■ 神戸のアウェイ動員力が凄まじい。「Jリーグの銀河系軍団」と言われて開幕前から特大級の注目と期待を集めた神戸だったが22節を終えた時点では6勝11敗5分けで勝ち点「23」。15位と低迷している。クラブ史上3度目となるJ2降格の危機を迎えているが神戸の試合はホーム戦もアウェイ戦は大盛況。相手チームは普段以上のモチベーションで試合に挑んでくる。毎試合、テンションの高いチームを相手に戦うのはなかなか大変なことである。
その点は気の毒に感じるが今シーズンのホーム戦の平均観客動員数は21,342人になる。ノエビアスタジアムの収容人数は28,569人とされているが今シーズンのMAXは9節の川崎F戦の25,929人。最低は7節の広島戦の17,708人になる。13節の湘南戦も18,091人なので「ノエビアスタジアムで行われるホーム戦は常に大入り満員」というわけではなさそうだが、アウェイ戦の平均観客動員数は驚異の31,003人となる。
18チーム制になった2005年以降で「アウェイ戦の平均観客動員数が最多」となるのは2007年の浦和で31,507人。3万人を超えているのはこの年の浦和のみとなる。つまり、今年の神戸のアウェイ動員力は2005年以降では2番目の凄さということになるが、残りのアウェイ戦は鳥栖・川崎F・広島・名古屋・鹿島の5試合。広島戦と鹿島戦の動員次第では「浦和を抜いて最多の数になる可能性」も十分にある。
■ 史上最多の理由は?神戸の動員力の凄まじさによるところは大きいが、今シーズンのJ1全体の1試合平均の観客動員数は22節を終えた時点で21,122人。過去最高は1994年の19,598人になるが過去最高の数字を大きく上回って史上最多となる。J1の1試合平均の観客動員数は19,000人台という年が過去に5回もある。どういうわけか、このあたりで頭打ちになってなかなか2万人をクリアできなかったが、2万人超えは確実な情勢である。
過去の数字を見ていくと平日開催の試合は観客動員数がガクッと落ちるが今シーズンは「水曜開催の節」が1つもない。この点は大台突破に大きく関係していると言える。「2万人超え」というのはJリーグにとっては悲願だったが優勝争いや残留争いが佳境を迎える終盤戦の動員は伸びやすいことを考えると最終的に平均で22,000人を超える可能性もあると考えられる。27年目にして史上最高の数字になりそうだ。
神戸ならびにMFイニエスタの効果は大きいが、他には
・FC東京や横浜FMが上位争いに参加している点。
・キャパシティの大きいスタジアムを持つ大分がJ1に復帰してきた点。
・熱狂的なサポーターを持つ松本山雅がJ1に復帰してきた点。
・改修工事の影響でC大阪のホーム戦が全てヤンマースタジアム長居になった点。
なども大きなプラスの効果をもたらしていると考えられる。キャパシティの小さいスタジアムで戦っている柏がJ2に降格したこともJ1全体の観客動員数を伸ばす上ではプラスになっているので「大分と松本山雅がJ1に昇格して長崎と柏がJ2に降格した。」というのも動員のことだけを考えると良かったと言える。ちなみに神戸の試合を除いた場合でも平均観客動員数は20,436人になるので大台をクリアしている。
■ 「2019年がピーク」になる可能性は低い。過去最高だった1994年というとJリーグブームの真っただ中である。Jリーグの試合のチケットは「プラチナチケット」とも言われて争奪戦が繰り広げられたことを記憶している人は多いと思うが、それでも当時のクラブ数は12チームだけ。全国で6試合しかJリーグの試合は開催されなかった。J2やJ3が出来てサポーターは散らばるようになったことを加味すると「2019年の21,342人という数字の価値は高い。」と言える。
チケット収入がどのクラブにとっても基盤になるのでJリーグにとっていい話になるが、まだまだ伸びる可能性がある。先のとおり、C大阪はホームスタジアムを改修中。2020年から新・キンチョウスタジアム(仮)で戦うことになる。また、広島は紆余曲折ありながらもようやく新スタジアム建設の目途が立った。アクセスの良くないビッグアーチから新スタジアムに移行したら大幅な動員力のアップが期待できる。
また、J2で昇格争いに参加している京都は亀岡市に建設中の新スタジアムの工事が着々と進んでいる。来シーズンから新スタジアムに移行する予定になっており、「サンガスタジアム by Kyocera」という名前になった。収容人数は約21,600人。JR亀岡駅の目の前にあるスタジアムなのでアクセスは良い。今の西京極陸上競技場も阪急京都線の西京極駅の目の前にあるスタジアムになるが「臨場感は桁違い」と言える。
他にもいくつかのクラブに新スタジアム建設やスタジアム改修の動きがあることを踏まえると「今年の数字がピークになる。」というのは考えにくい。まだまだJリーグは成長する余地がたくさん残っていると言えるが、観客動員数が増えている今、大事なのは新規のサポーターのこころを掴む熱い試合を提供し続けることである。ファン層を拡大する大きなチャンスであり、極めて大事な局面に立っていると言える。
表1. 年度別の平均観客動員数 (1993年-2018年)
年度 | 平均観客動員数 | 順位 |
1993 | 17,976 | 12 |
1994 | 19,598 | 2 |
1995 | 16,921 | 19 |
1996 | 13,353 | 23 |
1997 | 10,131 | 27 |
1998 | 11,982 | 24 |
1999 | 11,658 | 25 |
2000 | 11,065 | 26 |
2001 | 16,548 | 20 |
2002 | 16,368 | 21 |
2003 | 17,351 | 16 |
2004 | 18,965 | 7 |
2005 | 18,765 | 9 |
2006 | 18,292 | 11 |
2007 | 19,081 | 5 |
2008 | 19,278 | 3 |
2009 | 19,126 | 4 |
2010 | 18,428 | 10 |
2011 | 15,797 | 22 |
2012 | 17,566 | 15 |
2013 | 17,226 | 18 |
2014 | 17,240 | 17 |
2015 | 17,803 | 14 |
2016 | 17,968 | 13 |
2017 | 18,845 | 8 |
2018 | 19,064 | 6 |
2019 | 21,122 | 1 |
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