF横山知の忘れられない試合その後、再入院をするなどリハビリ生活を続けてきたが、先日、朗報が流れた。8月20日(火)に元・所属クラブの札幌の練習に飛び入りで参加した。当初の予定は「病状回復の報告のため」だったというが、ペトロヴィッチ監督の計らいで練習着に身を包んでボール回しまで参加したと報じられた。練習参加はサプライズだったと思うが本人は「すごい有意義な時間を過ごせて良かった。楽しかった。」とコメントしている。
彼の練習参加を報じた記事の中には「現在は、週に4~5日程度、母校である帝京高の練習に参加している。」、「手術前と同じ練習ができるまで回復している。」と報じられている。手術をしたのが昨年の大晦日なのでまだ8か月弱しか経過していないがプロのサッカー選手としてピッチに復帰できそうなところまで回復しているようだ。最近のサッカー界はいいニュースが多いがその中でも最高級にいいニュースである。
DF横山知に関する個人的な一番の思い出はC大阪時代の話になる。C大阪でプレーしたのは2012年と2013年の2年間のみ。DF横山知というと川崎Fや大宮や札幌のイメージが強くて「C大阪にいた記憶は全くない。」という人も多いと思うが2012年のC大阪の「J1残留」に大きく貢献している。この年のC大阪は最終節まで残留争いに巻き込まれたがDF横山知が最終節で2ゴールをゲット。J1残留の立役者になった。
最終的にはC大阪と新潟がJ1残留を達成してG大阪と神戸がJ2に降格するという結果になったがこの試合を長居スタジアムで実際に観ているので特に印象に残っている。結局は15位の神戸も16位のG大阪も敗れたのでC大阪は負けていてもJ1に残留することはできたが後半50分にDF横山知の同点ゴールが決まるまでは「このまま負けたらC大阪はJ2か・・・。」と思いながら試合を観ていたことを記憶している。
■ 古巣である札幌の温かいサポート他会場の磐田 vs G大阪、神戸 vs 広島、新潟 vs 札幌の試合経過を全く知らなかったので試合終了後にG大阪(と神戸)がJ2に降格したことを知ったときはかなり驚いたが、そういう思い出のある選手なので、もう一度、Jリーグのピッチでプレーしている姿を観たい。34才になったので大ベテランの域に入っているがサイズとテクニックと経験値を持った選手なので彼の力が大きな助けになるクラブはたくさんあると思う。
もちろん、健康が第一である。具体的にどんな状況なのか?どんな症状だったのか?は分からないが、腫瘍というのは再発することもあると言われている。仮にサッカー選手あるいはJリーガーとして復帰できなかったとしてもこれまで素晴らしいサッカー人生を歩んできた選手なので悔いはないはず。無理はしてほしくないがサッカー選手あるいはJリーガーとして復活できればいろいろな人の励みになるだろう。
わずか8か月弱でここまで回復できただけでも素晴らしい話だと思うが、DF横山知の病気に関するコンサドーレ札幌のクラブとしての動きや働きかけというのは同じように素晴らしい。サポーターの中心メンバーが、毎試合、「頑張れ横山知伸 回復を祈っている」という横断幕を掲げているが、札幌ドームでのホーム戦のときはかなり目立つ位置にこの横断幕を掲げている。闘病中の選手にとっては本当に嬉しい話である。
「毎試合、横断幕を掲げる。」というのは簡単に出来ることではないが、さらに5月にはDF横山知を支援するための募金活動も行っており、今回は、先のとおり、練習参加を受け入れた。彼の人柄の良さなども大いに関係していると思うが、これだけ元・所属選手に対して応援を続けたり、サポートを続けるケースは珍しい。近年の札幌はJ1で存在感を発揮しているがピッチ外でも模範となるようなクラブになりつつある。
→ 2012/12/03 【C大阪×川崎F】 長居の歓喜 (生観戦記・上)
→ 2012/12/04 【C大阪×川崎F】 長居の歓喜 (生観戦記・下)
→ 2012/12/04 【C大阪×川崎F】 長居の歓喜 (生観戦記・中)
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